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遠方の空き家管理はいくら?代行の相場と、自分で通う場合の実費を比べる

管理されていない空き家の外観 実家の売却・活用
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相続した実家が遠い。売るか貸すかはまだ決まらない。とりあえず月に1回は見に行かないと——。

その「とりあえず」が、いちばん高くつきます。

代行に頼むのが高いと思って自分で通っている人は多いのですが、交通費と時間を数字にすると、たいてい逆になります。

みどりみどり
実家は車で片道3時間です。月に一度は行くようにしていますが、正直きつくて。管理を頼むと高いんですよね。
たくみ先生たくみ先生
代行は月1回で5,000〜10,000円が相場です。片道3時間なら、ガソリン代と高速代だけでそれを超えることが多いですよ。まず自分の実費を出してみてください。

結論|先に3つ

空き家管理でまず押さえる3つのこと

1. 代行の相場は月1回で5,000〜10,000円

戸建ての基本メニューで、換気・通水・外観確認・郵便物の整理が入ります。

2. 自分で通うほうが高いことが多い

片道100kmを超えると、交通費だけで代行の月額に並びます。時間を1時間2,000円で数えると、差はさらに開きます。

3. 管理しないと固定資産税が上がることがある

管理不全空家に指定されて勧告を受けると、住宅用地の特例が外れます。

管理を続けるか、手放すかは金額を見てから決まる

月々の管理費を払い続けるか、売って終わらせるか。判断には売却額が要ります。空き家や古い戸建てを専門に扱う査定なら、傷んだ家でも金額が出ます。無料で、売ると決めていなくても取れます。

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管理しないと、家はどれくらい早く傷むか

人が住まない家が傷むのは、掃除をしないからではありません。空気が動かないからです。

湿気がこもる

換気をしないと湿気が抜けず、壁の内側や床下でカビが育ちます。木材が湿ったままだと、シロアリの侵入も早まります。

排水管の水が蒸発する

排水口の下にはS字の水たまり(封水)があり、下水の臭いや虫の侵入を止めています。使わないと2〜3か月で蒸発し、臭いと虫が上がってきます。

雨漏りが放置される

見に行かなければ気づけません。天井のシミが1年放置されると、下地から作り直すことになり、修繕費が跳ね上がります。

郵便物があふれる

ポストが満杯だと、人が住んでいないことが外から分かります。空き巣や不法投棄の対象になりやすくなります。

庭が伸びる

草木は季節を選びません。近隣からの苦情でいちばん多いのが、庭の草と越境した枝です。


空き家の管理でやること

やること 頻度の目安
窓を開けて換気する 月1回・30分以上
蛇口とトイレの水を流す 月1回
雨漏り・水漏れの確認 月1回
郵便物の回収 月1回
庭木・雑草の手入れ 年2〜4回
簡単な清掃 月1回
外観の写真を撮る 毎回

写真を残す意味

前回との違いが分かります。屋根や外壁の傷み、庭の伸び方を比べられるので、修繕の時期を判断できます。売るときにも、管理してきた証拠になります。

通水は全部の蛇口で

台所だけでは足りません。浴室、洗面、トイレ、屋外の水栓まで、一通り流してください。

ブレーカーは落とすか

換気扇や照明を使うなら入れたままにします。長期間まったく行かない場合は落としますが、冬季に凍結防止のヒーターが必要な地域では落とさないでください。


季節によって、やることが変わる

毎月同じ作業をしていればよい、というものではありません。

春(3〜5月)

草が伸び始めます。5月に一度刈っておくと、夏の繁茂がかなり抑えられます。 花粉や黄砂で外壁が汚れるので、様子を見ておきます。

夏(6〜8月)

湿気とシロアリの季節です。梅雨の前後に床下と押し入れを確認します。台風のあとは、屋根材や雨どいが外れていないかを見ます。草は1か月で膝の高さまで伸びます。

秋(9〜11月)

落ち葉が雨どいを詰まらせます。詰まったまま冬を越すと、雨水があふれて外壁を傷めます。 台風シーズンの後片付けもここです。

冬(12〜2月)

寒冷地では水道管の凍結対策が要ります。水抜きをするか、凍結防止のヒーターを入れます。雪の重みでカーポートや物置がつぶれることもあります。

代行に頼むときの確認点

季節の作業がプランに含まれるか、オプションかで総額が変わります。年間の見積もりで比べてください。

みどりみどり
月額だけ見て契約しそうでした。草刈りは別料金なのですね。
たくみ先生たくみ先生
多くの会社で別です。年2回の草刈りを入れると、それだけで1万〜6万円かかります。月額×12ではなく、オプション込みの年額で比べてください。

自分で通う場合の実費を出す

距離別・自分で通う場合の年間コスト

ここを数字にしないまま「代行は高い」と判断している人が多くいます。

車で行く場合(月1回・年12回)

片道 ガソリン代 高速代 年間の交通費
50km 往復約1,300円 往復約2,000円 約4万円
100km 往復約2,600円 往復約4,000円 約8万円
200km 往復約5,200円 往復約8,000円 約16万円

燃費15km/リットル、ガソリン175円/リットルで計算しています。

新幹線を使う場合

往復1万5,000円の距離なら、年間18万円です。現地でレンタカーやタクシーを使えば、さらに加算されます。

時間の値段

片道3時間なら、往復と作業で1日がつぶれます。年12回で12日です。休日の1日を5,000円と置いても、年6万円分になります。

宿泊が必要な距離なら

日帰りできない距離では、1回あたり1万円前後の宿泊費が上乗せされます。年12回なら12万円です。

みどりみどり
車で片道180kmです。計算したら、交通費だけで年間15万円近くありました。
たくみ先生たくみ先生
代行なら月8,000円で年9万6,000円です。すでに逆転しています。しかも通う時間が丸ごと空きます。

水道・電気・ガスをどうするか

止めるか残すかで、管理のしやすさと費用が変わります。

止める 残す
水道 基本料金が不要 通水ができる。管理には必須
電気 基本料金が不要 換気扇・照明・防犯機器が使える
ガス 基本料金が不要 使う場面はほぼない

基本料金の目安

水道が月1,500円前後、電気が月1,000円前後です。年間で3万円ほどなので、管理を続ける前提なら残すほうが合理的です。

ガスは止めてよい

管理で使う場面がありません。閉栓しておくと、事故のリスクも減ります。

水道を止めると通水ができない

封水が切れて臭いと虫が上がります。代行に頼む場合も、水道が止まっていると作業ができません。契約前に開栓しておいてください。

冬季の凍結対策

寒冷地では、水抜きをして止めるか、通水を続けて凍結防止のヒーターを入れるかを選びます。凍結して破裂すると、修理費のほかに水道料金も請求されます。


代行サービスの費用相場

空き家管理代行の料金相場
プラン 月額の目安 含まれることが多い作業
月1回・戸建て 5,000〜10,000円 換気・通水・外観確認・郵便物整理・報告書
月2回・戸建て 16,000〜18,000円 上記を月2回
3か月に1回 1回3,000〜5,000円 最低限の確認
マンション 3,000〜6,000円 室内中心(外回りがないため安い)

オプションになりやすいもの

  • 草刈り・庭木の剪定(1回5,000〜3万円)
  • 雪下ろし(地域により1回1万〜5万円)
  • 室内の清掃(1回5,000〜1万5,000円)
  • 郵便物の転送(実費+手数料)

遠方だと交通費が加算される

サービス提供エリアの外にある場合、出張費がかかることがあります。契約前に、その住所が基本料金の範囲かを必ず確認してください。

シルバー人材センターという選択肢

自治体のシルバー人材センターが、草刈りや簡易な見回りを引き受けている地域があります。1回2,000〜4,000円程度と安い反面、報告書の作成や室内の点検までは対応しないことが多くなります。


代行と自分、どちらが安いか

分岐点は片道100km前後

車で片道100kmを超えると、交通費だけで月8,000円前後になり、代行と並びます。時間を金額に換算すれば、片道50kmでも代行のほうが有利になることがあります。

それでも自分で行く価値があるケース

  • 実家に思い入れがあり、行くこと自体が目的になっている
  • 近所付き合いがあり、顔を出す必要がある
  • 荷物の片付けを少しずつ進めている

組み合わせるという手もある

普段は代行に任せ、年に2〜3回だけ自分で行く形です。頻度を落とすだけで、交通費は3分の1になります。

判断の材料は3つ

片道の距離、月に何回行くか、その家をいつまで持つか。この3つが決まれば、答えは自然に出ます。


誰に頼めるか|4つの選択肢

頼む相手 費用の目安 特徴
空き家管理の専門業者 月5,000〜10,000円 報告書が詳しい。全国展開の会社もある
地元の不動産会社 月3,000〜8,000円 売却や賃貸の相談も一緒にできる
シルバー人材センター 1回2,000〜4,000円 安い。作業は限定的で室内は不可のことも
警備会社 月3,000〜10,000円 見回りと通報が中心。清掃は含まないことが多い

専門業者

報告書に写真が多く、室内まで見てくれます。遠方で状況がまったく分からない場合は、これがいちばん安心です。

地元の不動産会社

将来売る予定があるなら相性がよい選択です。管理を通じて物件の状態を把握してもらえるので、売却の相談に移りやすい利点があります。

シルバー人材センター

草刈りや簡単な見回りに向きます。市区町村の窓口に問い合わせます。繁忙期は数か月待つことがあるので、早めに相談してください。

警備会社

侵入と火災の検知が主目的です。管理というより防犯として考えます。


契約前に確認する10項目

1. その住所は基本料金の範囲か
2. 訪問の頻度と、1回あたりの滞在時間
3. 室内に入るか、外観だけか
4. 報告書の写真は何枚か
5. 草刈りは含まれるか、いくらか
6. 郵便物はどう扱うか(回収・転送・処分)
7. 鍵の管理方法と、紛失時の対応
8. 賠償責任保険に入っているか
9. 台風や地震のあとの臨時対応
10. 解約の条件と違約金

このうち5番と10番が、後で問題になりやすい点です。草刈りの単価と、売却が決まったときの解約条件は、契約前に書面で確認してください。


サービスの選び方

報告書の中身を見る

写真が何枚付くか、どこを撮るかは会社によって違います。外観だけの報告では、雨漏りに気づけません。 室内の点検が入るかを確認してください。

鍵を預けるかどうか

室内の管理には鍵を渡す必要があります。管理方法と、紛失時の対応を契約書で確認します。

損害保険に入っているか

作業中に設備を壊した場合の賠償です。加入していない業者もあります。

解約の条件

売却が決まったら解約します。最低契約期間や違約金の有無を、契約前に確認してください。

緊急時に動けるか

台風や地震のあと、臨時で見に行ってもらえるか。別料金でも対応可能かどうかは大きな差になります。

家財が残っているなら、管理より先に片付ける

家財が残ったままだと、管理の手間も売却の話も進みません。不用品回収は、量と品目で見積もりが変わります。複数社に出すと金額の幅が見えます。無料で見積もりだけ取れます。

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相続した直後にやっておくこと

管理を始める前に、済ませておくと後が楽になる手続きがあります。

1. 相続登記

2024年4月から義務です。3年以内に済ませないと10万円以下の過料の対象になります。名義が親のままでは、売ることも貸すこともできません。

2. 火災保険の名義変更

親の名義のままだと、事故のときに支払いを受けられないことがあります。あわせて、空き家になったことを保険会社に伝えてください。

3. 郵便物の転送届

日本郵便に転送届を出すと、1年間は自分の住所に届きます。ポストがあふれる状態を防げる、いちばん簡単な対策です。期限が来たら更新します。

4. 公共料金の名義変更

引き落とし口座が凍結されていると、知らないうちに滞納になります。

5. 近所への挨拶

管理する意思があることを伝えておくと、苦情ではなく連絡をもらえるようになります。

みどりみどり
郵便物の転送は思いつきませんでした。
たくみ先生たくみ先生
無料でできて、効果がいちばん大きい対策です。ポストがあふれていると、人が住んでいないことが外から分かってしまいます。

管理不全空家に指定されると、税金が上がる

2023年の法改正で、新しい区分ができました。

3つの段階

状態 何が起きるか
通常の空き家 住宅用地の特例が適用され、固定資産税は6分の1
管理不全空家 指導・勧告の対象。勧告を受けると特例が外れる
特定空家 勧告・命令の対象。従わないと行政代執行

管理不全空家とは

そのまま放置すれば特定空家になるおそれのある状態です。窓が割れている、屋根材が飛びそう、庭が繁茂している——このあたりが目安になります。

税額はどれくらい変わるか

住宅用地の特例が外れると、土地の固定資産税は最大で6倍になります。年5万円だったものが30万円になる計算です。

指定は突然ではない

まず指導があり、改善されなければ勧告に進みます。指導の段階で草を刈れば、そこで止まります。 通知を放置しないことが大切です。


空き家の防犯でやれること

人が住んでいないことが分かると、狙われやすくなります。

外から見て「管理されている」状態にする

ポストが空、庭の草が短い、雨戸が開閉されている。この3つがそろっていれば、放置されていないと判断されます。高い機器を入れるより効果があります。

タイマーで照明をつける

数千円のタイマーコンセントで、夕方から数時間だけ照明を点けられます。電気を残しておく価値はここにもあります。

貴重品と権利証は置かない

通帳、印鑑、権利証、貴金属は必ず持ち出してください。空き家に入られる被害でいちばん多いのは、金目のものではなく書類の持ち去りです。

鍵は交換する

親が誰に合鍵を渡していたか、把握できていないことがほとんどです。シリンダー交換は1万〜3万円です。

近所に連絡先を渡す

異変があったときに知らせてもらえます。費用ゼロで、効果は最も大きい対策です。

合鍵が何本あるかを、先に確かめる

空き家の鍵は、親が誰に渡していたかを把握できていないことがほとんどです。きょうだいや孫のほか、訪問看護やヘルパーの事業所、デイサービスの送迎、近所の人、賃貸に出していた時期の入居者に渡っていることがあります。親の手帳や書類箱に「いつ誰に渡した」というメモが残っていることもあります。

交換したほうがよい交換しなくてよい
家族以外に渡っていた 家族だけが持っている
事業者に預けていた 本数を全部把握できている
賃貸に出していた時期がある 数か月以内に解体する
何本あるか分からない —

シリンダー交換は1万〜2万円、防犯性の高いディンプルキーなら2万〜4万円です。築40年を超える家ではドアの規格が合わず、ドアごとの交換で10万円を超えることもあります。片付けの業者が出入りするあいだは受け渡しが続くので、中を空にしてから交換すると手間が減ります。

遠方から鍵を預けるとき

いちばん現実的なのはキーボックスです。玄関ドアや門扉に掛けると「ここは空き家です」という目印になるので、道路から見えないメーターボックスの中に置きます。業者に番号を伝えたら作業後に変え、誕生日や住所の数字は使いません。電池で動くスマートロックは、電池が切れても気づく人がいない空き家には向きません。

親族でも業者でも、口頭で渡さず、何本・いつ・何のために・いつ返すか・複製しないことを書き残します。「玄関(主)・長男・2026年9月1日・売却時に返却」のように1本ずつ記録し、行方が分からない鍵は「不明」の行を作っておくと、交換の判断ができます。この記録は、売却や解体で鍵を引き渡すときにもそのまま使えます。


管理を始める前に、写真を撮っておく

使われていない家の室内

最初の状態を残しておくと、あとで役に立ちます。

何を撮るか

外観を四方から、屋根、雨どい、外壁のひび、室内の各部屋、水回り、床下点検口の中。日付が分かる形で保存してください。

役に立つ場面

  • 代行業者に状態を正確に伝えられる
  • 台風や地震のあと、損傷が新しいものかを判断できる
  • 保険金の請求で、被害の前後を示せる
  • 売却時に、買い手へ状態を説明できる

業者の報告書と比べる

管理を頼んだあと、報告書の写真と最初の写真を並べると、劣化の進み方が見えます。修繕の判断がしやすくなります。


空き家の火災保険は、条件が変わる

住宅物件から一般物件へ

人が住んでいない家は、契約上の扱いが変わることがあります。保険料が上がり、補償の範囲も狭くなります。

そもそも加入を断られることがある

長期間放置され、傷みが進んだ家は引き受けてもらえないことがあります。

名義変更を忘れない

相続後も親の名義のままだと、事故のときに支払いを受けられないことがあります。管理を始める前に、まず保険の名義と補償内容を確認してください。

近隣への賠償

瓦が飛んで隣家の車を壊した、といった場合に備える特約があります。空き家では、この部分がとくに重要になります。

住宅物件から一般物件になると変わること

火災保険の料率は、住宅物件・一般物件・工場物件・倉庫物件の4つの区分で決まります。誰も住んでいない家は住宅物件に当たらず、一般物件として扱われるのが原則です。

項目住宅物件一般物件(空き家)
加入できる商品 選択肢が多い 限られる
家財の補償 付けられる 付けにくい、または不可
地震保険 付帯できる 付帯できないことが多い
引き受け 通常 断られることがある

「空き家にすると保険料は何倍か」という業界横断の公表データはありません。金額を知る方法は、所在地・構造・築年数・延床面積に加えて「空き家である」ことを伝えて見積もりを取ることだけです。保険会社に断られても、都道府県民共済やJA共済などの共済が引き受けることがあります。水道や電気を止めても住宅物件には戻らないので、空き家になったこと自体は保険会社に伝えてください。

もらい火は賠償されず、塀や庭木は責任を負う

失火責任法により、隣家から出火して実家が燃えても、火元に重大な過失がなければ賠償を請求できません。自分の火災保険で直すしかないということです。逆に、空き家から出火した場合も重過失がなければ責任を負いませんが、侵入されやすい状態を長く放置していた、指導を受けても改善しなかった、といった事情があると重過失を問われる余地が出てきます。

一方、ブロック塀の倒壊、瓦や外壁の落下、庭木の倒木は火災ではないので、失火責任法の外にあります(民法717条)。重過失がなくても所有者が責任を負い、「遠方に住んでいて知らなかった」は理由になりません。空き家でも付帯できる個人賠償責任の特約があるかを、保険会社に確認してください。

相続後は、保険の名義変更も忘れないでください。親名義の口座から保険料を引き落としていると、口座の凍結で保険料が止まり、気づかないまま失効することがあります。


近所とのトラブルは、草から始まる

苦情の中身

草が伸びて種が飛ぶ、枝が道路にはみ出す、虫が発生する、ごみを捨てられる。火事や倒壊より、日常的な苦情のほうが圧倒的に多くなります。

越境した枝は切ってもらえる

2023年の民法改正で、隣地の枝が越境した場合、催告しても切らないときは自分で切れるようになりました。逆に言えば、こちらの枝が越境していれば、隣家に切られても文句は言えません。

連絡先を伝えておく

近所の一軒に連絡先を渡しておくと、異変があったときに教えてもらえます。管理の質が一段上がる、費用ゼロの方法です。


家財が残っていると、すべてが止まる

実家の家財を片付ける費用の目安

管理を頼むときも、売るときも、家財の有無で話が変わります。

費用の目安

間取り 費用の目安
2DK 10万〜25万円
3LDK 20万〜50万円
一戸建て(荷物が多い) 40万〜80万円

先送りするほど高くなる

湿気で家財が傷み、処分の手間が増えます。害虫が発生すると、駆除の費用も乗ります。

買取と回収を分ける

貴金属や骨董、状態のよい家具は買取に回せます。回収だけを頼むと、値の付くものまで処分費を払って捨てることになります。

遠方でも立ち会いなしでできるか

鍵を預けて作業してもらえる会社もあります。ただし「捨ててよいもの」の線引きは、事前に写真で確認しておいてください。

みどりみどり
片付けはいつかやろうと思って、3年経ってしまいました。
たくみ先生たくみ先生
その間の管理費と、傷んだ分の処分費が積み上がっています。片付けは、早いほど安い作業です。まず見積もりだけ取ってみてください。

貸すという選択肢の現実

「使わないなら貸せばいい」と言われますが、条件があります。

修繕費が先に出ていく

築40年を超える木造では、水回りの交換だけで100万〜200万円かかることがあります。家賃5万円なら、回収に3年前後かかる計算です。

借り手が付く立地か

駅や病院、学校からの距離が効きます。周辺に空室が目立つ地域では、修繕しても埋まらないことがあります。

貸すと売りにくくなる

入居者がいる状態では、買い手が限られます。将来売る可能性があるなら、定期借家契約にしておく方法があります。

管理は結局必要

貸せば管理から解放されるわけではありません。設備の故障やクレームへの対応が発生します。管理会社に任せると、家賃の5%前後が費用になります。


いつまで管理するのかを決める

管理は手段であって、目的ではありません。

期限を決めずに始めると終わらない

「片付いたら考える」「落ち着いたら決める」で、5年経つ家は珍しくありません。その間、月8,000円なら48万円が出ていきます。

3つの出口

出口 向いている場合
売る 住む予定がなく、修繕にお金をかけたくない
貸す 立地がよく、修繕費を回収できる見込みがある
解体して土地を活用する 建物の傷みが激しく、土地に需要がある

建物が古いなら、修繕より売却が現実的

築40年を超える木造は、貸すために数百万円の修繕が必要になることがあります。家賃で回収できるかを先に計算してください。

解体は税金が上がる点に注意

更地にすると住宅用地の特例が外れます。解体したまま置くのがいちばん高くつきます。

持ち続けるか手放すかは、金額を並べてから

売った場合の金額と、活用した場合の収支。この2つがそろえば判断できます。どちらも無料で取り寄せられて、決めていなくても構いません。

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空き家バンクと自治体の支援

空き家バンク

自治体が空き家の情報を登録し、移住希望者などに紹介するしくみです。仲介手数料がかからない場合もありますが、成約までに時間がかかり、価格も低くなりがちです。

管理費用の補助

一部の自治体で、空き家の管理や解体に補助金を出しています。金額は数十万円規模のこともあるので、市区町村の空き家担当課に確認する価値があります。

シルバー人材センターの活用

自治体が窓口になっていることが多く、地元の相場で草刈りを頼めます。


解体して更地にする場合

解体後の費用と固定資産税の変化

解体費の目安

木造30坪で100万〜200万円です。前面道路が狭く重機が入らない場合、手壊しになって割高になります。

固定資産税が上がる

住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税は最大6倍になります。年5万円が30万円になることもあります。

それでも解体が有利な場合

  • 建物の傷みが激しく、買い手が「解体前提」でしか見ない
  • 更地にすることで買い手の層が広がる
  • 管理不全空家の勧告を受けている

解体してから売るか、そのまま売るか

売却額の差が解体費を上回るかどうかで判断します。 両方の想定で査定を取れば、その差が見えます。解体費を買主負担にして値引きする方法もあります。

補助金がある自治体もある

老朽化した空き家の解体に、数十万円の補助を出している自治体があります。着工前の申請が条件なので、壊す前に確認してください。


5年持ち続けた場合の総額を出してみる

判断に迷ったら、期間を区切って総額を出します。

項目 5年間の合計
管理代行(月8,000円) 48万円
草刈り(年2回・1回1万円) 10万円
固定資産税(年5万円) 25万円
火災保険(年2万円) 10万円
水道・電気の基本料金 15万円
合計 約108万円

自分で通う場合はさらに増える

片道100kmを月1回なら、5年で交通費40万円が上乗せされます。

売却額と比べる

築古の戸建てでも、土地に値が付けば数百万円になります。5年分の維持費が売却額の何割にあたるかを見ると、判断がはっきりします。

持ち続ける理由があるなら問題ない

いずれ子が住む、将来的に値上がりが見込める、といった理由があれば、費用を払う意味があります。理由がないまま払い続けているかどうかが分かれ目です。


やってはいけない5つ

1. 「とりあえず自分で通う」を続ける

実費を出さないまま、いちばん高い方法を選び続けることになります。

2. 通水を台所だけで済ませる

浴室やトイレの封水が切れると、臭いと虫が上がります。

3. 行政からの通知を放置する

指導の段階なら、草を刈るだけで終わります。勧告まで進むと税額が変わります。

4. 火災保険をそのままにする

名義と契約区分を確認しないと、いざというときに使えません。

5. 出口を決めずに管理だけ続ける

期限を決めてください。管理費は毎月出ていきます。


よくある質問

Q. 月1回も行けません。3か月に1回では足りませんか

A. 封水は2〜3か月で蒸発します。最低限、3か月に1回は通水してください。それも難しいなら、封水の蒸発を防ぐ薬剤を使う方法があります。

Q. 管理代行を頼むと、勝手に家の中を見られませんか

A. 契約で作業範囲を決めます。室内に入らないプランもあります。写真の撮影範囲も指定できます。

Q. 電気と水道は止めるべきですか

A. 換気扇や照明を使うなら電気は必要です。水道も通水のために必要です。両方止めると管理そのものができなくなります。

Q. 実家の荷物が残ったままです

A. 家財があると管理の手間が増え、売却時にも減額の要因になります。片付けを先に済ませるほうが、結果として安く済みます。

Q. 管理代行の費用は経費になりますか

A. 賃貸に出している場合は必要経費です。ただの空き家では経費にできません。売却時の取得費にも原則含められません。

Q. 遠方の実家を管理してくれる親戚に、お礼を払うべきですか

A. 金額を決めて渡すほうが、長続きします。「そのうち何かで返す」が、いちばんもめる形です。

Q. 空き家の期間が長いと、売るときに不利ですか

A. 管理されていれば大きな影響はありません。管理されず傷んだ家は、解体前提の価格になります。

Q. 実家が雪国です。冬の管理はどうすればいいですか

A. 水道の水抜きと、雪下ろしの手配が要ります。雪下ろしは1回1万〜5万円で、シーズンに数回必要な地域もあります。年間費用に必ず入れてください。

Q. 空き家に定期的に泊まってもいいですか

A. 問題ありません。むしろ換気と通水になります。ただし住民票を移していなければ、税制上の扱いは空き家のままです。

Q. 管理を頼んだのに、草が伸びたままでした

A. 契約に草刈りが含まれていない可能性があります。基本プランは換気・通水・外観確認までのことが多く、庭はオプションです。

Q. 隣の人から「草を刈ってほしい」と直接言われました

A. 早めに対応してください。放置すると自治体への相談に進み、管理不全空家の指導につながることがあります。

Q. 自分で行くとき、何を持っていけばいいですか

A. 軍手、ごみ袋、雑巾、懐中電灯、カメラ(スマートフォンで可)、虫よけ。夏は草刈り用の道具も要ります。

Q. 何時間くらいかかりますか

A. 換気・通水・点検・郵便物の回収で1〜2時間です。草刈りを入れると半日かかります。

Q. 管理代行の契約は何年単位ですか

A. 月単位の会社が多く、1か月前の申し出で解約できるのが一般的です。年払いで割引になるプランもありますが、売却の予定があるなら月払いが安全です。

Q. 空き家の期間が長いと、火災保険に入れませんか

A. 一般物件として引き受けてもらえることが多いですが、傷みが進むと断られることがあります。保険会社によって基準が違うので、複数社に相談してください。

Q. 管理代行に頼めば、固定資産税の特例は維持されますか

A. 特例は住宅用地であることが条件で、管理の有無とは直接関係ありません。ただし管理していれば管理不全空家の勧告を受けないので、結果として特例は維持されます。


まとめ|まず実費を出す

空き家管理の判断の流れ

1. 自分で通う場合の年間費用を計算する

交通費、宿泊費、時間。この3つを足すと、多くの場合で代行より高くなります。

2. 代行の見積もりを取る

月1回で5,000〜10,000円が目安です。その住所が基本料金の範囲かを確認してください。

3. 出口の期限を決める

いつまでに売る・貸す・解体するかを決めないと、管理費が積み上がります。

4. 通知が来たら、その段階で動く

指導の段階なら草刈りで終わります。勧告まで進むと、固定資産税が最大6倍になります。

この記事について

本記事の内容は2026年9月9日時点の公表情報にもとづきます。料金の相場は事業者と地域によって変わります。補助制度の有無は市区町村ごとに異なるため、お住まいの自治体にご確認ください。

この記事を書いた人
葉山 湊実家じまいガイド運営者

企業の財務・事業の調査(デューデリジェンス)や資産の評価を本業としています。費用は内訳と前提条件に分けて示し、制度や税金は法令と国税庁・法務省・国土交通省・各自治体などの一次情報で確かめて、出典と情報の時点を記事に明記しています。

税理士・司法書士・宅地建物取引士などの資格は保有していません。個別の税務・法律の判断は、専門家にご確認ください。

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