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実家を空き家のまま放置する6つのリスク|固定資産税6倍と特定空家の指定条件

雑草が伸びた空き家 実家の売却・活用
本記事にはプロモーションが含まれます。

「いつか片付けよう」と思いながら、実家が空き家のまま何年も経っている——よくある話です。

空き家は、持っているだけで毎年20万〜60万円が出ていきます。しかも建物は傷み、売れる価格は下がり続けます。「決められないから置いておく」は、実際には毎年数十万円を払って選択肢を減らしている状態です。

この記事では、放置によって具体的に何が起きるのかを6つのリスクに整理し、それぞれ金額で示します。そのうえで、すぐ売れない事情がある場合に最低限やっておくべき管理もまとめました。

みどりみどり
実家、もう3年空き家です。特に困っていないのですが…。
たくみ先生たくみ先生
困っていないのではなく、まだ表面化していないだけかもしれません。何が積み上がっているのかを見てみましょう。

郵便受けにたまったチラシ
  1. 空き家の維持にかかる年間コスト
  2. リスク1|固定資産税が最大6倍になる
    1. 住宅用地の特例とは
    2. 特例が外れる条件
    3. 実際にいくら増えるか
    4. 指定までの流れ
    5. 解体すれば安くなるわけでもない
  3. リスク2|倒壊・落下で損害賠償を負う
    1. 土地工作物責任
    2. 起こりうる事故
    3. 火災保険では足りないことがある
  4. リスク3|資産価値が下がり続ける
    1. 建物は使わないほど傷む
    2. 「リフォームすれば住める家」から「解体費がかかるだけの土地」へ
    3. 相場そのものも動く
  5. リスク4|近隣トラブルと行政指導
    1. 越境した枝は勝手に切れない…が変わった
    2. 遠方だと発覚が遅れる
  6. リスク5|防犯・防災上の問題
    1. 空き家は狙われる
    2. 放火のリスク
    3. 不法投棄の温床になる
    4. 対策
  7. リスク6|相続がさらに複雑になる
    1. 相続人が増える
    2. 相続登記は義務になった
    3. 税制の特例にも期限がある
  8. 自治体からの通知が来たときの対応
    1. 通知の段階を見分ける
    2. やるべきこと
    3. 勧告を受けてしまったら
  9. すぐ売れない場合の最低限の管理
    1. 月1回やりたいこと
    2. 年2回やりたいこと
    3. 通えない場合
    4. 保険を切らさない
  10. 「放置」と「売却」を数字で比べる
    1. 今すぐ売った場合
    2. 5年放置してから売った場合
    3. 何が効いているか
  11. 出口の選択肢
    1. まず査定を取る
    2. 売れない場合の受け皿
  12. 自分の実家の危険度をチェックする
    1. 判定
  13. よくある質問
  14. まとめ

空き家の維持にかかる年間コスト

空き家の年間維持費

まず、何もしなくても出ていくお金から確認します。

項目 年間の目安
固定資産税・都市計画税 5万〜15万円
火災保険(空き家は割高) 2万〜5万円
電気・水道の基本料金 1万〜2万円
庭木の剪定・草刈り(年2回) 3万〜8万円
空き家管理サービス(遠方の場合) 6万〜12万円
帰省の交通費(月1回) 3万〜20万円
合計 20万〜60万円

5年で100万〜300万円です。これは「何も起きなかった場合」の金額で、ここから先に挙げるリスクが加わります。


リスク1|固定資産税が最大6倍になる

住宅用地の特例と特定空家

もっとも金額の大きいリスクです。

住宅用地の特例とは

住宅が建っている土地には、固定資産税を軽くする特例があります。

区分 面積 固定資産税の課税標準 都市計画税
小規模住宅用地 200㎡以下の部分 6分の1 3分の1
一般住宅用地 200㎡超の部分 3分の1 3分の2

家が建っているだけで、土地の税金が6分の1になっているということです。

特例が外れる条件

2015年に施行された空家等対策特別措置法により、次の場合に特例が外れます。

区分 状態 効果
特定空家 倒壊等の危険、著しく衛生上有害、著しく景観を損なう、周辺の生活環境を著しく害する 勧告を受けると特例が外れる
管理不全空家 特定空家になるおそれがある状態 2023年の法改正で新設。勧告を受けると特例が外れる

2023年12月の改正で「管理不全空家」が新設され、対象が大きく広がりました。従来は「倒壊しそう」なレベルでなければ指定されませんでしたが、窓ガラスが割れている、雑草が繁茂している、といった段階でも勧告の対象になりえます。

実際にいくら増えるか

課税標準1,000万円の土地(200㎡以下)で試算します。

状態 固定資産税(1.4%) 都市計画税(0.3%) 合計
住宅用地の特例あり 約2.3万円 約1.0万円 約3.3万円
特例が外れた場合 約14.0万円 約3.0万円 約17.0万円

年間13.7万円の増加です。10年で137万円になります。

指定までの流れ

いきなり税金が上がるわけではありません。段階があります。

  1. 調査……自治体が状態を確認
  2. 助言・指導……この段階では税制上の影響なし
  3. 勧告……ここで住宅用地の特例が外れる
  4. 命令……従わないと50万円以下の過料
  5. 行政代執行……自治体が解体し、費用を所有者に請求

指導の段階で改善すれば、勧告には至りません。自治体からの通知を無視しないことが最大の防御です。

みどりみどり
うちには何も通知が来ていないので、大丈夫ですよね?
たくみ先生たくみ先生
今のところは、ですね。管理不全空家は雑草や割れた窓でも対象になりえます。年1回は状態を確認してください。

解体すれば安くなるわけでもない

「では壊せばいい」と考えがちですが、建物を解体すると住宅用地の特例は同じように外れます。更地にしても土地の固定資産税は最大6倍です。

つまり、建物を残しても壊しても、いずれ土地の税金は上がる。だからこそ「売る」という出口が要るのです。


リスク2|倒壊・落下で損害賠償を負う

所有者が負う管理責任

金額としては、これがもっとも大きくなりえます。

土地工作物責任

民法717条により、建物の設置または保存に瑕疵があって他人に損害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を負います

しかもこの責任は、占有者(住んでいる人)が損害の発生を防ぐのに必要な注意をしていたときは所有者に移り、所有者は「注意していた」と主張しても免責されません(無過失責任)

起こりうる事故

事故 想定される賠償額
屋根瓦が落下し、通行人が負傷 数百万〜数千万円
台風で外壁が飛び、隣家の車を破損 数十万〜数百万円
ブロック塀が倒れ、歩行者が死亡 数千万〜1億円
建物が倒壊し、隣家を損壊 数百万〜数千万円
火災(放火)が隣家に延焼 数千万円

2018年の大阪府北部地震では、倒れたブロック塀の下敷きになって小学生が亡くなり、管理者の責任が問われました。「古い塀がある」だけでもリスクです。

火災保険では足りないことがある

空き家は、火災保険で住宅物件ではなく一般物件として扱われることが多く、

  • 保険料が高くなる
  • 補償範囲が狭くなる
  • そもそも引き受けを断られることがある

さらに、個人賠償責任保険は空き家を対象外としている契約が少なくありません。「保険に入っているから大丈夫」とは限らないので、契約内容を保険会社に確認してください。


傷んだ外壁と雨樋

リスク3|資産価値が下がり続ける

空き家の資産価値の推移

建物は使わないほど傷む

人が住んでいない家は、住んでいる家より早く傷みます。

  • 換気されない……湿気がこもり、カビと木部の腐食が進む
  • 水を流さない……排水トラップが乾き、下水の臭気と害虫が上がる
  • 異常に気づかない……雨漏りやシロアリが数年放置される

雨漏りを1年放置すると、屋根と天井の修繕で50万〜150万円かかることがあります。放置すれば構造材まで及びます。

「リフォームすれば住める家」から「解体費がかかるだけの土地」へ

経過年数 状態 売却時の扱い
1〜2年 手入れすれば住める 古家付きで売れる可能性がある
3〜5年 水回りと屋根に不具合 買主が改修費を織り込んで値下げ交渉
5年〜 雨漏り・シロアリ・傾き 解体前提。建物の価値はマイナス

建物の価値がゼロを通り越してマイナスになるのがポイントです。買主は「解体費100万〜200万円がかかる土地」として見るので、その分だけ土地の値段から引かれます

相場そのものも動く

地方では人口減少により、土地の相場自体が下がり続けている地域が少なくありません。建物の劣化と地価の下落が同時に進むと、待つほど手取りは減ります。

「もう少し様子を見よう」の3年間で、維持費60万〜180万円を払いながら、売値も数十万〜数百万円下がる。これが放置の実質的なコストです。


リスク4|近隣トラブルと行政指導

近隣トラブルの主な原因

自治体に寄せられる空き家の苦情は、次のようなものです。

苦情の内容 発生しやすさ
雑草が伸びて隣地に越境している 非常に多い
庭木の枝が道路や隣家にはみ出している 多い
ハクビシン・ネズミ・スズメバチが住み着いた 多い
ゴミの不法投棄場所になっている
不審者の出入り・放火の懸念
悪臭

越境した枝は勝手に切れない…が変わった

2023年4月の民法改正で、隣地の竹木の枝が越境している場合、一定の条件下で自ら切除できるようになりました。

  • 所有者に催告したが、相当の期間内に切除しないとき
  • 所有者が不明、または所在が分からないとき
  • 急迫の事情があるとき

つまり、放置していると「隣人に勝手に切られる」だけでなく、切除費用を請求されることもありえます

遠方だと発覚が遅れる

近隣の方は、まず所有者に連絡しようとします。しかし空き家の所有者の連絡先が分からないことがほとんどで、結果として自治体に苦情が入ります。

自治体は登記や課税情報から所有者を特定し、通知を送ります。この通知が「指導」の第一歩です。無視すれば勧告に進み、固定資産税が跳ね上がります。


リスク5|防犯・防災上の問題

空き家は狙われる

人が住んでいないことは、外から見て分かります。

  • 郵便物やチラシが溜まっている
  • 夜になっても明かりがつかない
  • 雑草が伸び放題
  • 雨戸が閉まりっぱなし

こうした家は、不法侵入・不法投棄・放火の対象になりやすくなります。

放火のリスク

総務省消防庁の統計では、放火(疑いを含む)は出火原因の上位を占め続けています。空き家は無人であるぶん発見が遅れ、延焼被害が大きくなりやすいという特徴があります。

そして失火責任法により、軽過失による失火では隣家への賠償責任を負いませんが、放火された場合でも「管理に瑕疵があった」と判断されれば、土地工作物責任を問われる余地があります。ゴミが積まれている、施錠されていないといった状態は避けてください。

不法投棄の温床になる

敷地に入りやすい状態だと、家電や粗大ゴミを捨てられることがあります。投棄されたゴミの処分費用は、原則として土地の所有者が負担します。冷蔵庫やテレビなど家電リサイクル法の対象品目だと、処分に手間も費用もかかります。

対策

対策 費用の目安
郵便物の転送手続き 無料(1年ごとに更新)
敷地の施錠・チェーンの設置 5,000〜2万円
センサーライトの設置 5,000〜1万5,000円
「私有地につき立入禁止」の掲示 数千円
近隣に連絡先を伝えておく 無料

最後のものは費用ゼロで効果が大きい対策です。何かあったときに連絡が来るというだけで、被害の拡大を防げます。


リスク6|相続がさらに複雑になる

時間が経つほど、権利関係がほどけなくなります

相続人が増える

実家の名義が祖父母のままで、その子(自分の親)も亡くなっている——というケースは珍しくありません。

世代 相続人の数の例
1次相続(祖父の死亡) 子3人
2次相続(子の1人が死亡) その子2人が代わりに
3次相続 さらに増える

売却には共有者全員の同意が必要です。10人を超えると、連絡を取るだけで年単位の作業になります。

相続登記は義務になった

2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。

  • 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内
  • 正当な理由なく怠ると10万円以下の過料
  • 2024年3月以前に発生した相続にもさかのぼって適用され、その場合の期限は2027年3月31日

長年名義を放置している実家があるなら、残り時間はわずかです。

税制の特例にも期限がある

  • 空き家の3,000万円特別控除……相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(かつ制度自体は2027年12月31日まで)
  • 取得費加算の特例……相続開始から3年10か月以内

放置している間に、数百万円の控除が静かに消えていきます。詳しくは相続した実家の売却にかかる税金にまとめています。

みどりみどり
3年って、あっという間ですね…。
たくみ先生たくみ先生
遺品整理・査定・売却活動と順に進めると、本当にすぐです。動き出せるタイムリミットは相続から2年、と考えてください。

自治体からの通知が来たときの対応

放置している空き家に、ある日役所から封書が届くことがあります。ここでの対応が、その後を大きく分けます

通知の段階を見分ける

文面の表現 段階 税制への影響
「適切な管理をお願いします」 情報提供・お願い なし
助言します」「指導します」 助言・指導 まだなし
勧告します」 勧告 住宅用地の特例が外れる
命令します」 命令 従わないと50万円以下の過料

「助言・指導」の段階で対応すれば、税金への影響はありません。逆に、ここを無視して勧告まで進むと、翌年度から固定資産税が跳ね上がります。

やるべきこと

1. 期限を確認する

通知には改善の期限が書かれています。まずここを押さえます。

2. 担当窓口に電話する

「どの部分を、どの程度改善すればよいか」を具体的に聞いてください。自治体は解体を求めているわけではなく、危険な状態の解消を求めていることがほとんどです。草刈りや窓の補修で足りる場合もあります。

3. 改善したら写真を送る

対応したことを記録として残します。担当者から「確認しました」と言ってもらえれば、勧告には進みません。

4. すぐに対応できない事情があるなら相談する

「相続で揉めていて動けない」「遠方で通えない」といった事情は、伝えれば考慮されることがあります。黙って放置するのがいちばん悪い対応です。

勧告を受けてしまったら

住宅用地の特例が外れるのは、勧告を受けた年の翌年度からです。年内に改善して勧告が撤回されれば、税額への影響を避けられる場合があります。担当窓口に確認してください。

みどりみどり
役所から手紙が来たら、身構えてしまいそうです。
たくみ先生たくみ先生
むしろ「まだ間に合う」というサインです。指導の段階なら税金への影響はありません。電話1本で何をすればいいかが分かります。

すぐ売れない場合の最低限の管理

空き家の最低限の管理

事情があってすぐ手放せないなら、被害を最小限にする管理を続けてください。

月1回やりたいこと

項目 理由
窓を開けて換気(30分以上) 湿気とカビ、木部の腐食を防ぐ
水を流す(トイレ・台所・風呂・洗面) 排水トラップの封水が蒸発すると悪臭と虫が上がる
郵便物を回収 ポストが溢れると留守が一目で分かる
外観の写真を撮る 劣化の記録。売却時の資料にもなる
庭の状態を確認 越境と害虫の早期発見

年2回やりたいこと

  • 草刈り・庭木の剪定(春と秋
  • 雨樋の詰まりの確認
  • 屋根と外壁の目視点検

通えない場合

手段 費用の目安
空き家管理サービス 月5,000〜10,000円
シルバー人材センター 1回3,000〜5,000円
近隣の親戚・知人に依頼 実費+謝礼
草刈りだけ地元業者に依頼 1回1万〜3万円

「誰も見に行っていない」がいちばん危険です。月1回でも人の出入りがあるだけで、不法投棄や不審者のリスクは下がります。

保険を切らさない

火災保険は必ず継続してください。名義人が亡くなっている場合は、保険会社への名義変更も必要です。空き家であることを伝えると条件が変わることがありますが、告げずにいると保険金が支払われないおそれがあります。


「放置」と「売却」を数字で比べる

感覚ではなく、金額で比べてみます。地方の築45年・木造30坪・土地60坪、現況の査定額600万円という実家を例に取ります。

今すぐ売った場合

項目 金額
売却価格 600万円
仲介手数料 −24万円
遺品整理 −30万円
登記・その他 −10万円
譲渡所得税(空き家特例を適用) 0円
手取り 536万円

5年放置してから売った場合

項目 金額
売却価格(劣化と地価下落で) 480万円
仲介手数料 −20万円
遺品整理 −30万円
解体費(住める状態ではなくなった) −130万円
登記・その他 −10万円
5年間の維持費 −150万円
譲渡所得税(空き家特例の3年を過ぎて適用不可 −55万円
手取り 85万円

差は451万円です。しかもこれは、勧告を受けて固定資産税が上がった場合や、事故が起きた場合を含んでいません。

何が効いているか

要因 影響額
維持費の累積 −150万円
建物の劣化による解体費の発生 −130万円
売却価格の下落 −120万円
空き家の3,000万円特別控除の失効 −55万円

もっとも大きいのは維持費の累積ですが、特例の失効と解体費の発生が同時に効いてくるのが空き家の怖いところです。

みどりみどり
5年でこんなに違うんですね…。
たくみ先生たくみ先生
そして5年目に売ろうとしたときには、もう選択肢が減っています。動けるうちに動くほど、選べる道は多いんです。

出口の選択肢

放置以外の道は4つあります。

選択肢 向いているケース
古家付きで売る 立地が良く、買主が建て替え前提で買える
解体して更地で売る 更地にすると解体費以上に高く売れる
貸す・活用する 賃貸需要があり、改修費を回収できる
相続土地国庫帰属制度 売れない・貸せない・引き取り手もいない

まず査定を取る

どれを選ぶにしても、判断材料は査定額だけです。「古いから売れない」という思い込みで動かないでいるうちに、維持費だけが積み上がります。

現況(古家付き)と更地の両方の査定を取れば、解体すべきかどうかも数字で判断できます。査定の取り方は相続した実家におすすめの不動産一括査定サービス比較にまとめています。

売れない場合の受け皿

  • 空き家バンク……自治体が運営。仲介手数料が安く済むことも
  • 隣地所有者への直接打診……土地を広げたい隣人は有力な買主候補
  • 買取業者……仲介より2〜3割安いが、残置物ごと引き取ることが多く、遺品整理費と解体費が不要になる
  • 相続土地国庫帰属制度……2023年4月開始。建物があると使えず、負担金(10年分の管理費相当)も必要


自分の実家の危険度をチェックする

空き家の危険度チェックリスト

当てはまる数を数えてください。

建物の状態

  • [ ] 屋根や外壁の一部が破損している
  • [ ] 窓ガラスが割れている、または雨戸が壊れている
  • [ ] 建物が傾いている
  • [ ] 雨漏りの跡がある
  • [ ] シロアリの被害がありそう

敷地の状態

  • [ ] 雑草が膝の高さを超えている
  • [ ] 庭木の枝が道路や隣地にはみ出している
  • [ ] ブロック塀にひび割れや傾きがある
  • [ ] 郵便受けが溢れている
  • [ ] ゴミが放置されている

管理の状態

  • [ ] 半年以上、誰も見に行っていない
  • [ ] 火災保険の契約内容を確認していない
  • [ ] 名義が亡くなった方のままになっている
  • [ ] 近隣に連絡先を伝えていない

判定

該当数 状態
0〜2 管理できている。年1回の点検を続ける
3〜5 注意。半年以内に手を入れる
6〜9 危険。管理不全空家の勧告を受ける可能性がある
10以上 早急に対応が必要。出口を決める段階

とくに「ブロック塀のひび割れ」と「屋根や外壁の破損」は、事故につながる項目です。該当したら優先して対処してください。


よくある質問

Q. 誰も住んでいなければ、すぐに特定空家になりますか?

なりません。空き家であること自体は問題ではなく、管理状態が判断基準です。定期的に手入れされていれば、何年空き家でも指定されることはありません。

Q. 年1回しか帰省できません。それでも大丈夫ですか?

正直に言えば足りません。最低でも月1回の換気と通水が望ましく、それが難しければ管理サービスの利用を検討してください。月5,000円程度から依頼できます。

Q. 電気と水道は止めたほうがいいですか?

水道は残してください。通水に必要ですし、解体することになれば散水に使います。電気も、換気扇や照明を使うなら残しておくほうが管理しやすくなります。基本料金は月1,000〜2,000円程度です。

Q. 固定資産税の通知が親名義のまま届きます。

名義が亡くなった方のままでも納税通知書は届き、相続人が納税義務を負います。代表者を決めて支払い、遺産分割で精算するのが実務的です。ただし相続登記の義務(3年)は別に進行しているので、登記は済ませてください。

Q. 隣の人から「木を切ってほしい」と言われました。

早めに対応してください。2023年の民法改正で、催告しても切除しない場合、隣地の人が自ら切除して費用を請求できるようになりました。放置すると費用負担に加え、関係も悪化します。

Q. 解体費用がなくて動けません。

多くの自治体に老朽危険空き家の除却補助金があり、解体費の5分の1〜2分の1、上限50万〜100万円が交付されるケースがあります。着工前の申請が必須なので、業者と契約する前に市区町村の空き家担当窓口へ相談してください。また、売却代金から解体費を精算できないか、不動産会社に相談する方法もあります。詳しくは実家の解体費用を参照してください。

Q. 空き家バンクに登録すれば、自治体が管理してくれますか?

いいえ。空き家バンクは買い手・借り手とのマッチングの場であって、管理サービスではありません。登録しても管理義務は所有者に残ります。ただし登録をきっかけに自治体の補助制度(改修費補助、家財処分費補助など)を紹介してもらえることがあるので、相談する価値はあります。

Q. 「空き家を無料で引き取ります」という業者から連絡が来ました。

慎重に判断してください。まっとうな買取業者もありますが、引き取り費用として数十万円を請求されるケースや、名義を移した後に管理されず近隣トラブルが続くケースもあります。契約前に、①会社の所在地と宅建業免許の有無、②所有権移転の時期と費用負担、③引き渡し後の管理責任、の3点を書面で確認してください。

Q. 建物を解体すれば、リスクはなくなりますか?

倒壊や放火のリスクはなくなりますが、固定資産税は住宅用地の特例が外れて最大6倍になります。また雑草や不法投棄の問題は残り、更地のほうが管理の手間がかかることもあります。解体は「売る」とセットで考えてください。解体費用の相場は実家の解体費用にまとめています。

Q. 兄弟と話がまとまらず、動けません。

「3年で3,000万円の控除が消える」「勧告を受ければ固定資産税が6倍になる」という具体的な金額を共有してください。感情論より、失う金額のほうが話をまとめてくれることが多いです。


まとめ

実家を空き家のまま放置すると、次の6つが積み上がります。

  • 固定資産税……勧告を受ければ住宅用地の特例が外れ、最大6倍。管理不全空家の新設で対象は広がった
  • 損害賠償……倒壊や落下は所有者の無過失責任。ブロック塀ひとつで数千万円のリスク
  • 資産価値……建物は5年で「解体費がかかるだけの土地」に。地価の下落も重なる
  • 近隣トラブル……雑草・越境・害獣。苦情は自治体経由で行政指導につながる
  • 防犯・防災……不法投棄と放火のリスク。投棄されたゴミの処分費は所有者負担
  • 相続の複雑化……相続人は増え、登記義務(3年)と税制特例(3年/3年10か月)の期限が迫る

そして、何も起きなくても年間20万〜60万円が出ていきます。

「決められないから置いておく」は、実際には毎年数十万円を払って選択肢を減らしている状態です。まずは査定を取って、いくらになるのかをはっきりさせてください。数字が出れば、家族の話し合いも前に進みます。


この記事について

執筆:葉山 湊(はやま みなと)

自身の家族の実家じまいを経験し、そのときに「どこにも書かれていなかったこと」を出発点にこのサイトを立ち上げました。税理士・宅地建物取引士などの資格は保有していません。制度や法令については、必ず一次情報(国土交通省・国税庁・法務省・各自治体)にあたって記事に反映しています。

本記事の主な出典は次のとおりです。

・空家等対策特別措置法と管理不全空家:国土交通省 空き家対策

・相続登記の義務化:法務省「相続登記の申請義務化について」

・空き家の3,000万円特別控除:国税庁 No.3306

制度・税制は改正されます。本記事の内容は2026年9月3日時点の公表情報にもとづきます。 実際の判断は、自治体の空き家担当窓口や専門家にご確認ください。

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