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実家の売却にかかる期間|在庫は14か月分、売り出し値と成約値の差は948万円

家具を運び出したあとの和室 実家の売却・活用
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実家を売ると決めてから、お金が入るまでにどれくらいかかるのか。

一般には「3か月から6か月」と言われます。ただし相続した実家では、その前に登記の工程が入ります。 ここを見落とすと、半年のつもりが1年になります。

この記事では、工程ごとの日数を積み上げ、なぜ長引くのかを市場のデータから説明します。

みどりみどり
不動産会社には3か月と言われました。そんなに早く売れるものでしょうか。
たくみ先生たくみ先生
売れる物件は3か月で売れます。問題は、売れない物件が市場に何か月も残っていることです。 首都圏の中古戸建は、在庫が月間成約件数の14か月分あります。この差を作っているのは、築年数ではなく価格です。

結論|先に3つ

実家の売却期間を決める3つの要素

1. 売り出しから引き渡しまでは3か月から6か月

売り出して3か月で買主が決まり、契約から引き渡しに1か月から2か月かかります。

2. 相続なら、その前に1か月から3か月

戸籍を集めて相続登記を済ませないと、売買契約を結んでも引き渡せません。

3. 長引く理由のほとんどは価格

首都圏の中古戸建は、売り出し価格と成約価格の差が948万円あります。

期間を決めるのは、最初につける値段

高く出しすぎると売れ残り、下げても「売れ残り物件」として見られます。最初に複数社の査定額を並べておくと、適正な幅が分かります。 入力は60秒ほどで、費用はかかりません。

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工程ごとの日数を積み上げる

実家の売却にかかる工程ごとの日数
工程 目安
相続登記(相続の場合) 1か月から3か月
机上査定 1日から3日
訪問査定 1週間
媒介契約 数日
売り出しから買主が決まるまで 1か月から6か月
売買契約 1日
買主の住宅ローン審査 2週間から1か月
決済と引き渡し 契約から1か月から2か月
確定申告 翌年2月16日から3月15日

相続でない場合の合計

査定から引き渡しまで、およそ4か月から8か月です。

相続の場合の合計

相続登記を足して、5か月から11か月になります。戸籍の収集でつまずくと、さらに延びます。

逆算するなら、売りたい時期の1年前から動き始めることになります。 空き家の特例など期限のある制度を使うつもりなら、この逆算が必要です。


長引く理由は、市場のデータに出ている

売り出し中の一戸建てと不動産会社の看板
首都圏の中古戸建の在庫が成約件数の何か月分にあたるか

東日本レインズの2026年8月のデータを見ます。首都圏の中古戸建住宅です。

指標 数値
成約件数 1,641件
在庫件数 23,277件
成約価格 3,960万円
新規登録価格 4,908万円
在庫価格 4,799万円
成約の築年数 25.31年
在庫の築年数 26.96年

在庫は、成約の14.2か月分

23,277件を1,641件で割ると14.2です。いま売りに出ている物件がすべてはけるまで、この売れ行きなら14か月かかる計算になります。

売り出し値と成約値の差は948万円

新規に登録された物件の平均は4,908万円、実際に成約した物件の平均は3,960万円。差は948万円、率にして19.3パーセントです。

つまり「出した値段のおよそ2割下」が、実際に売れている水準です。 最初から成約水準で出せば早く売れ、上乗せすれば在庫に回ります。

売れ残っている物件は、839万円高い

在庫の平均価格4,799万円は、成約価格より839万円高い金額です。市場に残っているのは「高い物件」であって、必ずしも「悪い物件」ではありません。

みどりみどり
築年数が古いから売れない、のではないのですね。
たくみ先生たくみ先生
築年数の差はわずかです。成約物件が25.31年、在庫が26.96年。1年半しか違いません。 一方で価格は839万円違います。どちらが売れ行きを決めているかは、この2つを並べれば分かります。

相続した実家は、登記が先に来る

相続登記に必要な戸籍の収集とかかる日数

名義が親のままでは、買主に所有権を移せません。売買契約は結べても、決済ができません。

工程と日数

  1. 戸籍を集める(2週間から2か月):被相続人の出生から死亡までと、相続人全員分
  2. 遺産分割協議(数日から数か月):誰が相続するかを決める
  3. 登記申請(法務局で1週間から2週間):書類がそろっていれば早い

いちばん読めないのは、戸籍の収集

転籍が多い方、本籍地が遠方の方は、郵送のやり取りが繰り返されます。1か所あたり1週間から2週間かかります。

2024年3月から、戸籍の広域交付が始まりました。最寄りの市区町村で、本籍地以外の戸籍もまとめて取れます。ただし請求できるのは本人、配偶者、直系血族に限られ、兄弟姉妹の戸籍は取れません。

協議がまとまらないと、そこで止まる

相続人の一人が連絡に応じない、認知症で判断能力がない、といった事情があると、登記の前に別の手続きが入ります。成年後見人の選任には2か月から4か月かかります。

戸籍を集める工程は、任せられる

出生から死亡までの戸籍をそろえる作業は、郵送のやり取りが何往復も発生します。依頼すれば、この工程を自分で動かずに済ませられます。 全国対応、初回相談は無料です。

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売り出す前に、2週間かかる準備がある

売り出す前に用意する書類と入手先

査定を受けてから売り出すまでに、揃えるものがあります。ここを後回しにすると、売り出しが2週間から1か月遅れます。

書類

書類 入手先 目安
登記識別情報(権利証) 手元 紛失時は司法書士に依頼
登記事項証明書 法務局 1通600円、即日
固定資産税の納税通知書 手元 毎年4月から6月に届く
建築確認済証・検査済証 手元 再発行不可。台帳記載事項証明で代替
測量図・境界確認書 手元、法務局 ない場合は測量へ
設備の取扱説明書、保証書 手元

権利証をなくしていても、売れる

登記識別情報を紛失しても再発行はできませんが、司法書士による本人確認情報の作成で代替できます。費用は5万円から10万円ほどです。

検査済証がないことは珍しくない

古い住宅では、検査を受けていない建物が一定数あります。買主の住宅ローンに影響することがあるため、早めに不動産会社へ伝えてください。

写真を撮る時期

内覧より先に、ポータルサイトの写真が判断されます。晴れた日の午前中に、すべての窓を開けて撮ると印象が変わります。 荷物が残っているなら、片付けてから撮り直してもらいます。


手取りは、売却価格から何を引くか

3,000万円で売れたとして、手元に残る金額を計算します。

項目 金額の目安
売却価格 3,000万円
仲介手数料 105万6,000円(3パーセント+6万円+消費税)
印紙代 1万円
抵当権抹消の登録免許税と報酬 2万円から3万円
相続登記の費用(相続の場合) 10万円から15万円
解体費(更地にする場合) 150万円から250万円
遺品整理・残置物撤去 20万円から60万円
確定測量(必要な場合) 40万円から80万円
譲渡所得税・住民税 特例の有無で0円から数百万円

「解体するかどうか」で200万円動く

古い家は、更地にしたほうが売れやすくなります。ただし解体すると住宅用地の特例が外れ、翌年の固定資産税が最大6倍になります。年内に売れなければ、その負担が乗ります。

解体の判断は、買主が決まってからでも間に合います。 売買契約で「引き渡しまでに更地にする」と定める方法があります。

空き家の特例を使うなら、解体は買主でもよい

令和6年1月1日以後の譲渡から、買主が翌年2月15日までに取り壊せば特例が使えます。解体費を先に出す必要がなくなりました。


査定の受け方で、その後の期間が決まる

机上査定は1日から3日

住所、面積、築年数などの情報だけで概算を出します。周辺の成約事例から計算するので、現地は見ません。

売るかどうかを決めていない段階なら、これで十分です。

訪問査定は1週間

担当者が現地を見て、建物の状態、日当たり、接道、境界の状況まで確認します。実際に売り出す価格は、この査定をもとに決めます。

複数社に出す理由は、平均を取るためではない

1社だけだと、その金額が高いのか安いのか判断できません。3社から4社に出すと、幅が見えます。

大事なのは、いちばん高い金額を選ぶことではありません。 高すぎる査定を出す会社は、媒介契約を取るために盛っていることがあります。売り出した後で「下げましょう」と言われ、結局その分だけ時間を失います。

聞くべきは、根拠

  • どの成約事例を参照したか
  • その事例と、この物件の違いをどう調整したか
  • この価格なら、何か月で売れると見ているか

3つ目に具体的な数字で答えられる担当者は、市況を見ています。

みどりみどり
1社だけ、他より500万円高い査定が出ました。
たくみ先生たくみ先生
その500万円の根拠を聞いてください。説明できるなら価値がありますが、「頑張ります」しか出てこないなら注意が要ります。 高く出して預かり、3か月後に値下げを提案する進め方は、実際によくあります。

媒介契約は3種類ある

一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
依頼できる会社数 複数 1社 1社
自分で買主を見つける できる できる できない
レインズへの登録義務 なし 7日以内 5日以内
報告の頻度 定めなし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
契約期間 定めなし 3か月以内 3か月以内

専任にすると、その会社が動く

1社に絞ると、広告費をかけてもらいやすくなります。報告の義務もあるため、状況が見えます。

一般にすると、競争が起きる

複数社が同時に動くので、買主の母数は増えます。ただし1社あたりの熱量は下がります。

囲い込みに注意する

専任で預かった物件を他社に紹介せず、自社で買主を見つけようとする行為があります。両方から手数料を得られるためです。レインズに登録されているか、登録証明書を見せてもらってください。

切り替えのタイミング

専任は3か月以内と決まっています。2か月動きがなければ、更新のときに価格か会社を見直します。


仲介と買取で、期間がまったく違う

仲介と買取の期間と価格の違い
仲介 買取
買主 一般の個人 不動産会社
期間 3か月から6か月 2週間から1か月
価格 市場価格 市場価格の6割から8割
仲介手数料 かかる かからないことが多い
内覧 何組も受ける 1回
契約不適合責任 売主が負う 免責になることが多い

買取は、期間を金で買う

1,000万円の差が出ることもあります。それでも選ばれるのは、次のような場合です。

  • 相続税の納付期限(10か月)が迫っている
  • 遠方に住んでいて、内覧のたびに通えない
  • 近所に知られたくない
  • 建物の状態が悪く、仲介では買い手がつかない

買取保証という中間

一定期間は仲介で売り出し、売れなければ約束した価格で不動産会社が買い取る方式です。期限のある売却では、この方式が現実的な選択肢になります。


会社ではなく、担当者を見る

期間の差は、会社の規模より担当者の動き方で出ます。

確認すること

  • その地域の成約事例を持っているか:直近半年で何件扱ったかを聞く
  • 報告が具体的か:「反響がありました」ではなく、何件の問い合わせで何組の内覧かを数字で言えるか
  • 売り止めの提案をするか:売れないときに値下げ以外の選択肢を出せるか
  • こちらの期限を把握しているか:相続税の納期や特例の期限を、担当者が覚えているか

大手と地域密着の違い

大手は集客力があり、ポータルサイトの掲載枠も多く持っています。地域密着の会社は、その地域で探している顧客を抱えていることがあります。

実家がある地域と、自分が住んでいる地域が違う場合、実家の地域に強い会社を選びます。 自宅の近くの支店に頼むと、物件の状況がつかめません。

担当者が変わったら、伝え直す

異動や退職で担当が変わることがあります。引き継ぎが不十分だと、期限の認識が抜け落ちます。変わった時点で、こちらの事情をもう一度説明してください。


季節で、売れ行きは変わる

レインズの直近13か月の成約件数を並べると、動きが見えます。

2025年8月から順に、1,611/1,986/1,804/1,932/1,859/1,496/1,910/2,169/1,839/1,835/2,019/1,738/1,641件。

3月が最も多く、1月が最も少ない

3月は2,169件、1月は1,496件。1.45倍の差があります。新生活に向けた動きが、この差を作ります。

逆算すると、売り出しは秋から冬

3月に契約を決めたいなら、11月から1月には売り出している必要があります。買主が動く時期より2か月から3か月早く、市場に出しておくことになります。

ただし季節の影響より、価格の影響のほうがはるかに大きくなります。時期を待って高く出すより、今の水準で出すほうが早く終わります。


内覧が入らないときに見る3つ

売り出して1か月経っても問い合わせがない場合、原因は3つのどれかです。

1. 価格

似た条件の成約事例と比べます。成約事例より高ければ、そこが原因です。 売り出し価格と成約価格の差が2割ある市場では、上乗せした分だけ埋もれます。

2. 情報の出し方

  • 写真の枚数が少ない
  • 室内の写真が暗い
  • 間取り図が載っていない
  • 掲載しているポータルサイトが1つだけ

3. 媒介契約の種類

専属専任や専任にすると、1社だけが窓口になります。動きが鈍い場合、一般媒介に切り替えて複数社に任せる方法があります。

専任媒介は契約期間が3か月以内と決まっています。更新のタイミングが、見直しの機会になります。

みどりみどり
値下げは、どのくらいの幅ですればよいでしょうか。
たくみ先生たくみ先生
小刻みに下げるのは逆効果です。10万円ずつ下げると「まだ下がる」と見られて、待たれます。 下げるなら、検索の価格帯が変わる区切りまで一度に下げます。3,100万円なら2,980万円まで、というように3,000万円以下の検索に入る位置を狙います。

内覧から契約までに起きること

内覧は土日に集中する

問い合わせから内覧までは数日です。実際に見に来る組数は、価格が市場に合っていれば売り出しから1か月で3組から5組。合っていなければ0組のまま過ぎます。

購入申込書が入る

買いたい人は「購入申込書」を出します。ここに希望価格、引き渡し希望日、住宅ローンを使うかどうかが書かれています。

指値交渉が入る

売り出し価格から100万円から200万円の値引きを求められるのが一般的です。最初から交渉分を上乗せしておくと、その分だけ検索から外れます。 どちらを取るかは、期間をどれだけ短くしたいかで決まります。

契約までは1週間から2週間

申込みを受けてから、重要事項説明と売買契約です。手付金として売買代金の5パーセントから10パーセントを受け取ります。

ローン特約で白紙に戻ることがある

買主の住宅ローンが通らなかった場合、契約は白紙解除になり、手付金は返します。ここで1か月から2か月を失うことがあります。

事前審査を通している買主かどうかは、申込みの段階で確認できます。通っている買主を選ぶと、やり直しになる見込みが下がります。

みどりみどり
2番目に高い申込みのほうが、事前審査を通っていました。
たくみ先生たくみ先生
その場合は2番目を選ぶ判断もあります。100万円高くても、白紙解除で2か月失えば意味がありません。 金額だけでなく、確実性と引き渡し希望日の3つで比べてください。

引き渡しまでに終わらせること

売買契約から決済までの1か月から2か月で、やることが集中します。

残置物を片付ける

家具、家電、仏壇、衣類。引き渡しは原則として空の状態です。 一軒家の遺品整理は、業者に頼むと数十万円かかり、日程も2日から3日押さえます。

境界を確定させる

隣地との境界が不明確な場合、確定測量を求められることがあります。3か月から4か月かかる工程なので、契約前に着手しておく必要があります。

ライフラインを止める

電気、ガス、水道。決済日に合わせて手続きします。空き家の特例を使う場合、電気の使用中止日が分かる書類を求められます。

鍵と書類をそろえる

すべての鍵、建築確認済証、設計図書、設備の取扱説明書。見つからないものは、早めに管理会社や施工会社へ問い合わせます。

家財が残っているなら、日程を先に押さえる

遺品整理は、決済日の直前に頼もうとしても業者の予定が埋まっています。契約が決まった時点で見積もりだけ取っておくと、日程の調整が効きます。 一括で複数社の金額を比べられます。

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地方・築古・再建築不可のときは、前提が変わる

ここまでの日数は、買い手のいる市場の話です。条件によっては、そもそも母数が違います。

地方の物件

首都圏の在庫が14か月分という数字は、買い手が多い市場でのものです。人口が減っている地域では、1年以上売り出しても問い合わせが入らないことがあります。

再建築不可

接道の条件を満たさず、建て替えができない土地です。住宅ローンが使えないため、買主は現金で買える人に限られます。

越境や境界未確定

隣地の塀や樹木が越えている、境界標が見つからない。確定測量に3か月から4か月かかるため、着手が遅れるとその分そのまま延びます。

残置物が多い

家財が残ったままだと、内覧の印象が落ちます。片付けの日程が取れずに売り出しが遅れることもあります。

この場合の出口

  • 訳あり物件の専門業者に買い取ってもらう
  • 隣地の所有者に売る(接道や越境の問題が同時に解決する)
  • 空き家バンクに登録する
  • 相続土地国庫帰属制度を検討する(建物がある場合は取り壊しが必要)

どれも「高く売る」方法ではありません。 期間と金額のどちらを優先するかを、先に決めておく必要があります。

みどりみどり
1年売れなかったら、どうすればよいですか。
たくみ先生たくみ先生
1年経つ前に、6か月の時点で一度立ち止まってください。そこで価格を見直すか、買取に切り替えるかを決めます。 売り出したまま放置すると、固定資産税と管理の手間だけが積み上がります。空き家のまま3年を過ぎると、税の特例も期限を迎えます。

引き渡しの後にやること

売って終わりではありません。期限のあるものが残ります。

確定申告(翌年2月16日から3月15日)

利益が出た場合と、特例を使う場合は申告します。税額が0円でも、特例は申告しないと適用されません。

住民税(翌年6月ごろ)

確定申告をすれば別途の申告は不要です。6月ごろに納付書が届きます。

国民健康保険料(翌年度)

自営業や退職後の方は、譲渡所得が保険料の算定に入ります。翌年度の保険料が上がります。

火災保険の解約

引き渡し後は自分の保険を解約します。長期契約なら、残りの期間分が返ってきます。手続きしなければ戻りません。

固定資産税の精算

引き渡し日を境に、日割りで買主と精算するのが一般的です。受け取った精算金は、譲渡所得の収入金額に含めます。


売れない期間に、いくらかかっているか

実家が売れない期間に毎月かかる費用

「もう少し待てば高く売れるかもしれない」と考える間にも、費用は出ていきます。

毎年かかるもの

  • 固定資産税・都市計画税:年10万円から20万円
  • 火災保険:年2万円から5万円(空き家は割高になる)
  • 電気・水道の基本料金:年1万円から2万円
  • 管理の交通費:往復で1回5,000円から2万円
  • 草刈り・庭木の手入れ:年2万円から10万円

年間で15万円から40万円が、持っているだけで出ます。月にすると1万円から3万円です。

200万円高く売るために1年待つ価値はあるか

年30万円かかるなら、1年待って200万円高く売れれば170万円の得です。ただし市場が下がれば逆になります。レインズの成約価格は8か月連続で上昇していますが、これが続く保証はありません。

期限を過ぎると失うもの

失うもの 期限
相続放棄 3か月
相続税の取得費加算 3年10か月
空き家の3,000万円特別控除 相続から3年目の年末、かつ2027年12月31日
住宅用地の特例(管理不全空家に指定された場合) 勧告を受けた時点

特定空家・管理不全空家に指定されると、税が上がる

放置して自治体から勧告を受けると、住宅用地の特例が外れます。土地の固定資産税が最大6倍になります。

相続登記をしないと、過料がある

2024年4月から義務化され、正当な理由なく3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になります。売らずに持ち続ける場合も、登記だけは済ませてください。


期限から逆算する

相続の期限から売却の工程を逆算したカレンダー

相続した実家には、動かせない期限があります。

期限 内容
3か月 相続放棄の申述
10か月 相続税の申告と納付
3年 相続登記の申請義務
相続から3年目の年末 空き家の3,000万円特別控除
3年10か月 取得費加算の特例

相続税の納税資金に充てるなら、10か月が上限

売却代金で相続税を払うつもりなら、10か月以内に決済まで終える必要があります。登記に3か月、売却に6か月。合計9か月で、余裕は1か月しかありません。

このスケジュールが厳しいと判断したら、買取を含めて検討することになります。

空き家の特例を使うなら、3年目の年末

3年近くありますが、登記と売却で1年近くかかることを踏まえると、相続から2年以内には売り出しておきたいところです。

期限に間に合わないと分かった時点で、仲介から買取に切り替える判断が要ります。 価格は下がりますが、特例が使えれば税額で取り返せることがあります。


よくある質問

Q. 売り出す前に、家の中を片付けるべきですか

最低限、生活感のあるものは片付けてください。ただし全部を空にする必要はありません。空き家は生活のイメージが湧きにくく、かえって売れにくくなることがあります。

Q. リフォームしてから売ったほうが高く売れますか

多くの場合、かけた費用は回収できません。買主が自分の好みで直したいと考えるためです。ハウスクリーニングまでにとどめるのが一般的です。

Q. 空き家のまま売り出せますか

売り出せます。電気だけは通しておくと、内覧の際に照明が使えます。

Q. 遠方に住んでいます。何回現地に行くことになりますか

媒介契約、売買契約、決済で最低3回です。契約は郵送でも可能な場合があります。内覧は不動産会社が鍵を預かって対応します。

Q. 内覧には立ち会ったほうがよいですか

空き家なら不要です。売主がいると、買主が遠慮して細かく見られません。

Q. 買主が決まってから、キャンセルされることはありますか

あります。住宅ローンの審査が通らなかった場合、白紙解除になる特約が一般的です。その場合は売り出しからやり直しになります。

Q. 共有名義ですが、一人で売れますか

売れません。共有者全員の同意が必要です。全員の都合を合わせる分、日程が延びます。

Q. 売却を急いでいることは、不動産会社に言ってよいですか

伝えて構いません。ただし買主に伝わると、値引き交渉の材料になります。 交渉の場では出さないよう、担当者に念を押してください。

Q. 媒介契約の期間中に、他社へ変えられますか

専任と専属専任は、期間中は他社に頼めません。期間は3か月以内と決まっているので、満了で切り替えます。

Q. 決済の日は、どこに集まりますか

買主が住宅ローンを使う場合、その金融機関の店舗です。売主、買主、不動産会社、司法書士が集まり、1時間ほどで終わります。

Q. 売り出し価格は、査定額どおりにしますか

査定額は「3か月で売れる見込みの価格」として出されます。それより高く出すなら、その分だけ期間が延びると考えてください。

Q. マンションと戸建てで、期間は違いますか

マンションのほうが早い傾向があります。同じ建物の成約事例が積み上がっていて、価格の目安が立てやすいためです。戸建ては1件ごとに条件が違うので、比較に時間がかかります。

Q. 住みながら売ることはできますか

できます。ただし内覧のたびに在宅と片付けが必要です。実家が空き家なら、この負担はありません。

Q. 隣の人に先に声をかけたほうがよいですか

土地の形が悪い、接道が狭いといった条件なら、隣地の所有者が最も高く買える相手になります。不動産会社を通さずに話すと、後で手数料の扱いでもめることがあります。 媒介契約の前に相談してください。

Q. 売却を途中でやめられますか

媒介契約は解除できます。ただし売買契約を結んだ後にやめると、手付金の倍返しなどの違約になります。

Q. 固定資産税は誰が払いますか

その年の1月1日の所有者に納税義務があります。引き渡し日を境に日割りで精算するのが慣行ですが、法律上の義務ではありません。契約書に書いて明確にします。

Q. 引き渡し後に雨漏りが見つかったら

契約不適合責任を問われることがあります。個人が売主の場合、期間を3か月に限定する特約が一般的です。知っている不具合は、必ず告知書に書いてください。 隠すと期間の制限がなくなります。


まとめ

  • 売り出しから引き渡しまでは3か月から6か月。査定からなら4か月から8か月
  • 相続なら相続登記で1か月から3か月が先に入る。合計5か月から11か月
  • 首都圏の中古戸建は、在庫が成約の14.2か月分
  • 新規登録価格4,908万円に対し成約価格3,960万円。差は948万円、19.3パーセント
  • 在庫の築年数26.96年、成約の築年数25.31年。差は1年半しかない
  • 売れ行きを決めているのは築年数ではなく価格
  • 買取なら2週間から1か月。ただし市場価格の6割から8割
  • 成約が多いのは3月、少ないのは1月。1.45倍の差
  • 値下げは小刻みにせず、検索の価格帯が変わる区切りまで一度に
  • 確定測量が必要なら3か月から4か月。契約前に着手する
  • 相続税の納税資金に充てるなら、10か月以内に決済まで終える

期間を縮める方法は、工程を急がせることではありません。最初につける価格を、成約している水準に合わせること。 在庫に14か月分が積み上がっている市場では、それがいちばん効きます。

この記事について

執筆:葉山 湊(はやま みなと)

自身の家族の実家じまいを経験し、そのときに「どこにも書かれていなかったこと」を出発点にこのサイトを立ち上げました。税理士・宅地建物取引士などの資格は保有していません。統計や制度については、必ず一次情報(公的機関・調査の発表元)にあたって記事に反映しています。

本記事の主な出典は次のとおりです。

・首都圏の中古戸建の成約件数・在庫件数・価格:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ 2026年8月度」

・相続登記の義務化:法務省「相続登記の申請義務化について」

・空き家の3,000万円特別控除:国税庁 No.3306

在庫月数と価格差は、上記のレインズ公表値から当サイトが計算したものです。本記事の内容は2026年9月23日時点の公表情報にもとづきます。 実際の売却期間は、地域・物件・市況によって変わります。

この記事を書いた人
葉山 湊実家じまいガイド運営者

企業の財務・事業の調査(デューデリジェンス)や資産の評価を本業としています。費用は内訳と前提条件に分けて示し、制度や税金は法令と国税庁・法務省・国土交通省・各自治体などの一次情報で確かめて、出典と情報の時点を記事に明記しています。

税理士・司法書士・宅地建物取引士などの資格は保有していません。個別の税務・法律の判断は、専門家にご確認ください。

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