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親が年金を受けていた場合、亡くなった後にやることは2つです。年金を止めることと、まだ受け取っていない分を請求することです。
前者は、多くの場合すでに終わっています。マイナンバーが日本年金機構に収録されていれば、死亡届の提出は原則として省略できるからです。 収録率は令和5年9月の時点で99.8パーセントです。
問題は後者です。未支給年金は、遺族が自分で請求しないと出てきません。期限は5年で、過ぎると消えます。
結論|先に3つ

1. 死亡届の期限は、厚生年金10日以内・国民年金14日以内
ただし、マイナンバーが収録されていれば提出を省略できます。収録されているかは、ねんきんネットで確認できます。
2. 省略できるのは死亡届だけ。未支給年金は自分で請求する
年金は偶数月の15日に、前の2か月分を後払いします。亡くなった月の分までは必ず未払いが残ります。
3. 未支給年金の時効は5年
亡くなった日の翌日から5年を過ぎると、請求する権利が消えます。
年金と口座の手続きが、同時に来る
年金の請求と並行して、預貯金の名義変更や解約が始まります。戸籍を集めるところでつまずく人がほとんどです。 全国60拠点以上で初回相談は無料です。土日祝も受け付けています。
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期限は10日と14日。ただし省略できる

年金受給権者死亡届(報告書)の期限は、受けていた年金の種類で分かれます。
| 受けていた年金 | 期限 |
|---|---|
| 厚生年金 | 亡くなってから10日以内 |
| 国民年金(老齢基礎年金など) | 亡くなってから14日以内 |
提出先は年金事務所または年金相談センターです。市区町村の窓口ではありません。
添付するのは、亡くなった方の年金証書と、死亡を明らかにできる書類(戸籍抄本、死亡診断書のコピーなど)です。
そして、マイナンバーが日本年金機構に収録されている方は、この死亡届を原則として省略できます。 市区町村に死亡届を出せば、住民基本台帳の情報を通じて日本年金機構に伝わるためです。
止めないと、後で返すことになる
年金は後払いなので、亡くなった後に振り込まれる分があります。ここには、受け取ってよい分と、返す分の両方が混ざっています。
- 亡くなった月の分まで … 未支給年金として、遺族が受け取れる
- 亡くなった翌月以降の分 … 受給権がないので、返納する
届出が遅れて何回も振り込まれた場合、返納の通知が届きます。口座が凍結されていると、返す手続きが余計に面倒になります。通知が来たら金額を確認し、指定された納付書で払います。
亡くなった月の分まで受け取れるのは、年金が「亡くなった月まで」支給されるルールだからです。日割りにはなりません。
振込通知書は、捨てずに取っておく

毎年6月ごろに届く「年金振込通知書」には、その年度の支給額と、天引きされている保険料、税金が1枚にまとまっています。
ここから分かるのは次の3つです。
- 基礎年金番号と年金コード(手続きで必ず聞かれる)
- 介護保険料、後期高齢者医療保険料の天引き額(精算の対象になる)
- 所得税の源泉徴収額(準確定申告で使う)
年金証書が見つからなくても、この通知書があれば手続きは進みます。実家を片付けるとき、郵便物をまとめて処分してしまう前に、年金関係のハガキだけは抜いておいてください。
同じ時期の郵便物には、企業年金や共済年金の通知が混ざっていることもあります。日本年金機構とは別の窓口なので、見落とすとそのままになります。
役所では、年金以外もまとめて終わらせる

年金の届出とは別に、市区町村で14日以内に済ませる手続きがあります。1回の来庁でまとめるほうが、帰省の回数が減ります。
| 手続き | 持っていくもの |
|---|---|
| 健康保険証の返却 | 保険証、マイナンバーカード |
| 介護保険資格喪失届 | 介護保険被保険者証 |
| 世帯主変更届 | 本人確認書類、印鑑 |
| 高額療養費の還付請求 | 領収書、相続人の口座 |
| 葬祭費・埋葬料の請求 | 葬儀の領収書、会葬礼状 |
葬祭費は国民健康保険・後期高齢者医療の加入者に、埋葬料は健康保険の加入者に支給されます。どちらも申請しないと出ません。 金額は自治体や保険者によって変わり、3万円から7万円程度が目安です。時効は2年です。
未支給年金は、誰が請求できるか

請求できるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた遺族です。順位が決まっており、上の順位の人がいる間は下の人は請求できません。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- これら以外の3親等内の親族
同じ順位に複数人いる場合は、そのうちの1人が代表して請求します。7番目の「3親等内の親族」には、おい、めい、配偶者の父母などが含まれます。
条件は「生計を同じくしていた」ことです。同居していれば問題になりませんが、別居していても、仕送りをしていた、健康保険の扶養に入っていた、定期的に訪問していたといった事情があれば認められます。
別居の場合は、生計同一関係に関する申立書を添えます。第三者(民生委員、施設長、近隣の方など)の証明を求められることがあります。
未支給年金は、相続財産ではない

ここが、多くの人が取り違えるところです。
未支給年金を受ける権利は、遺族が自分の権利として取得するものであり、亡くなった方から相続する財産ではありません。最高裁判所の平成7年11月7日の判決で示された考え方です。
このことから、次の3つが導かれます。
相続税はかからない
相続財産ではないので、相続税の課税対象に入りません。受け取った遺族の一時所得として扱われます。一時所得には50万円の特別控除があるため、ほとんどの場合、実際の税負担は生じません。
相続放棄をしても受け取れる
借金が多くて相続放棄をする場合でも、未支給年金は別枠です。放棄した人でも、順位に入っていれば請求できます。
遺産分割の対象にならない
きょうだいで分ける必要はありません。請求した人の権利です。ただし、後でもめないよう、誰が請求するかは先に伝えておきます。
必要な書類

使う用紙は「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」です。1枚で死亡届と未支給年金の請求を兼ねます。
添えるのは次のものです。
- 亡くなった方の年金証書
- 亡くなった方と請求する人の身分関係が分かる戸籍謄本(続柄と死亡日が確認できるもの)
- 亡くなった方の住民票の除票
- 請求する人の世帯全員の住民票
- 請求する人の受取口座の通帳
- 亡くなった方のマイナンバーが確認できる書類
別居していた場合は、生計同一関係に関する申立書を追加します。
戸籍は、亡くなった方の出生から死亡までをそろえる必要はありません。続柄と死亡日が確認できれば足ります。 銀行や不動産の相続手続きと違って、ここは軽く済みます。
遺族年金が出るかどうかは、別の判定

未支給年金と遺族年金は別の制度です。未支給年金は「まだもらっていない分」、遺族年金は「これから遺族が受け取る年金」です。
| 制度 | 受けられる人 | 金額の考え方 |
|---|---|---|
| 遺族基礎年金 | 子のある配偶者、または子 | 子の人数で決まる定額 |
| 遺族厚生年金 | 配偶者、子、父母、孫、祖父母の順 | 亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3 |
| 寡婦年金 | 夫を亡くした妻(60歳から65歳まで) | 夫の第1号被保険者期間で計算した老齢基礎年金の4分の3 |
| 死亡一時金 | 生計を同じくしていた遺族 | 納付月数に応じて12万円から32万円 |
遺族基礎年金の「子」は、18歳到達年度の末日までの子(障害等級1級・2級なら20歳未満)を指します。
寡婦年金と死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者だった方の制度で、どちらか一方を選びます。死亡一時金の時効は2年です。 未支給年金の5年より短いので、先に確認してください。
親が高齢で、子がすでに独立している場合、遺族基礎年金は出ません。配偶者が残っていれば遺族厚生年金の対象になり得ます。金額は毎年度改定されるため、年金事務所で試算してもらうのが確実です。
手続きの順番

- 市区町村に死亡届を出す(7日以内)— ここから年金機構へ情報が伝わる
- 年金証書と直近の振込通知書を探す(基礎年金番号が要る)
- 年金事務所に電話し、未支給年金の有無を確認する(予約も取る)
- 戸籍と住民票を集める(1週間から2週間)
- 請求書を提出する(窓口または郵送)
- 審査を経て入金(おおむね2か月から4か月)
3を先にやると、必要書類を教えてもらえるので手戻りが減ります。年金事務所は予約制のところが多く、電話で予約を取ってから行くと待ち時間が短くなります。
企業年金(確定給付年金、企業年金基金)や iDeCo は、日本年金機構とは別の窓口です。年金証書とは別に通知が届いているはずなので、郵便物を確認してください。放置すると、こちらも受け取り漏れになります。
年金が止まると、実家のお金の流れが変わる
親の年金は、そのまま親の口座に入っていました。年金が止まり、口座も凍結されると、その口座から引き落としていたものが全部止まります。
- 実家の電気、ガス、水道
- 固定資産税の口座振替
- 火災保険の保険料
- 介護保険料、後期高齢者医療保険料の精算
口座が凍結された後も、実家の維持費は毎月出ていきます。 誰がいったん立て替えるかを、早い段階で決めておきます。立て替えた分は、領収書を残しておけば遺産分割で精算できます。
火災保険は特に注意が必要です。保険料の引き落としが止まると失効し、空き家のまま火災が起きても補償されません。契約者の名義変更と、支払方法の変更を早めに手続きします。
親の年金が生活の中心だった場合、その収入が止まったところで実家の扱いを決めることになります。売るのか、貸すのか、当面は空き家のまま持つのか。年間の維持費と、売った場合の手取りを並べてから判断してください。
名義変更と解約が、まとめて来る
年金、預貯金、公共料金、不動産。名義が親のままの契約を1つずつ追いかけるのが、いちばん時間を取ります。 戸籍収集から預貯金の解約、不動産の名義変更まで一括で任せられます。初回相談は無料です。
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つまずきやすい8つ

- 死亡届を出したから終わりだと思った — 未支給年金は別に請求する
- 年金証書が見つからない — 基礎年金番号があれば手続きできる。年金事務所で確認できる
- 振り込まれた分を使ってしまった — 翌月以降の分は返納する。先に金額を確認する
- 別居だから無理だと思った — 仕送りや訪問の事実があれば請求できる
- きょうだい全員で分けようとした — 遺産分割の対象ではない。請求した人の権利
- 相続放棄したので諦めた — 相続財産ではないので受け取れる
- 死亡一時金の2年を過ぎた — 未支給年金の5年とは別。先に確認する
- 企業年金を忘れた — 日本年金機構とは窓口が違う
よくある質問
Q. 年金事務所はどこでもいいですか
全国どこの年金事務所でも受け付けています。亡くなった方の住所地に限りません。郵送でも提出できます。
Q. 未支給年金はいくらになりますか
亡くなった月と、直前の振込日の関係で変わります。偶数月の15日に前2か月分が振り込まれるため、最小で1か月分、最大で3か月分です。
Q. 未支給年金を請求しないとどうなりますか
そのまま国に残ります。誰かに自動的に渡ることはありません。時効は5年です。
Q. 遺族が誰もいない場合はどうなりますか
3親等内の親族もいない場合、未支給年金は支給されません。相続人が請求することもできません。
Q. 介護保険料や後期高齢者医療保険料は、どうなりますか
年金から天引きされていた分は、亡くなった時点で止まります。過払いがあれば還付され、不足があれば相続人に請求されます。市区町村から通知が届きます。
Q. 加給年金や振替加算も止まりますか
止まります。配偶者が受けていた振替加算は、その配偶者が生きている限り続きます。
Q. 確定申告は必要ですか
亡くなった年の年金収入については、準確定申告が必要になる場合があります。未支給年金は受け取った遺族の一時所得で、50万円の特別控除があるため、他に一時所得がなければ課税されません。
Q. 手続きを代理人に頼めますか
頼めます。委任状が必要です。司法書士や行政書士に依頼することもできますが、未支給年金の請求だけなら、自分で出しても難しくありません。
Q. 入金までどれくらいかかりますか
書類がそろってから、おおむね2か月から4か月です。不備があると、そのぶん延びます。
Q. 年金を受け取る前に亡くなった場合はどうなりますか
年金を請求しないまま亡くなった場合でも、受給権が発生していれば遺族が請求できます。65歳を過ぎて手続きをしないままだった、繰下げ受給の申出を検討している途中だった、といったケースです。年金事務所で受給権の有無を確認してください。
Q. 亡くなった後に届いた「ねんきん定期便」はどうしますか
処分して構いません。ただし、そこに書かれた加入記録は、遺族年金の判定に使う情報です。手続きが終わるまでは保管してください。
Q. 実家の売却と、どちらを先にやりますか
年金の手続きが先です。日数がかかるうえ、書類の重複が少ないため並行できます。実家の売却は相続登記が終わらないと進みません。
まとめ
- 死亡届の期限は厚生年金10日以内、国民年金14日以内
- マイナンバーが収録されていれば死亡届は原則不要。収録率は99.8パーセント(令和5年9月)
- 省略できないのが未支給年金の請求。時効は5年
- 年金は偶数月15日に前2か月分の後払い。必ず未払いが残る
- 亡くなった月の分まで受け取れる。翌月以降の分は返納する
- 請求できるのは配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、3親等内の親族の順
- 生計同一が条件。別居でも仕送りや訪問の事実があれば認められる
- 未支給年金は相続財産ではない。相続税はかからず、一時所得になる
- 相続放棄をしても受け取れる。遺産分割の対象にもならない
- 遺族年金は別の判定。死亡一時金の時効は2年で、未支給年金より短い
- 入金まで2か月から4か月。企業年金と iDeCo は窓口が別
年金の手続きは、止めることより受け取ることのほうが手間がかかります。年金証書と直近の振込通知書を探すところから始めてください。
実家をどうするかは、金額を見てから決める
年金が止まると、実家の維持費だけが毎月出ていきます。売った場合の手取りが分からないままでは、持ち続ける判断もできません。 訪問査定まで無料で、複数社の金額を比べられます。
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この記事について
執筆:葉山 湊(はやま みなと)
自身の家族の実家じまいを経験し、そのときに「どこにも書かれていなかったこと」を出発点にこのサイトを立ち上げました。税理士・宅地建物取引士などの資格は保有していません。制度や統計については、必ず一次情報(厚生労働省・e-Gov法令検索・調査の発表元)にあたって記事に反映しています。
本記事の主な出典は次のとおりです。
・死亡届の期限と省略の条件:日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
・未支給年金の請求と時効:日本年金機構「亡くなった方の未支給年金を受け取れるとき」
・マイナンバーの収録率(令和5年9月時点で99.8パーセント):内閣官房ほか「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(令和6年6月)
・遺族厚生年金の額:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
・死亡一時金の額と時効:日本年金機構「死亡一時金」
・未支給年金が相続財産に属さないこと:最高裁判所 平成7年11月7日 第三小法廷判決
年金額は毎年度改定されます。本記事の内容は2026年9月23日時点の公表情報にもとづきます。実際の受給要件と金額は、年金事務所でご確認ください。

