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親が亡くなり、実家の土地を調べたら「田」や「畑」が出てきた。自分は農業をしていないし、住んでいるのも遠い——。
農地は、宅地と同じつもりで扱えません。売るにも貸すにも許可が要り、放っておくと過料の対象になります。
一方で、手を打てば出口は4つあります。
- 結論|先に3つ
- 相続に農業委員会の許可は要らない
- 「農地かどうか」は、登記の地目では決まらない
- 10か月以内に、農業委員会へ届出を出す
- 相続登記も3年以内に済ませる
- 農地が簡単に売れない理由
- 転用できるかどうかで、価値が大きく変わる
- 誰が相続するかを、先に決める
- 出口1|農地のまま売る
- 相続の手続きにかかるお金
- 売ったときの税金
- 出口2|貸す
- 市街化区域内の農地と、生産緑地
- 転用の手続きと、かかる期間
- 出口3|転用して活用する
- 出口4|相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう
- 農地のまま持ち続けるのは、悪い選択か
- 相続放棄という選択肢と、その落とし穴
- 相続税と、納税猶予の特例
- 放置したときにかかるもの
- 国庫帰属制度で断られる土地
- 手続きの順番
- ケース別|実際にどの出口を選ぶか
- 農業委員会に電話でこれだけ聞く
- やってはいけない5つ
- よくある質問
- まとめ|区分を調べるところから始まる
結論|先に3つ

1. 相続に「許可」は要らない。「届出」は要る
農地を売買するには農業委員会の許可が必要ですが、相続はもらう相手を選べないので許可の対象外です。代わりに届出の義務があります。
2. 期限は10か月。過料は10万円以下
相続税の申告期限と同じなので、あわせて進めると忘れません。
3. 出口は4つ。選べる数は「転用できるか」で決まる
同じ広さの農地でも、転用できる区域かどうかで値段は10倍以上変わります。 ここを先に調べないと、売る話も貸す話も前に進みません。
農地の価値は、区域と転用の可否で決まる
農地は一般の仲介では扱いにくく、「値段が付かない」と言われて終わることがあります。相続した不動産をまとめて扱う査定なら、周辺の取引をもとに金額の目安が出ます。無料で、売ると決めていなくても取れます。
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相続に農業委員会の許可は要らない
農地の権利を動かすには、原則として農業委員会の許可が必要です(農地法3条)。買う側が農業をしていることなどが条件になります。
相続は例外
相続は、当事者が相手を選んで権利を移すものではありません。そのため許可の対象から外れています。農業をしていない相続人でも、農地をそのまま引き継げます。
遺産分割でも同じ
相続人どうしの話し合いで誰が取得するかを決める場合も、許可は不要です。
特定遺贈だけは別
遺言で相続人以外の人に特定の農地を譲る場合は、許可が必要になります。遺言書がある場合は、書き方を確認してください。
「農地かどうか」は、登記の地目では決まらない
手続きの前に、その土地が本当に農地なのかを確かめてください。判断の基準は登記簿ではありません。
現況主義
農地法でいう農地は、登記の地目が何であれ、現に耕作されている(またはいつでも耕作できる状態の)土地を指します。登記が「宅地」でも、畑として使っていれば農地です。
逆のケースのほうが多い
登記は「田」「畑」のままで、実際は何十年も放置されて木が生えている——これはよくあります。この場合、農業委員会が「農地ではない」と判断すれば、農地法の手続きは不要になります。
非農地証明
長年耕作されておらず、農地に戻すことが困難な土地は、農業委員会に申請して非農地証明を出してもらえることがあります。認められれば地目変更登記ができ、普通の土地として売れます。
| 農地のまま | 非農地証明が出た場合 | |
|---|---|---|
| 売る相手 | 農業をしている人に限られる | 誰でも |
| 必要な手続き | 農地法3条の許可 | 不要 |
| 価格 | 低い | 周辺の相場に近づく |
申請できるかは市町村次第
「何年放置されていれば認められる」という全国共通の基準はありません。まず農業委員会に現況を伝えて、可能性があるかを聞いてください。ここが通ると、出口の数が一気に増えます。
10か月以内に、農業委員会へ届出を出す

農地法3条の3による届出です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出先 | 農地のある市区町村の農業委員会 |
| 期限 | 相続開始を知った日から10か月以内 |
| 必要なもの | 届出書、登記事項証明書など |
| 費用 | 無料 |
| 怠った場合 | 10万円以下の過料 |
許可ではなく届出
要件を満たしていれば受理されます。審査で落とされる性質のものではないので、身構える必要はありません。
「農地を借りたい人がいれば紹介してほしい」と書ける
届出書には、農地の今後についての希望を書く欄があります。自分で耕さないなら、ここに意思を書いておくと、あとで紹介につながることがあります。
複数の市町村にまたがるとき
農地の所在地ごとに、それぞれの農業委員会へ出します。1か所にまとめて出すことはできません。
相続登記も3年以内に済ませる
2024年4月から、相続登記は義務になりました。
期限と過料
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。
農業委員会への届出とは別の手続き
届出は農業委員会、登記は法務局です。片方を出しても、もう片方は済みません。
登記がないと売れない
亡くなった親の名義のままでは、売買も貸し借りもできません。出口を選ぶ前提として、先に登記を終わらせてください。
戸籍集めから止まる人が多い
農地は代替わりの登記が何代分も止まっていることがあります。出生から死亡までの戸籍をそろえる作業は、慣れていないと数週間かかります。代行の見積もりだけなら無料で取れます。
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農地が簡単に売れない理由
宅地との決定的な違いがここです。
買える人が限られる
農地を農地のまま買うには、農業委員会の許可が要ります。買う側が実際に農業をしていること、農地を効率的に使うことなどが条件です。
面積の下限は廃止された
かつては「50アール以上でなければ許可しない」といった下限面積の要件がありましたが、2023年4月に廃止されました。小さな農地でも許可が取れる余地が広がっています。
それでも買い手は少ない
農業をする人が減っているため、そもそも需要が細っています。農地のままの取引価格は、宅地の10分の1以下になることも珍しくありません。
不動産会社が扱いたがらない
許可の手続きに時間がかかり、金額も小さいためです。「うちでは無理」と言われても、その1社の事情にすぎません。
転用できるかどうかで、価値が大きく変わる

農地を宅地などに変えることを転用といいます。どこまで認められるかは、区分で決まっています。
| 区分 | 転用の可否 | 目安 |
|---|---|---|
| 農用地区域内農地(青地) | 原則できない | まず除外の手続きから |
| 甲種農地 | 原則できない | 大規模で条件のよい農地 |
| 第1種農地 | 原則できない | 集団的な農地 |
| 第2種農地 | 条件つきで可能 | 市街地に近い農地 |
| 第3種農地 | 原則できる | 市街地の中にある農地 |
自分の農地がどれかを調べる
市町村の農業委員会か農政担当課で確認できます。電話でも教えてもらえることが多く、費用はかかりません。この確認が、出口を選ぶ最初の一歩です。
市街化区域なら許可ではなく届出
市街化区域内の農地は、転用が許可制ではなく届出制です。手続きが軽く、期間も短くなります。
転用の許可は誰が取るのか
自分で転用する場合は4条、売る相手が転用する場合は5条の手続きになります。売買では、買主と一緒に進めるのが通常です。
誰が相続するかを、先に決める
農地は「とりあえず共有」にすると、あとの手続きが重くなります。
共有にすると全員の同意が要る
売るにも貸すにも転用するにも、共有者全員の同意が必要です。一人が反対すれば止まります。相続人が高齢だったり遠方だったりすると、書類を集めるだけで数か月かかります。
代償分割という方法
一人が農地を取得し、他の相続人には現金を渡す形です。農地の評価額は低いことが多いので、代償金も小さく収まり、まとまりやすい方法です。
換価分割
売って現金で分ける方法です。ただし農地は買い手が限られるため、売れるまで時間がかかります。分割協議書に「売却して分ける」と書いておき、実際の売却は後から進めます。
農業を継ぐ人がいるなら
その人が単独で相続するのが最も手続きが軽くなります。納税猶予の特例も、農業を続ける相続人でなければ使えません。
出口1|農地のまま売る
相手は農業をしている人
近隣の農家、農業法人が主な買い手です。心当たりがなければ、農業委員会やJAに相談すると紹介につながることがあります。
手続き
売買契約を結び、農業委員会に3条許可を申請します。許可が下りて初めて所有権が移ります。
期間と費用
申請から許可まで1〜2か月程度です。手数料は市町村により、数千円程度のことが多くなります。
価格
地域差が大きく、10アール(1,000平方メートル)で数十万円から200万円程度が一つの目安です。宅地の感覚で考えると落差に驚きます。
相続の手続きにかかるお金
農地そのものの価値が低くても、手続きの費用はかかります。先に総額を把握してください。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 登録免許税(相続登記) | 固定資産税評価額の0.4% |
| 司法書士報酬 | 1件6万〜10万円 |
| 戸籍・住民票などの取得 | 5,000〜2万円 |
| 農業委員会への届出 | 無料 |
| 3条許可の申請手数料 | 数千円程度 |
評価額が低いと登録免許税も安い
評価額100万円の農地なら、登録免許税は4,000円です。宅地に比べて負担は軽く済みます。
司法書士報酬のほうが大きくなる
農地は筆数が多いことがあり、複数の市町村にまたがると手間が増えます。見積もりは筆数と所在地を伝えてから取ってください。
測量が必要になる場合
売却や国庫帰属で境界の確定を求められると、測量費として30万〜80万円かかります。隣地の所有者が不明だと、さらに時間がかかります。
売ったときの税金
農地でも、売却益が出れば譲渡所得税がかかります。
取得費が分からないことが多い
先祖代々の農地は、いくらで手に入れたかの資料が残っていません。その場合、譲渡価額の5%を概算取得費として計算します。100万円で売れたなら取得費は5万円です。
所有期間で税率が変わる
親の所有期間を引き継ぐので、代々持っている農地はほぼ長期譲渡です。所得税15%・住民税5%(別途復興特別所得税)になります。
農地には特別控除がある
農地中間管理機構に売った場合の1,500万円控除、農用地区域内の農地を農業経営基盤強化促進法にもとづき売った場合の800万円控除などがあります。どの制度に乗せるかで税額が大きく変わるので、売り先を決める前に確認してください。
確定申告を忘れない
売った翌年の2月16日から3月15日までに申告します。控除を使うには申告が必須です。
出口2|貸す

耕せないが手放したくない場合の選択肢です。
農地バンク(農地中間管理機構)
都道府県ごとにある公的な仲介役です。機構が農地を借り受け、担い手にまとめて貸し出します。
- 相手を自分で探さなくてよい
- 賃料は機構から支払われる
- 借り手が見つからない農地は、受け付けてもらえないことがある
個人間で貸す
近隣の農家に直接貸す方法です。農地法3条の許可か、農業経営基盤強化促進法による利用権設定の手続きを取ります。
「勝手に使われる」心配について
正式な手続きを踏んで貸した農地は、期間が来れば返ってきます。 昔の小作制度とは別のしくみです。口約束で貸すほうが、かえってもめます。
貸すと固定資産税はどうなるか
農地として使われ続けるので、税額は変わりません。荒らして課税が重くなるより有利です。
市街化区域内の農地と、生産緑地
市街化区域内の農地は、扱いが大きく違います。
原則は宅地並み課税
市街化区域は「市街化を進める区域」なので、農地であっても宅地に近い評価で固定資産税がかかります。広さによっては、年間で数十万円になることもあります。
生産緑地に指定されている場合
営農を続けることを条件に、固定資産税が農地並みに軽くなり、相続税の納税猶予も受けられます。代わりに30年間の営農義務がかかり、その間は原則として建物を建てられません。
主たる従事者が亡くなったとき
生産緑地の農業をしていた人が亡くなった場合、市町村に買取りの申出ができます。 申し出て買い取られなければ、指定が解除され、転用や売却ができるようになります。
2022年に期限を迎えた土地が多い
1992年に指定された生産緑地の多くが2022年に30年を迎えました。多くは特定生産緑地として10年延長されていますが、延長していない土地は制限が外れています。
確認のしかた
市町村の都市計画課で、生産緑地かどうか、特定生産緑地に指定されているかを確認できます。課税明細書の税額が周辺より極端に安ければ、生産緑地の可能性があります。
転用の手続きと、かかる期間

| 区域 | 手続き | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 市街化区域 | 農業委員会へ届出 | 2週間程度 |
| それ以外 | 都道府県知事等の許可 | 1〜3か月 |
許可の場合に見られること
転用後に何をするのか、資金の裏づけがあるか、周辺の農地に影響しないか、といった点です。計画があいまいだと通りません。
申請は自分でもできるが
書類が多く、農地の図面や事業計画も要ります。行政書士に頼むと、10万〜20万円程度が目安です。売買と同時に進める場合は、買主側が手配することもあります。
造成費用を忘れない
田は水を入れる前提の土地なので、宅地にするには盛土と地盤改良が必要です。面積と深さによっては数百万円かかり、転用の可否より費用で断念することがあります。
出口3|転用して活用する
第2種・第3種農地、または市街化区域内の農地なら、現実的な選択肢になります。
何に変えるか
住宅、駐車場、資材置き場、太陽光、賃貸住宅などです。どれが向くかは、道路付け・面積・周辺の需要で決まります。
費用がかかる
転用には造成が伴います。田を埋め立てて宅地にする場合、面積によっては数百万円かかります。収支を出さずに決めないでください。
固定資産税は上がる
農地評価から宅地並み評価に変わります。活用して収入が出るなら問題ありませんが、更地のまま置くと負担だけが増えます。
プランは無料で取り寄せられる
複数社の提案を並べると、その土地に何が向くかが見えます。
転用の見込みが立つなら、活用プランを並べて比べる
アパート・駐車場・戸建賃貸など、土地の条件に合わせた活用プランと収支シミュレーションを、複数社から無料で取り寄せられます。全国対応で、やると決めていなくても請求できます。
プロモーションを含みます。青地(農用地区域内農地)は原則として転用できません。区分を確認してからご利用ください。
出口4|相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう
2023年4月に始まった制度です。相続した土地を、国に引き取ってもらえます。
農地も対象
宅地や森林と並んで、農地も申請できます。耕作されていないことを理由に断られることはありません。
費用
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 審査手数料 | 土地1筆あたり14,000円 |
| 負担金 | 原則20万円 |
市街化区域内や農用地区域内の農地は、面積に応じた算定になり、20万円を超えることがあります。
引き取ってもらえない土地
建物がある、担保が付いている、境界が争いになっている、土壌が汚染されている、崖があって管理に費用がかかる——こうした土地は対象外です。申請前に法務局の相談窓口で確認してください。
期間
申請から結果が出るまで、半年から1年程度かかります。
農地のまま持ち続けるのは、悪い選択か
急いで手放す必要がない場合もあります。
税負担が軽いなら、急がなくてよい
市街化区域外の一般農地なら、固定資産税は年に数千円程度です。持ち続けるコストの中心は税金ではなく、草刈りと通う手間です。
近隣に迷惑をかけていないか
隣の農地に種が飛ぶ、道路に枝がはみ出す、不法投棄される——この状態になっていなければ、当面は様子を見る判断もあります。
親戚が耕している場合
そのまま任せているケースは多くあります。ただし利用権の設定など正式な手続きを踏んでいないと、次の代で「誰の土地か」が争いになります。 今のうちに書面にしてください。
制度は変わる
国庫帰属制度は2023年に始まったばかりで、運用は動いています。いま条件が合わなくても、数年後に選べるようになることがあります。 届出と登記だけ済ませて保留にする、という判断も成り立ちます。
相続放棄という選択肢と、その落とし穴
農地だけを放棄することはできない
相続放棄はすべての財産を放棄する手続きです。預貯金も家も受け取れなくなります。農地が要らないという理由だけで選ぶものではありません。
期限は3か月
相続を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てます。
放棄しても管理義務が残ることがある
現に占有していた場合、次の管理者が決まるまで管理の責任が残ります。「放棄すれば何もしなくてよい」ではありません。
相続税と、納税猶予の特例
そもそも課税されるか
基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。相続人が2人なら4,200万円までは課税されません。農地は評価額が低いため、これを超えないことも多くあります。
農地の評価
市街化区域外の一般農地は、宅地よりかなり低く評価されます。一方、市街化区域内の農地は宅地並みに評価されるため、税額が跳ね上がることがあります。
納税猶予の特例
相続人が農業を続ける場合、農地にかかる相続税の納税が猶予されます。市街化区域外なら、終身営農で最終的に免除されます。
猶予を受けたら途中でやめられない
営農をやめたり売ったりすると、猶予されていた税額に利子税を加えて納めることになります。 続ける確信がないなら、使わない判断も選択肢です。
市街化区域内の農地は、税額が跳ね上がることがある
農地の評価と納税猶予の判断は、区域と営農の見通しで変わります。相続税に強い税理士を無料で紹介してもらえます。相談だけでも構いません。
プロモーションを含みます。
放置したときにかかるもの

| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 固定資産税(一般農地) | 10アールあたり年1,000円前後 |
| 草刈りの委託 | 1回あたり2万〜5万円、年2〜3回 |
| 遠方からの往復 | 交通費と時間 |
税額そのものは軽い
農地の固定資産税は宅地よりかなり安く、負担はさほど大きくありません。
重いのは管理の手間
草を放置すると、種が飛んで近隣の畑に迷惑がかかります。害虫や不法投棄の温床にもなります。農地のトラブルは、税金ではなく草で起きます。
遊休農地には指導が入る
管理されていない農地は、農業委員会から利用の意向を尋ねられます。改善されない場合、固定資産税が重くなる制度もあります。
国庫帰属制度で断られる土地
申請しても引き取ってもらえないケースがあります。申請前に確認してください。
そもそも申請できない土地
- 建物が建っている(納屋や倉庫も含む)
- 抵当権などの担保が設定されている
- 他人が使う権利(賃借権など)が付いている
- 土壌が汚染されている
- 境界が明らかでない、または争いがある
審査で不承認になる土地
- 一定の勾配・高さの崖があり、管理に費用がかかる
- 除去が必要な工作物、車両、樹木がある
- 地下に除去が必要なものが埋まっている
- 隣地の所有者と争いがあり、通行に支障がある
農地でつまずきやすいのは境界
昔の農地は、あぜ道を境にしていて測量されていないことが多くあります。 隣地の所有者と立ち会って確定させる必要があり、ここで数か月かかります。
相談窓口は無料
法務局に事前相談の窓口があります。申請前に、その土地が対象になりそうかを聞けます。手数料14,000円を払う前に一度相談してください。
手続きの順番

1. 区分を調べる(すぐ)
農業委員会に電話で、その農地が何種農地か、農用地区域内かを聞きます。無料です。
2. 相続人を確定し、遺産分割を決める(3か月〜)
放棄する可能性があるなら3か月以内に判断します。
3. 農業委員会へ届出(10か月以内)
4. 相続登記(3年以内)
5. 出口を実行する
1で聞いた区分によって、選べる出口が決まります。 ここを飛ばすと、売れない相手に話を持ちかけることになります。
ケース別|実際にどの出口を選ぶか

ケース1|市街化調整区域の青地、遠方、10アール
転用はまず通りません。農地のまま売るか、農地バンクに出すかの二択です。買い手が見つからないなら、国庫帰属制度が現実的です。負担金20万円と審査手数料14,000円で、以後の管理から解放されます。
ケース2|市街化区域内の農地、駅から徒歩15分、300平方メートル
転用の見込みがあり、宅地としての価値も期待できます。まず宅地として売った場合の金額と、活用した場合の収支を並べてください。 固定資産税が高いので、放置がいちばん損になります。
ケース3|第2種農地、隣が住宅地、親戚が耕している
そのまま貸し続けるのが無難です。正式に利用権を設定しておけば、将来売るときにも整理しやすくなります。口約束のままにすると、次の代でもめます。
判断の分かれ目
固定資産税が安く、近隣に迷惑をかけない状態なら、急いで手放す必要はありません。逆に市街化区域内で税負担が重い場合は、動かないこと自体がコストになります。
農業委員会に電話でこれだけ聞く
最初の一本の電話で、出口はほぼ決まります。聞くことは4つです。
1. この地番の農地は、何種農地ですか
第2種・第3種なら転用の可能性があります。青地なら、まず除外の手続きからになります。
2. 農用地区域内ですか
青地かどうかの確認です。「農振農用地」という言い方をされることもあります。
3. 市街化区域ですか、調整区域ですか
市街化区域なら転用は届出で済み、期間も短くなります。
4. 相続の届出はどの窓口ですか
そのまま届出の手続きも聞いてしまいます。多くの市町村で、この4つは電話だけで答えてもらえます。
答えをメモしておく
不動産会社や司法書士に相談するとき、この4つを伝えられるだけで話が速く進みます。「田んぼを相続しました」だけでは、相手も答えようがありません。
やってはいけない5つ
1. 届出を忘れる
10か月です。過料の対象になります。
2. 区分を調べずに売り先を探す
青地なら転用前提の買い手は付きません。
3. 口約束で貸す
返してもらえないトラブルの原因になります。手続きを踏んでください。
4. 農地だけを理由に相続放棄する
預貯金まで失います。国庫帰属制度を先に検討してください。
5. 納税猶予を安易に使う
途中でやめると、利子税を付けて納めることになります。
よくある質問
Q. 登記地目が「畑」ですが、実際はもう何年も宅地として使っています
A. 現況が優先されます。ただし手続き上は農地として扱われることがあるので、農業委員会に確認してください。地目変更登記が必要な場合もあります。
Q. 相続した農地が遠方で、一度も見に行っていません
A. まず市町村で区分と現況を確認してください。現地に行かなくても、航空写真や固定資産税の課税明細で分かることが多くあります。
Q. 兄弟で共有になっています。売るには全員の同意が要りますか
A. 必要です。持分だけを売ることは理屈上できますが、買い手はまず付きません。分割の方針を先に決めてください。
Q. 農地を駐車場にしたいのですが、届出だけで済みますか
A. 市街化区域内なら届出、それ以外は転用許可が必要です。区分によっては認められません。
Q. 農地バンクに出したら、いつまで戻ってきませんか
A. 契約で期間を決めます。期間が満了すれば返還されます。中途解約の条件は契約前に確認してください。
Q. 国庫帰属制度は、隣の人に迷惑がかかりませんか
A. 国が管理するので、放置するより近隣への影響は小さくなります。境界が確定していることが条件なので、争いがある場合は先に解決が必要です。
Q. 農地の上に古い納屋が建っています
A. 建物があると国庫帰属制度は使えません。解体してからの申請になります。解体費は自己負担です。
Q. 農地を相続したことを、そもそも知りませんでした
A. 届出の期限は「相続開始を知った日から」ではなく「農地を相続したことを知った日から」10か月と運用されています。気づいた時点で農業委員会に事情を説明してください。
Q. 農業委員会がどこにあるか分かりません
A. 農地のある市区町村の役所内にあります。窓口は農政課や産業振興課に置かれていることが多く、代表番号に電話すればつないでもらえます。
Q. 固定資産税の納税通知書が届きません
A. 免税点(課税標準額30万円)未満だと通知が来ないことがあります。所有していないという意味ではありません。名寄帳を取れば所有する土地の一覧が分かります。
Q. 農地バンクに出しても借り手が付きませんでした
A. 条件が悪い農地は受け付けてもらえないことがあります。その場合は、国庫帰属制度か、近隣への売却を検討してください。
Q. 転用して太陽光を置きたいのですが
A. 転用許可の対象です。第2種・第3種農地なら可能性がありますが、地域によって方針が異なります。営農型(ソーラーシェアリング)という選択肢もあります。
Q. 農地の名義が祖父のままです
A. 数代前で止まっている場合、その代の相続人全員を確定させる必要があります。人数が増えるほど大変になるので、早めに司法書士へ相談してください。
Q. 農地を相続したら、必ず農業をしなければいけませんか
A. 義務はありません。ただし耕作放棄のまま放置すると、農業委員会から利用の意向を尋ねられます。
Q. 農地を無償で近所の人にあげたいのですが
A. 贈与にも農地法3条の許可が必要です。相手が農業をしていることが条件になります。
Q. 農地を売ったお金は、きょうだいで分けても税金はかかりますか
A. 売った本人に譲渡所得税がかかります。分割協議で「売って分ける」と決めていれば、各自の持分ごとの申告になります。
Q. 農地の相続で司法書士と行政書士、どちらに頼むのですか
A. 相続登記は司法書士、農地法の許可・届出は行政書士が扱います。両方に対応する事務所もあります。
まとめ|区分を調べるところから始まる
1. 10か月以内に農業委員会へ届出
無料です。忘れると過料の対象になります。
2. 3年以内に相続登記
これがないと売ることも貸すこともできません。
3. 区分を電話で確認する
選べる出口が、ここで決まります。
4. 出口を4つ並べて比べる
農地のまま売る、貸す、転用する、国に引き取ってもらう。どれも「できない」と決めつける前に、金額と期間を出してください。
まず、いくらになるかを知る
農地を含む相続した土地は、扱える会社が限られます。一般の仲介で断られても、相続した不動産をまとめて扱う査定なら金額の目安が出ます。無料で、売ると決めていなくても取れます。
本欄はプロモーションを含みます。掲載内容・条件は各サービスの公式サイトで最新のものをご確認ください。
この記事について
本記事の内容は2026年9月9日時点の公表情報にもとづきます。農地の区分や転用の可否は、市町村ごとの運用によって変わります。手続きの前に、農地のある市区町村の農業委員会にご確認ください。

