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納骨堂の平均購入価格は81.5万円です。鎌倉新書の第17回お墓の消費者全国実態調査(2026年)の数字で、一般墓の152.0万円と比べるとほぼ半額になります。
ただし、この平均はあてになりません。位牌式なら10万円台から、自動搬送式なら150万円まであり、同じ「納骨堂」という言葉の中に10倍の開きがあります。
この記事では、型ごとに費用を分解したうえで、金額表には出てこない年間管理費と個別安置の期間、そして経営が傾いたときに何が起きるかまでを整理します。
結論|先に3つ

1. 平均81.5万円は、型を混ぜた数字
位牌式10万〜20万円、ロッカー式20万〜80万円、仏壇式50万〜200万円、自動搬送式80万〜150万円。自分が見ている型の相場で判断します。
2. 初期費用のほかに、年間管理費がある
相場は年1万円前後です。永代供養料に含まれる施設もあれば、毎年請求される施設もあります。30年で30万円になると考えると、初期費用の差を逆転することがあります。
3. 個別に置いてもらえる期間には、終わりがある
多くは十七回忌または三十三回忌までで、その後は合祀されます。合祀すると遺骨は取り出せません。
今のお墓を引き払うなら、撤去費用から
納骨堂に移す場合、先に今のお墓を撤去します。墓石の撤去費用は、石材店によって数十万円の差が出ます。 全国の石材店から見積もりを取り寄せられます。見積もりも現地調査も無料です。
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型で、費用がここまで変わる

納骨堂は、遺骨をどう置くかで型が分かれます。金額の差は、そのまま占有する面積と設備の差です。
位牌式(10万〜20万円) は、遺骨を別の場所にまとめて収蔵し、参拝する場所には位牌だけを並べます。いちばん安い代わりに、遺骨がすぐ手元に戻る形ではありません。
ロッカー式(20万〜80万円) は、コインロッカーのように扉つきの区画が並びます。同じ施設でも上段のほうが高くなる傾向があり、骨壷が2つ入るか4つ入るかでも金額が変わります。
仏壇式(50万〜200万円) は、上段が仏壇、下段が納骨スペースという構造です。位牌や写真を置けるので、家の仏壇をたたんで移す先として選ばれます。
自動搬送式(80万〜150万円) は、カードをかざすと遺骨が参拝ブースまで運ばれてくるビル型です。都市部の駅前に多く、設備が大きいぶん高くなります。
墓石式(100万〜200万円) は、屋内に小さな墓石を建てる形です。屋外の一般墓に近い見た目になります。

見積書に並ぶ5つの費用

金額表に「80万円」と書いてあっても、その中身は施設によって違います。
| 項目 | 目安 | 注意する点 |
|---|---|---|
| 永代使用料 | 初期費用の大部分 | 区画を使う権利。返金されないのが原則 |
| 永代供養料 | 初期費用に含むことが多い | 合祀後の供養の分。別建ての施設もある |
| 年間管理費 | 年1万円前後 | 含まれるか、毎年払うかを確認する |
| 銘板の彫刻料 | 3万〜5万円 | 追加で納骨するたびにかかる |
| 納骨法要のお布施 | 3万〜5万円 | 寺院管理の施設では別途 |
見るべきは、「この金額に年間管理費は含まれますか」という一言です。 含まれない施設で30年払えば、30万円前後が上に乗ります。位牌式とロッカー式の差が、それだけで消えます。
戒名を新しくつける場合は、さらに別の費用がかかります。既存の戒名をそのまま使えるかどうかも、寺院管理の施設では確認が要ります。
年間管理費は、いつまで払うのか
管理費の扱いは3通りあります。
- 初期費用に含まれていて、追加の支払いがない
- 毎年払い、個別安置の期間が終わると不要になる
- 毎年払い、承継者が払い続ける限り個別安置が続く
問題になるのは2と3です。払う人がいなくなったときにどうなるかを、契約書で確かめてください。一定期間の滞納で合祀に移すと定めている施設が多く、その期間は1年のところも3年のところもあります。
納骨堂を選ぶ理由が「継ぐ人がいないから」であれば、1か2を選ぶことになります。3を選ぶと、結局は誰かが払い続ける前提の契約になります。
個別に置いてもらえる年数と、合祀

多くの納骨堂は、一定の期間が過ぎると遺骨を合祀墓に移します。区切りは十七回忌、三十三回忌が一般的です。
確認するのは年数だけではありません。その年数を、いつから数えるかです。
- 契約した日から33年
- 最初に納骨した日から33年
- 最後に納骨した日から33年
父を納めた10年後に母を納める場合、「最後の納骨から」であれば、父の遺骨も母の年数に合わせて延びます。「最初の納骨から」であれば、母を納めた23年後には両方とも合祀されます。同じ「三十三回忌まで」でも、実際の年数は20年以上ずれます。
合祀された遺骨は、他の方の遺骨と混ざるため特定できません。改葬許可を取っても動かせず、分骨もできなくなります。
経営主体で、性格が変わる

納骨堂を経営できるのは、地方公共団体、宗教法人、公益法人に限られるのが実務上の扱いです。
寺院が経営する納骨堂 は、法要や供養が手厚い代わりに、宗派の条件や檀家になることを求められる場合があります。「檀家にならずに使えますか」は、見学時に必ず聞く質問です。
公営の納骨堂 は費用が安く、宗派も問いません。ただし数が限られ、その自治体に一定期間住んでいることなどの申込要件があり、募集が抽選になることもあります。募集は年に1回か2回で、時期を逃すと1年待ちます。自治体の霊園のページか、広報紙で告知されます。
民間(公益法人など)が経営する納骨堂 は申込要件がゆるく、施設も新しいものが多くなります。一方で、建物への投資を回収する前提で運営されているため、契約者が集まらないと経営が苦しくなります。
経営が止まると、遺骨はどうなるか

これは想定の話ではありません。実際に起きています。
札幌市東区にあった納骨堂「御霊堂元町」は、2012年に開業し、1区画30万〜250万円で使用権を販売しました。約1,000体の遺骨を預かり、契約者は773人でした。
2021年に建物が差し押さえられ、2022年の説明会で運営していた宗教法人が「建物が強制競売にかけられた」と説明し、利用者に遺骨を引き取るよう求めました。 強制競売の手続き中も新規の契約を続けていたと報じられています。
永代使用料はすでに払い終えています。それでも、建物が人手に渡れば、遺骨を置く場所がなくなります。
見学のときに確認できることは限られますが、次の3つは聞けます。
- 建物は自己所有か、借りているか
- 建設資金に借入があるか
- いま何区画が埋まっているか
答えをはぐらかされた場合、その反応自体が情報になります。
撤去と改葬の費用を、先に出しておく
今のお墓を引き払って納骨堂に移すなら、撤去費用と改葬の手続き費用が、納骨堂の契約金とは別にかかります。 全国の石材店から見積もりを無料で取り寄せられます。断りの代行まで任せられます。
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今の墓から移すときの手続き
改葬には市区町村の許可が要ります。墓地、埋葬等に関する法律の第5条で、改葬の許可は焼骨が現に存する地の市町村長が行うと定められています。つまり、今のお墓がある自治体に申請します。 納骨堂がある自治体ではありません。
順番は次のとおりです。
- 納骨堂と契約し、受入証明書をもらう
- 今の墓の管理者から、埋蔵証明書をもらう
- 今の墓がある市区町村に、改葬許可申請書を出す
- 改葬許可証を受け取る
- 閉眼供養と墓石の撤去をして、遺骨を取り出す
- 納骨堂に改葬許可証を提出して納骨する
同法14条2項は、納骨堂の管理者は火葬許可証または改葬許可証を受理した後でなければ収蔵してはならないと定めています。 許可証がないと、契約していても納骨できません。
改葬は令和6年度に176,105件ありました。前年度から9,219件増えています。書類の往復に1か月から2か月、撤去工事に2週間から1か月をみておきます。
申し込みから納骨までに、どれくらいかかるか
今の墓から移す場合と、はじめて納骨する場合とで、必要な日数が変わります。
はじめて納骨する場合は、2週間から1か月です。
- 資料を取り寄せる(3日から1週間)
- 見学する(1日)
- 申し込みと契約(即日から1週間)
- 銘板を彫る(2週間から1か月)
- 納骨法要と納骨(銘板ができてから)
銘板の彫刻が、いちばん時間を取ります。四十九日に合わせたい場合は、逆算して1か月前には契約を済ませます。間に合わないときは、先に納骨だけして銘板を後から入れる施設もあります。
今の墓から移す場合は、2か月から4か月です。 上の流れの前に、改葬の書類のやり取りと墓石の撤去工事が入ります。
施設によっては、行き先が決まるまでの一時預かりを受けています。月2,000円から5,000円程度で、期間は半年から1年が目安です。契約を急がされたときは、この制度があるかを聞いてください。
納骨堂に移すとき、位牌はどうするか
納骨堂に移すとき、実家に残るのが仏壇と位牌です。
仏壇式の納骨堂なら位牌を持ち込めますが、ロッカー式や自動搬送式では置き場所がありません。多くの施設は位牌の預かりを別料金で受けており、年5,000円から2万円程度が目安です。
仏壇そのものは、閉眼供養をしてから処分します。お布施は1万〜5万円が目安です。粗大ごみとして出すこともできますが、供養を済ませてから引き取る業者に頼むほうが、親族の納得は得やすくなります。ルート別の費用は仏壇の処分費用で扱っています。
仏壇と遺品を、まとめて片付けるなら
納骨堂への移動と実家の片付けは、同じ時期に重なります。供養と搬出をまとめて頼めるかどうかで、帰省の回数が変わります。見積もりは無料で、複数社を比べられます。
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一般墓・樹木葬と並べて見る

鎌倉新書の調査では、購入された形の内訳は樹木葬47.4パーセント、合祀墓・合葬墓16.4パーセント、納骨堂15.5パーセント、一般墓15.2パーセントでした。
平均購入価格は一般墓152.0万円、納骨堂81.5万円、樹木葬71.7万円です。
納骨堂と樹木葬は10万円ほどしか変わりません。選ぶ軸は金額ではなく、次の点になります。
- 屋内か屋外か。天候と足元の条件が変わる
- 駅から近いか。車に乗らなくなった後も通えるか
- 建物の維持が前提か。樹木葬は建物の負担が小さい
- 冬の姿が違う。樹木葬の落葉樹の区画は、冬には枝だけになる
見学で確かめる6つ

パンフレットと現地が最も食い違うのは、参拝の条件です。
- お参りの時間 — 施錠される時間がある。夜間や年末年始に入れるか
- 混雑期の待ち時間 — 自動搬送式はお盆と彼岸に参拝ブースが混む
- 駅からの実際の道のり — 徒歩10分でも、階段と坂があると変わる
- 線香と生花の可否 — 屋内は火気と水を制限している施設が多い
- 参拝ブースの数 — 契約区画数に対して足りているか
- 空調と湿気 — 遺骨を預ける場所の環境として見る
同じ日に2か所以上を回ると、比べやすくなります。
契約書で読む7項目

パンフレットに書かれないのは、だいたい次の7つです。
- 個別安置の期間と、その起算点 — 契約日か、最初の納骨か、最後の納骨か
- 年間管理費 — 金額と、いつまで払うか
- 滞納したときの扱い — 何年で合祀に移すか
- 収蔵できる人数 — 後から追加できるか、追加の費用はいくらか
- 承継の可否 — 子が引き継げるか。承継料がかかるか
- 解約と返金 — 納骨の前と後で条件が変わるか
- 施設が閉鎖したときの定め — 遺骨の扱いをどう書いているか
7番目が書かれていない契約書は珍しくありません。書かれていないこと自体を、質問の材料にしてください。
費用を抑える4つの方法
1. 公営を先に当たる
費用が最も安く、宗派も問われません。申込要件と募集時期を自治体のサイトで確認します。
2. 粉骨してまとめる
複数の遺骨を1区画に納める場合、粉骨すれば小さな区画で足ります。粉骨の費用は2万〜3万円程度です。
3. 個別安置の期間を短くする
十七回忌までの区画と三十三回忌までの区画では、同じ施設でも数十万円変わることがあります。
4. 複数の施設から資料を取り寄せる
総額の欄を並べるだけで、管理費を含むか含まないかの違いが見えます。
よくある質問
Q. 納骨堂は誰でも申し込めますか
民間と公営では条件が違います。公営はその自治体に住んでいることなどの要件があり、寺院の納骨堂では宗派や檀家の条件が付く場合があります。
Q. 生前に契約できますか
できます。生前契約が一般的で、早期の割引を設けている施設もあります。
Q. 承継者がいなくても契約できますか
できます。永代供養がついた区画であれば、承継者を立てずに申し込めます。身元保証人や連絡先を求められることはあるので、申込書の条件を確認してください。
Q. 骨壷のまま納められますか
型によります。ロッカー式や仏壇式は骨壷のままが一般的です。位牌式は遺骨を別の場所にまとめるため、骨壷から出す施設もあります。
Q. 遺骨は何体まで入りますか
区画によって2体から8体程度です。後から追加できない区画もあるので、将来入る人数を先に数えてください。
Q. 途中で解約したら返金されますか
永代使用料は原則として返ってきません。納骨前であれば一部を返す規定を置く施設もあります。
Q. 今の寺院に離檀料を払う必要がありますか
離檀料に法的な根拠はありません。慣習として渡す場合、お布施として3万〜20万円程度が目安です。金額でもめたときも、改葬許可の書類だけは先に進めます。
Q. 年間管理費を払わないとどうなりますか
契約で定めた期間の滞納で、合祀に移されるのが一般的です。連絡先が変わったまま放置すると、通知が届かないまま進みます。
Q. 都市部と地方で費用は違いますか
違います。土地の価格と建物の規模がそのまま反映されるため、都市部の駅近ほど高くなります。
Q. 契約した区画は、自分のものになりますか
なりません。買うのは「使う権利」であって、区画そのものの所有権ではありません。転売も、他の人に譲ることもできません。
Q. 遠方に引っ越したら、移せますか
個別安置の期間内であれば、改葬の手続きで移せます。ただし納骨堂から出すときも改葬許可が必要で、その申請先は納骨堂がある市区町村になります。
Q. 実家の売却と同時に進められますか
進められます。ただし、遺骨と仏壇の行き先が決まらないと片付けが止まります。納骨堂の契約を先に決めると、片付けの日程が組めます。
まとめ
- 納骨堂の平均購入価格は81.5万円(一般墓152.0万円、樹木葬71.7万円)
- 平均は型を混ぜた数字。位牌式10万〜20万円、ロッカー式20万〜80万円、仏壇式50万〜200万円、自動搬送式80万〜150万円、墓石式100万〜200万円
- 年間管理費は年1万円前後。含まれるかどうかで30年の総額が大きく変わる
- 個別安置の期間は十七回忌・三十三回忌が多い。起算点で20年以上ずれる
- 合祀した後は取り出せない。改葬も分骨もできない
- 経営主体は寺院・公営・民間。公営は安いが要件と抽選がある
- 経営が止まると遺骨の引き取りを求められる。札幌では契約者773人に実際に起きた
- 今の墓から移すには改葬許可が必要。申請先は今の墓がある市区町村
- 納骨堂は改葬許可証を受理した後でなければ収蔵できない(墓埋法14条2項)
- 見学は同じ日に2か所以上。参拝の時間・線香の可否・混雑期を確かめる
納骨堂を選ぶ判断は、初期費用では決まりません。年間管理費と、個別安置の起算点。この2つを聞いてから、金額を比べてください。
この記事について
執筆:葉山 湊(はやま みなと)
自身の家族の実家じまいを経験し、そのときに「どこにも書かれていなかったこと」を出発点にこのサイトを立ち上げました。税理士・宅地建物取引士などの資格は保有していません。制度や統計については、必ず一次情報(厚生労働省・e-Gov法令検索・調査の発表元)にあたって記事に反映しています。
本記事の主な出典は次のとおりです。
・平均購入価格と購入されたお墓の種類:鎌倉新書「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」
・型別の費用相場と年間管理費:鎌倉新書「いいお墓」納骨堂の費用相場
・改葬・収蔵の根拠条文:e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」
・改葬の件数:厚生労働省「令和6年度 衛生行政報告例」第6表
・納骨堂の経営破綻の事例:東京新聞「1000体の遺骨を残して納骨堂経営者が消えた」
・墓石撤去費の相場(1平方メートルあたり10万〜15万円):鎌倉新書「いいお墓」墓じまいの費用相場
費用の目安は施設・地域によって幅があります。本記事の内容は2026年9月23日時点の公表情報にもとづきます。実際の契約条件は、各納骨堂の管理規約と契約書をご確認ください。

