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相続した実家が遠い。売るか貸すかはまだ決まらない。とりあえず月に1回は見に行かないと——。
その「とりあえず」が、いちばん高くつきます。
代行に頼むのが高いと思って自分で通っている人は多いのですが、交通費と時間を数字にすると、たいてい逆になります。
- 結論|先に3つ
- 管理しないと、家はどれくらい早く傷むか
- 空き家の管理でやること
- 季節によって、やることが変わる
- 自分で通う場合の実費を出す
- 水道・電気・ガスをどうするか
- 代行サービスの費用相場
- 代行と自分、どちらが安いか
- 誰に頼めるか|4つの選択肢
- 契約前に確認する10項目
- サービスの選び方
- 相続した直後にやっておくこと
- 管理不全空家に指定されると、税金が上がる
- 空き家の防犯でやれること
- 管理を始める前に、写真を撮っておく
- 空き家の火災保険は、条件が変わる
- 近所とのトラブルは、草から始まる
- 家財が残っていると、すべてが止まる
- 貸すという選択肢の現実
- いつまで管理するのかを決める
- 空き家バンクと自治体の支援
- 解体して更地にする場合
- 5年持ち続けた場合の総額を出してみる
- やってはいけない5つ
- よくある質問
- まとめ|まず実費を出す
結論|先に3つ

1. 代行の相場は月1回で5,000〜10,000円
戸建ての基本メニューで、換気・通水・外観確認・郵便物の整理が入ります。
2. 自分で通うほうが高いことが多い
片道100kmを超えると、交通費だけで代行の月額に並びます。時間を1時間2,000円で数えると、差はさらに開きます。
3. 管理しないと固定資産税が上がることがある
管理不全空家に指定されて勧告を受けると、住宅用地の特例が外れます。
管理を続けるか、手放すかは金額を見てから決まる
月々の管理費を払い続けるか、売って終わらせるか。判断には売却額が要ります。空き家や古い戸建てを専門に扱う査定なら、傷んだ家でも金額が出ます。無料で、売ると決めていなくても取れます。
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管理しないと、家はどれくらい早く傷むか
人が住まない家が傷むのは、掃除をしないからではありません。空気が動かないからです。
湿気がこもる
換気をしないと湿気が抜けず、壁の内側や床下でカビが育ちます。木材が湿ったままだと、シロアリの侵入も早まります。
排水管の水が蒸発する
排水口の下にはS字の水たまり(封水)があり、下水の臭いや虫の侵入を止めています。使わないと2〜3か月で蒸発し、臭いと虫が上がってきます。
雨漏りが放置される
見に行かなければ気づけません。天井のシミが1年放置されると、下地から作り直すことになり、修繕費が跳ね上がります。
郵便物があふれる
ポストが満杯だと、人が住んでいないことが外から分かります。空き巣や不法投棄の対象になりやすくなります。
庭が伸びる
草木は季節を選びません。近隣からの苦情でいちばん多いのが、庭の草と越境した枝です。
空き家の管理でやること
| やること | 頻度の目安 |
|---|---|
| 窓を開けて換気する | 月1回・30分以上 |
| 蛇口とトイレの水を流す | 月1回 |
| 雨漏り・水漏れの確認 | 月1回 |
| 郵便物の回収 | 月1回 |
| 庭木・雑草の手入れ | 年2〜4回 |
| 簡単な清掃 | 月1回 |
| 外観の写真を撮る | 毎回 |
写真を残す意味
前回との違いが分かります。屋根や外壁の傷み、庭の伸び方を比べられるので、修繕の時期を判断できます。売るときにも、管理してきた証拠になります。
通水は全部の蛇口で
台所だけでは足りません。浴室、洗面、トイレ、屋外の水栓まで、一通り流してください。
ブレーカーは落とすか
換気扇や照明を使うなら入れたままにします。長期間まったく行かない場合は落としますが、冬季に凍結防止のヒーターが必要な地域では落とさないでください。
季節によって、やることが変わる
毎月同じ作業をしていればよい、というものではありません。
春(3〜5月)
草が伸び始めます。5月に一度刈っておくと、夏の繁茂がかなり抑えられます。 花粉や黄砂で外壁が汚れるので、様子を見ておきます。
夏(6〜8月)
湿気とシロアリの季節です。梅雨の前後に床下と押し入れを確認します。台風のあとは、屋根材や雨どいが外れていないかを見ます。草は1か月で膝の高さまで伸びます。
秋(9〜11月)
落ち葉が雨どいを詰まらせます。詰まったまま冬を越すと、雨水があふれて外壁を傷めます。 台風シーズンの後片付けもここです。
冬(12〜2月)
寒冷地では水道管の凍結対策が要ります。水抜きをするか、凍結防止のヒーターを入れます。雪の重みでカーポートや物置がつぶれることもあります。
代行に頼むときの確認点
季節の作業がプランに含まれるか、オプションかで総額が変わります。年間の見積もりで比べてください。
自分で通う場合の実費を出す

ここを数字にしないまま「代行は高い」と判断している人が多くいます。
車で行く場合(月1回・年12回)
| 片道 | ガソリン代 | 高速代 | 年間の交通費 |
|---|---|---|---|
| 50km | 往復約1,300円 | 往復約2,000円 | 約4万円 |
| 100km | 往復約2,600円 | 往復約4,000円 | 約8万円 |
| 200km | 往復約5,200円 | 往復約8,000円 | 約16万円 |
燃費15km/リットル、ガソリン175円/リットルで計算しています。
新幹線を使う場合
往復1万5,000円の距離なら、年間18万円です。現地でレンタカーやタクシーを使えば、さらに加算されます。
時間の値段
片道3時間なら、往復と作業で1日がつぶれます。年12回で12日です。休日の1日を5,000円と置いても、年6万円分になります。
宿泊が必要な距離なら
日帰りできない距離では、1回あたり1万円前後の宿泊費が上乗せされます。年12回なら12万円です。
水道・電気・ガスをどうするか
止めるか残すかで、管理のしやすさと費用が変わります。
| 止める | 残す | |
|---|---|---|
| 水道 | 基本料金が不要 | 通水ができる。管理には必須 |
| 電気 | 基本料金が不要 | 換気扇・照明・防犯機器が使える |
| ガス | 基本料金が不要 | 使う場面はほぼない |
基本料金の目安
水道が月1,500円前後、電気が月1,000円前後です。年間で3万円ほどなので、管理を続ける前提なら残すほうが合理的です。
ガスは止めてよい
管理で使う場面がありません。閉栓しておくと、事故のリスクも減ります。
水道を止めると通水ができない
封水が切れて臭いと虫が上がります。代行に頼む場合も、水道が止まっていると作業ができません。契約前に開栓しておいてください。
冬季の凍結対策
寒冷地では、水抜きをして止めるか、通水を続けて凍結防止のヒーターを入れるかを選びます。凍結して破裂すると、修理費のほかに水道料金も請求されます。
代行サービスの費用相場

| プラン | 月額の目安 | 含まれることが多い作業 |
|---|---|---|
| 月1回・戸建て | 5,000〜10,000円 | 換気・通水・外観確認・郵便物整理・報告書 |
| 月2回・戸建て | 16,000〜18,000円 | 上記を月2回 |
| 3か月に1回 | 1回3,000〜5,000円 | 最低限の確認 |
| マンション | 3,000〜6,000円 | 室内中心(外回りがないため安い) |
オプションになりやすいもの
- 草刈り・庭木の剪定(1回5,000〜3万円)
- 雪下ろし(地域により1回1万〜5万円)
- 室内の清掃(1回5,000〜1万5,000円)
- 郵便物の転送(実費+手数料)
遠方だと交通費が加算される
サービス提供エリアの外にある場合、出張費がかかることがあります。契約前に、その住所が基本料金の範囲かを必ず確認してください。
シルバー人材センターという選択肢
自治体のシルバー人材センターが、草刈りや簡易な見回りを引き受けている地域があります。1回2,000〜4,000円程度と安い反面、報告書の作成や室内の点検までは対応しないことが多くなります。
代行と自分、どちらが安いか
分岐点は片道100km前後
車で片道100kmを超えると、交通費だけで月8,000円前後になり、代行と並びます。時間を金額に換算すれば、片道50kmでも代行のほうが有利になることがあります。
それでも自分で行く価値があるケース
- 実家に思い入れがあり、行くこと自体が目的になっている
- 近所付き合いがあり、顔を出す必要がある
- 荷物の片付けを少しずつ進めている
組み合わせるという手もある
普段は代行に任せ、年に2〜3回だけ自分で行く形です。頻度を落とすだけで、交通費は3分の1になります。
判断の材料は3つ
片道の距離、月に何回行くか、その家をいつまで持つか。この3つが決まれば、答えは自然に出ます。
誰に頼めるか|4つの選択肢
| 頼む相手 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 空き家管理の専門業者 | 月5,000〜10,000円 | 報告書が詳しい。全国展開の会社もある |
| 地元の不動産会社 | 月3,000〜8,000円 | 売却や賃貸の相談も一緒にできる |
| シルバー人材センター | 1回2,000〜4,000円 | 安い。作業は限定的で室内は不可のことも |
| 警備会社 | 月3,000〜10,000円 | 見回りと通報が中心。清掃は含まないことが多い |
専門業者
報告書に写真が多く、室内まで見てくれます。遠方で状況がまったく分からない場合は、これがいちばん安心です。
地元の不動産会社
将来売る予定があるなら相性がよい選択です。管理を通じて物件の状態を把握してもらえるので、売却の相談に移りやすい利点があります。
シルバー人材センター
草刈りや簡単な見回りに向きます。市区町村の窓口に問い合わせます。繁忙期は数か月待つことがあるので、早めに相談してください。
警備会社
侵入と火災の検知が主目的です。管理というより防犯として考えます。
契約前に確認する10項目
1. その住所は基本料金の範囲か
2. 訪問の頻度と、1回あたりの滞在時間
3. 室内に入るか、外観だけか
4. 報告書の写真は何枚か
5. 草刈りは含まれるか、いくらか
6. 郵便物はどう扱うか(回収・転送・処分)
7. 鍵の管理方法と、紛失時の対応
8. 賠償責任保険に入っているか
9. 台風や地震のあとの臨時対応
10. 解約の条件と違約金
このうち5番と10番が、後で問題になりやすい点です。草刈りの単価と、売却が決まったときの解約条件は、契約前に書面で確認してください。
サービスの選び方
報告書の中身を見る
写真が何枚付くか、どこを撮るかは会社によって違います。外観だけの報告では、雨漏りに気づけません。 室内の点検が入るかを確認してください。
鍵を預けるかどうか
室内の管理には鍵を渡す必要があります。管理方法と、紛失時の対応を契約書で確認します。
損害保険に入っているか
作業中に設備を壊した場合の賠償です。加入していない業者もあります。
解約の条件
売却が決まったら解約します。最低契約期間や違約金の有無を、契約前に確認してください。
緊急時に動けるか
台風や地震のあと、臨時で見に行ってもらえるか。別料金でも対応可能かどうかは大きな差になります。
家財が残っているなら、管理より先に片付ける
家財が残ったままだと、管理の手間も売却の話も進みません。不用品回収は、量と品目で見積もりが変わります。複数社に出すと金額の幅が見えます。無料で見積もりだけ取れます。
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相続した直後にやっておくこと
管理を始める前に、済ませておくと後が楽になる手続きがあります。
1. 相続登記
2024年4月から義務です。3年以内に済ませないと10万円以下の過料の対象になります。名義が親のままでは、売ることも貸すこともできません。
2. 火災保険の名義変更
親の名義のままだと、事故のときに支払いを受けられないことがあります。あわせて、空き家になったことを保険会社に伝えてください。
3. 郵便物の転送届
日本郵便に転送届を出すと、1年間は自分の住所に届きます。ポストがあふれる状態を防げる、いちばん簡単な対策です。期限が来たら更新します。
4. 公共料金の名義変更
引き落とし口座が凍結されていると、知らないうちに滞納になります。
5. 近所への挨拶
管理する意思があることを伝えておくと、苦情ではなく連絡をもらえるようになります。
管理不全空家に指定されると、税金が上がる
2023年の法改正で、新しい区分ができました。
3つの段階
| 状態 | 何が起きるか |
|---|---|
| 通常の空き家 | 住宅用地の特例が適用され、固定資産税は6分の1 |
| 管理不全空家 | 指導・勧告の対象。勧告を受けると特例が外れる |
| 特定空家 | 勧告・命令の対象。従わないと行政代執行 |
管理不全空家とは
そのまま放置すれば特定空家になるおそれのある状態です。窓が割れている、屋根材が飛びそう、庭が繁茂している——このあたりが目安になります。
税額はどれくらい変わるか
住宅用地の特例が外れると、土地の固定資産税は最大で6倍になります。年5万円だったものが30万円になる計算です。
指定は突然ではない
まず指導があり、改善されなければ勧告に進みます。指導の段階で草を刈れば、そこで止まります。 通知を放置しないことが大切です。
空き家の防犯でやれること
人が住んでいないことが分かると、狙われやすくなります。
外から見て「管理されている」状態にする
ポストが空、庭の草が短い、雨戸が開閉されている。この3つがそろっていれば、放置されていないと判断されます。高い機器を入れるより効果があります。
タイマーで照明をつける
数千円のタイマーコンセントで、夕方から数時間だけ照明を点けられます。電気を残しておく価値はここにもあります。
貴重品と権利証は置かない
通帳、印鑑、権利証、貴金属は必ず持ち出してください。空き家に入られる被害でいちばん多いのは、金目のものではなく書類の持ち去りです。
鍵は交換する
親が誰に合鍵を渡していたか、把握できていないことがほとんどです。シリンダー交換は1万〜3万円です。
近所に連絡先を渡す
異変があったときに知らせてもらえます。費用ゼロで、効果は最も大きい対策です。
合鍵が何本あるかを、先に確かめる
空き家の鍵は、親が誰に渡していたかを把握できていないことがほとんどです。きょうだいや孫のほか、訪問看護やヘルパーの事業所、デイサービスの送迎、近所の人、賃貸に出していた時期の入居者に渡っていることがあります。親の手帳や書類箱に「いつ誰に渡した」というメモが残っていることもあります。
| 交換したほうがよい | 交換しなくてよい |
|---|---|
| 家族以外に渡っていた | 家族だけが持っている |
| 事業者に預けていた | 本数を全部把握できている |
| 賃貸に出していた時期がある | 数か月以内に解体する |
| 何本あるか分からない | — |
シリンダー交換は1万〜2万円、防犯性の高いディンプルキーなら2万〜4万円です。築40年を超える家ではドアの規格が合わず、ドアごとの交換で10万円を超えることもあります。片付けの業者が出入りするあいだは受け渡しが続くので、中を空にしてから交換すると手間が減ります。
遠方から鍵を預けるとき
いちばん現実的なのはキーボックスです。玄関ドアや門扉に掛けると「ここは空き家です」という目印になるので、道路から見えないメーターボックスの中に置きます。業者に番号を伝えたら作業後に変え、誕生日や住所の数字は使いません。電池で動くスマートロックは、電池が切れても気づく人がいない空き家には向きません。
親族でも業者でも、口頭で渡さず、何本・いつ・何のために・いつ返すか・複製しないことを書き残します。「玄関(主)・長男・2026年9月1日・売却時に返却」のように1本ずつ記録し、行方が分からない鍵は「不明」の行を作っておくと、交換の判断ができます。この記録は、売却や解体で鍵を引き渡すときにもそのまま使えます。
管理を始める前に、写真を撮っておく

最初の状態を残しておくと、あとで役に立ちます。
何を撮るか
外観を四方から、屋根、雨どい、外壁のひび、室内の各部屋、水回り、床下点検口の中。日付が分かる形で保存してください。
役に立つ場面
- 代行業者に状態を正確に伝えられる
- 台風や地震のあと、損傷が新しいものかを判断できる
- 保険金の請求で、被害の前後を示せる
- 売却時に、買い手へ状態を説明できる
業者の報告書と比べる
管理を頼んだあと、報告書の写真と最初の写真を並べると、劣化の進み方が見えます。修繕の判断がしやすくなります。
空き家の火災保険は、条件が変わる
住宅物件から一般物件へ
人が住んでいない家は、契約上の扱いが変わることがあります。保険料が上がり、補償の範囲も狭くなります。
そもそも加入を断られることがある
長期間放置され、傷みが進んだ家は引き受けてもらえないことがあります。
名義変更を忘れない
相続後も親の名義のままだと、事故のときに支払いを受けられないことがあります。管理を始める前に、まず保険の名義と補償内容を確認してください。
近隣への賠償
瓦が飛んで隣家の車を壊した、といった場合に備える特約があります。空き家では、この部分がとくに重要になります。
住宅物件から一般物件になると変わること
火災保険の料率は、住宅物件・一般物件・工場物件・倉庫物件の4つの区分で決まります。誰も住んでいない家は住宅物件に当たらず、一般物件として扱われるのが原則です。
| 項目 | 住宅物件 | 一般物件(空き家) |
|---|---|---|
| 加入できる商品 | 選択肢が多い | 限られる |
| 家財の補償 | 付けられる | 付けにくい、または不可 |
| 地震保険 | 付帯できる | 付帯できないことが多い |
| 引き受け | 通常 | 断られることがある |
「空き家にすると保険料は何倍か」という業界横断の公表データはありません。金額を知る方法は、所在地・構造・築年数・延床面積に加えて「空き家である」ことを伝えて見積もりを取ることだけです。保険会社に断られても、都道府県民共済やJA共済などの共済が引き受けることがあります。水道や電気を止めても住宅物件には戻らないので、空き家になったこと自体は保険会社に伝えてください。
もらい火は賠償されず、塀や庭木は責任を負う
失火責任法により、隣家から出火して実家が燃えても、火元に重大な過失がなければ賠償を請求できません。自分の火災保険で直すしかないということです。逆に、空き家から出火した場合も重過失がなければ責任を負いませんが、侵入されやすい状態を長く放置していた、指導を受けても改善しなかった、といった事情があると重過失を問われる余地が出てきます。
一方、ブロック塀の倒壊、瓦や外壁の落下、庭木の倒木は火災ではないので、失火責任法の外にあります(民法717条)。重過失がなくても所有者が責任を負い、「遠方に住んでいて知らなかった」は理由になりません。空き家でも付帯できる個人賠償責任の特約があるかを、保険会社に確認してください。
相続後は、保険の名義変更も忘れないでください。親名義の口座から保険料を引き落としていると、口座の凍結で保険料が止まり、気づかないまま失効することがあります。
近所とのトラブルは、草から始まる
苦情の中身
草が伸びて種が飛ぶ、枝が道路にはみ出す、虫が発生する、ごみを捨てられる。火事や倒壊より、日常的な苦情のほうが圧倒的に多くなります。
越境した枝は切ってもらえる
2023年の民法改正で、隣地の枝が越境した場合、催告しても切らないときは自分で切れるようになりました。逆に言えば、こちらの枝が越境していれば、隣家に切られても文句は言えません。
連絡先を伝えておく
近所の一軒に連絡先を渡しておくと、異変があったときに教えてもらえます。管理の質が一段上がる、費用ゼロの方法です。
家財が残っていると、すべてが止まる

管理を頼むときも、売るときも、家財の有無で話が変わります。
費用の目安
| 間取り | 費用の目安 |
|---|---|
| 2DK | 10万〜25万円 |
| 3LDK | 20万〜50万円 |
| 一戸建て(荷物が多い) | 40万〜80万円 |
先送りするほど高くなる
湿気で家財が傷み、処分の手間が増えます。害虫が発生すると、駆除の費用も乗ります。
買取と回収を分ける
貴金属や骨董、状態のよい家具は買取に回せます。回収だけを頼むと、値の付くものまで処分費を払って捨てることになります。
遠方でも立ち会いなしでできるか
鍵を預けて作業してもらえる会社もあります。ただし「捨ててよいもの」の線引きは、事前に写真で確認しておいてください。
貸すという選択肢の現実
「使わないなら貸せばいい」と言われますが、条件があります。
修繕費が先に出ていく
築40年を超える木造では、水回りの交換だけで100万〜200万円かかることがあります。家賃5万円なら、回収に3年前後かかる計算です。
借り手が付く立地か
駅や病院、学校からの距離が効きます。周辺に空室が目立つ地域では、修繕しても埋まらないことがあります。
貸すと売りにくくなる
入居者がいる状態では、買い手が限られます。将来売る可能性があるなら、定期借家契約にしておく方法があります。
管理は結局必要
貸せば管理から解放されるわけではありません。設備の故障やクレームへの対応が発生します。管理会社に任せると、家賃の5%前後が費用になります。
いつまで管理するのかを決める
管理は手段であって、目的ではありません。
期限を決めずに始めると終わらない
「片付いたら考える」「落ち着いたら決める」で、5年経つ家は珍しくありません。その間、月8,000円なら48万円が出ていきます。
3つの出口
| 出口 | 向いている場合 |
|---|---|
| 売る | 住む予定がなく、修繕にお金をかけたくない |
| 貸す | 立地がよく、修繕費を回収できる見込みがある |
| 解体して土地を活用する | 建物の傷みが激しく、土地に需要がある |
建物が古いなら、修繕より売却が現実的
築40年を超える木造は、貸すために数百万円の修繕が必要になることがあります。家賃で回収できるかを先に計算してください。
解体は税金が上がる点に注意
更地にすると住宅用地の特例が外れます。解体したまま置くのがいちばん高くつきます。
持ち続けるか手放すかは、金額を並べてから
売った場合の金額と、活用した場合の収支。この2つがそろえば判断できます。どちらも無料で取り寄せられて、決めていなくても構いません。
プロモーションを含みます。
空き家バンクと自治体の支援
空き家バンク
自治体が空き家の情報を登録し、移住希望者などに紹介するしくみです。仲介手数料がかからない場合もありますが、成約までに時間がかかり、価格も低くなりがちです。
管理費用の補助
一部の自治体で、空き家の管理や解体に補助金を出しています。金額は数十万円規模のこともあるので、市区町村の空き家担当課に確認する価値があります。
シルバー人材センターの活用
自治体が窓口になっていることが多く、地元の相場で草刈りを頼めます。
解体して更地にする場合

解体費の目安
木造30坪で100万〜200万円です。前面道路が狭く重機が入らない場合、手壊しになって割高になります。
固定資産税が上がる
住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税は最大6倍になります。年5万円が30万円になることもあります。
それでも解体が有利な場合
- 建物の傷みが激しく、買い手が「解体前提」でしか見ない
- 更地にすることで買い手の層が広がる
- 管理不全空家の勧告を受けている
解体してから売るか、そのまま売るか
売却額の差が解体費を上回るかどうかで判断します。 両方の想定で査定を取れば、その差が見えます。解体費を買主負担にして値引きする方法もあります。
補助金がある自治体もある
老朽化した空き家の解体に、数十万円の補助を出している自治体があります。着工前の申請が条件なので、壊す前に確認してください。
5年持ち続けた場合の総額を出してみる
判断に迷ったら、期間を区切って総額を出します。
| 項目 | 5年間の合計 |
|---|---|
| 管理代行(月8,000円) | 48万円 |
| 草刈り(年2回・1回1万円) | 10万円 |
| 固定資産税(年5万円) | 25万円 |
| 火災保険(年2万円) | 10万円 |
| 水道・電気の基本料金 | 15万円 |
| 合計 | 約108万円 |
自分で通う場合はさらに増える
片道100kmを月1回なら、5年で交通費40万円が上乗せされます。
売却額と比べる
築古の戸建てでも、土地に値が付けば数百万円になります。5年分の維持費が売却額の何割にあたるかを見ると、判断がはっきりします。
持ち続ける理由があるなら問題ない
いずれ子が住む、将来的に値上がりが見込める、といった理由があれば、費用を払う意味があります。理由がないまま払い続けているかどうかが分かれ目です。
やってはいけない5つ
1. 「とりあえず自分で通う」を続ける
実費を出さないまま、いちばん高い方法を選び続けることになります。
2. 通水を台所だけで済ませる
浴室やトイレの封水が切れると、臭いと虫が上がります。
3. 行政からの通知を放置する
指導の段階なら、草を刈るだけで終わります。勧告まで進むと税額が変わります。
4. 火災保険をそのままにする
名義と契約区分を確認しないと、いざというときに使えません。
5. 出口を決めずに管理だけ続ける
期限を決めてください。管理費は毎月出ていきます。
よくある質問
Q. 月1回も行けません。3か月に1回では足りませんか
A. 封水は2〜3か月で蒸発します。最低限、3か月に1回は通水してください。それも難しいなら、封水の蒸発を防ぐ薬剤を使う方法があります。
Q. 管理代行を頼むと、勝手に家の中を見られませんか
A. 契約で作業範囲を決めます。室内に入らないプランもあります。写真の撮影範囲も指定できます。
Q. 電気と水道は止めるべきですか
A. 換気扇や照明を使うなら電気は必要です。水道も通水のために必要です。両方止めると管理そのものができなくなります。
Q. 実家の荷物が残ったままです
A. 家財があると管理の手間が増え、売却時にも減額の要因になります。片付けを先に済ませるほうが、結果として安く済みます。
Q. 管理代行の費用は経費になりますか
A. 賃貸に出している場合は必要経費です。ただの空き家では経費にできません。売却時の取得費にも原則含められません。
Q. 遠方の実家を管理してくれる親戚に、お礼を払うべきですか
A. 金額を決めて渡すほうが、長続きします。「そのうち何かで返す」が、いちばんもめる形です。
Q. 空き家の期間が長いと、売るときに不利ですか
A. 管理されていれば大きな影響はありません。管理されず傷んだ家は、解体前提の価格になります。
Q. 実家が雪国です。冬の管理はどうすればいいですか
A. 水道の水抜きと、雪下ろしの手配が要ります。雪下ろしは1回1万〜5万円で、シーズンに数回必要な地域もあります。年間費用に必ず入れてください。
Q. 空き家に定期的に泊まってもいいですか
A. 問題ありません。むしろ換気と通水になります。ただし住民票を移していなければ、税制上の扱いは空き家のままです。
Q. 管理を頼んだのに、草が伸びたままでした
A. 契約に草刈りが含まれていない可能性があります。基本プランは換気・通水・外観確認までのことが多く、庭はオプションです。
Q. 隣の人から「草を刈ってほしい」と直接言われました
A. 早めに対応してください。放置すると自治体への相談に進み、管理不全空家の指導につながることがあります。
Q. 自分で行くとき、何を持っていけばいいですか
A. 軍手、ごみ袋、雑巾、懐中電灯、カメラ(スマートフォンで可)、虫よけ。夏は草刈り用の道具も要ります。
Q. 何時間くらいかかりますか
A. 換気・通水・点検・郵便物の回収で1〜2時間です。草刈りを入れると半日かかります。
Q. 管理代行の契約は何年単位ですか
A. 月単位の会社が多く、1か月前の申し出で解約できるのが一般的です。年払いで割引になるプランもありますが、売却の予定があるなら月払いが安全です。
Q. 空き家の期間が長いと、火災保険に入れませんか
A. 一般物件として引き受けてもらえることが多いですが、傷みが進むと断られることがあります。保険会社によって基準が違うので、複数社に相談してください。
Q. 管理代行に頼めば、固定資産税の特例は維持されますか
A. 特例は住宅用地であることが条件で、管理の有無とは直接関係ありません。ただし管理していれば管理不全空家の勧告を受けないので、結果として特例は維持されます。
まとめ|まず実費を出す

1. 自分で通う場合の年間費用を計算する
交通費、宿泊費、時間。この3つを足すと、多くの場合で代行より高くなります。
2. 代行の見積もりを取る
月1回で5,000〜10,000円が目安です。その住所が基本料金の範囲かを確認してください。
3. 出口の期限を決める
いつまでに売る・貸す・解体するかを決めないと、管理費が積み上がります。
4. 通知が来たら、その段階で動く
指導の段階なら草刈りで終わります。勧告まで進むと、固定資産税が最大6倍になります。
この記事について
本記事の内容は2026年9月9日時点の公表情報にもとづきます。料金の相場は事業者と地域によって変わります。補助制度の有無は市区町村ごとに異なるため、お住まいの自治体にご確認ください。

