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遺言書を書いたほうがいいと分かっていても、「何にいくらかかるのか」がはっきりしないと動けません。
先に金額を出します。自分で書いて法務局に預けるなら3,900円。公証役場で作ってもらうなら、財産2,500万円のケースで約8万4,000円です。
この差をどう考えるかが、方式選びのすべてです。
結論|先に3つ

1. 最低ラインは3,900円の保管制度
自分で書いた遺言書を法務局に預ける制度です。保管申請の手数料は3,900円。これだけで、相続開始後の家庭裁判所の検認が不要になり、紛失・改ざんも防げます。
2. 公正証書は令和7年10月に手数料が上がった
公証人手数料令が令和7年政令第263号で改正され、令和7年10月1日に施行されました。遺言のときに加算される金額(遺言加算)は、従来の11,000円から13,000円になっています。古い記事の金額は使えません。
3. 実家がある家庭は、公正証書を選ぶ理由がある
不動産は登記の手続きが必要で、記載が曖昧だと法務局で通りません。「自宅を長男に」と書いただけでは、どの土地・どの建物かが特定できず、登記できないことがあります。 公証人が関与すれば、この種の不備は起きません。
誰に何を残すかで、相続税が変わる
遺言書は「分け方」を決めるものですが、分け方によって相続税の総額が変わります。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を最大限使える分け方があります。無料で税理士に相談できます。
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遺言書がないと、何が起きるか
費用の話の前に、書かなかった場合のコストを見ておきます。

相続人全員の合意がないと、1円も動かない
遺言書がなければ、遺産分割協議をします。預金の解約も、不動産の名義変更も、相続人全員の実印と印鑑証明書が要ります。1人でも欠けると手続きが止まります。
連絡が取れない相続人がいると、詰む
疎遠なきょうだい、前妻との子、行方不明の相続人。誰か1人でも所在が分からないと、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てることになります。予納金として数十万円を求められることがあります。
認知症の相続人がいると、後見が必要になる
高齢の配偶者が相続人で、判断能力が落ちている場合。遺産分割協議に参加できないので、成年後見人を選任しなければなりません。そして後見は、協議が終わっても本人が亡くなるまで続きます。
期限が次々にやってくる
- 相続放棄:3か月
- 準確定申告:4か月
- 相続税の申告:10か月
- 相続登記:3年
協議がまとまらないまま10か月を過ぎると、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減が使えない状態で申告することになります(申告期限後3年以内の分割見込書を出せば後から適用できますが、いったん多額の納税が発生します)。
遺言書があれば、これらの多くが不要になる
遺言書があり、遺言執行者が指定されていれば、相続人全員の合意を取らずに手続きを進められます。3,900円か8万4,000円で、これを回避できると考えてください。
方式は3つ。実際に使われるのは2つ

自筆証書遺言
全文を自分の手で書きます。費用は紙とペンだけ。いつでも書き直せます。法務局の保管制度を使うかどうかで、扱いが大きく変わります。
公正証書遺言
公証人に作ってもらいます。証人2人が必要です。原本は公証役場に保管されるので、紛失も改ざんもありません。検認も不要です。
秘密証書遺言
内容を誰にも見せずに、存在だけを公証役場で証明してもらう方式です。手数料は13,000円。ただし内容のチェックが入らないので無効になるリスクは自筆証書と同じで、しかも検認は必要です。利点がほとんどないため、実務ではまず使われません。
| 項目 | 自筆証書(保管制度なし) | 自筆証書+保管制度 | 公正証書 |
|---|---|---|---|
| 費用 | 0円 | 3,900円 | 数万円〜 |
| 証人 | 不要 | 不要 | 2人必要 |
| 形式のチェック | なし | 外形的にあり | あり |
| 内容のチェック | なし | なし | あり |
| 検認 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 紛失・改ざん | ありうる | なし | なし |
| 書き直し | 自由 | 撤回して再申請 | 作り直し |
自筆証書遺言|4つの要件を外すと無効になる
民法968条が定める要件です。1つでも欠けると、遺言全体が無効になります。
1. 全文を自分の手で書く
パソコンで打ったもの、代筆してもらったものは無効です。ただし後述のとおり、財産目録だけは例外です。
2. 日付を書く
「令和8年9月吉日」は無効です。日が特定できないためです。「令和8年9月14日」のように、年月日を確定できる形で書きます。
3. 氏名を書く
戸籍上の氏名を自書します。
4. 押印する
実印である必要はなく、認印でも有効です。ただし本人のものであることの証明のしやすさを考えると、実印にして印鑑証明書を添えるほうが安全です。
訂正のしかたにも決まりがある
書き間違えたときは、訂正した箇所を指示し、変更した旨を付記して署名し、変更の場所に押印するという手順が必要です(民法968条3項)。この方式を守らない訂正は効力を生じません。
間違えたら、書き直すのが確実です。 訂正の要件を満たしているかを争われるより、新しい紙に書き直したほうが安全です。
財産目録だけは、パソコンで作ってよい
平成31年1月13日に施行された民法改正で、自筆証書遺言の方式が緩和されました。
何が変わったか
遺言書に添付する財産目録については、自書でなくてもよくなりました。
- パソコンで作成した一覧表
- 不動産の登記事項証明書のコピー
- 預金通帳のコピー
これらを添付できます。
ただし、全ページに署名押印が要る
財産目録のすべてのページに、署名と押印が必要です。両面印刷なら両面ともです。ここを落とすと、その目録は無効になります。
本文は必ず自書
「別紙目録1記載の不動産を長男 田中一郎に相続させる」という本文の部分は、従来どおり手書きです。
なぜこれが大きいか
不動産が複数ある、預金口座が多い、といった場合、以前は全部を手書きする必要がありました。高齢の方にとって、これが実質的な障壁になっていました。登記事項証明書をそのまま添付できるようになったことで、不動産の表示を書き間違えるリスクも下がりました。
法務局の保管制度|3,900円で検認が不要になる
令和2年7月10日に始まった制度です。自筆証書遺言の弱点を、かなりの部分まで埋めます。

1. 家庭裁判所の検認が不要になる
通常、自筆証書遺言は相続開始後に家庭裁判所の検認を受ける必要があります。相続人全員に呼び出しがかかり、1〜2か月かかります。保管制度を使えば、これがまるごと不要になります。
2. 遺言書保管官が形式をチェックする
申請時に、民法の定める自筆証書遺言の方式に適合しているかを、遺言書保管官が外形的に確認します。日付の書き方、署名、押印といった形式面で無効になる事態を防げます。
ただしチェックされるのは形式だけで、内容の有効性や実現可能性は見てもらえません。 「全財産を長男に」と書いて遺留分を侵害していても、そのまま預かられます。
3. 紛失・改ざん・隠匿を防げる
原本は遺言者の死亡後50年間、画像データは150年間、法務局が保管します。相続人が見つけて破り捨てる、といったことは起こりません。
4. 通知が届く
2種類あります。
- 関係遺言書保管通知:相続人等の1人が閲覧や証明書の交付を受けると、その他の相続人全員に「遺言書が保管されている」という通知が届きます
- 指定者通知:あらかじめ指定しておけば(遺言者1人につき3名まで)、遺言者の死亡の事実が確認できた時点で、その人に通知が届きます
指定者通知を設定しておかないと、遺言書があること自体を誰も知らないまま相続が終わることがあります。必ず設定してください。
保管制度の手数料一覧
すべて収入印紙で納めます。印紙は手続きをする法務局で買えます。
| 手続 | 手数料 | 誰が請求できるか |
|---|---|---|
| 遺言書の保管の申請 | 3,900円(1件) | 遺言者 |
| 遺言書の閲覧(モニター) | 1,400円(1回) | 遺言者/関係相続人等 |
| 遺言書の閲覧(原本) | 1,700円(1回) | 遺言者/関係相続人等 |
| 遺言書情報証明書の交付 | 1,400円(1通) | 関係相続人等 |
| 遺言書保管事実証明書の交付 | 800円(1通) | 関係相続人等 |
| 申請書等・撤回書等の閲覧 | 1,700円(1件) | 遺言者/関係相続人等 |
相続後にかかる費用も見ておく
相続人が実際に使うのは遺言書情報証明書です。これが登記や金融機関の手続きで必要になります。1通1,400円で、必要な通数だけ取ります。
変更の届出と撤回は無料
住所が変わった、指定者を変えたいといった変更の届出は手数料がかかりません。保管の撤回(預けるのをやめる)も無料です。
申請は本人が出向く必要がある
遺言者本人が、法務局に予約のうえ出向いて申請します。代理人は認められません。本人確認のためです。管轄は、遺言者の住所地、本籍地、または所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所です。

公正証書遺言|令和7年10月に手数料が改正された
公証人手数料令が令和7年政令第263号で改正され、令和7年10月1日から新しい金額が適用されています。
基本の手数料表
| 目的の価額 | 手数料 |
|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万円超〜100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円超〜200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超〜500万円以下 | 13,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万円超〜3,000万円以下 | 26,000円 |
| 3,000万円超〜5,000万円以下 | 33,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 49,000円 |
| 1億円超〜3億円以下 | 49,000円+超過額5,000万円までごとに15,000円 |
| 3億円超〜10億円以下 | 109,000円+超過額5,000万円までごとに13,000円 |
| 10億円超 | 291,000円+超過額5,000万円までごとに9,000円 |
遺言に特有の計算ルール
ここが分かりにくいところです。相続させる相手が2人以上いる場合、財産の総額でまとめて計算するのではなく、1人ひとりが受け取る額ごとに手数料を計算して、足し合わせます。
同じ2,500万円でも、1人に全部残す場合と2人で分ける場合とで金額が変わります。
遺言加算
目的の価額の総額が1億円以下の場合、上記の合計に13,000円が加算されます。改正前は11,000円でした。
その他の加算
- 正本・謄本の交付:公正証書に関する電磁的記録は1件につき2,500円、書面は1枚につき300円
- 書面の枚数が3枚を超えるとき(書面で作成した公正証書は4枚を超えるとき)は、超える1枚ごとに300円
- 病院や自宅に公証人が出張する場合:通常の手数料の2分の1を加算、日当20,000円(4時間以内なら10,000円)、交通費実費
- 遺言の撤回:13,000円
- 祭祀主宰者の指定:13,000円
公正証書の費用を、実例で計算する

設定
- 財産:実家1,500万円、預貯金1,000万円(合計2,500万円)
- 相続人:子2人
- 長男に実家、長女に預貯金を相続させる
計算
| 項目 | 金額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 長男の分(1,500万円) | 26,000円 | 1,000万円超〜3,000万円以下 |
| 長女の分(1,000万円) | 20,000円 | 500万円超〜1,000万円以下 |
| 小計 | 46,000円 | |
| 遺言加算 | 13,000円 | 総額1億円以下 |
| 正本・謄本 | 5,000円 | |
| 証人2人の日当 | 20,000円 | 公証役場に紹介を頼んだ場合 |
| 合計 | 約8万4,000円 |
証人は自分で連れていってもよい
証人2人が必要ですが、条件を満たす知人に頼めば日当は不要です。ただし次の人はなれません(民法974条)。
- 未成年者
- 推定相続人、受遺者、およびその配偶者と直系血族
- 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人
子や、財産をもらう予定の人は証人になれません。 ここを間違えて当日やり直しになることがあります。頼める人がいなければ、公証役場に紹介してもらってください。1人5,000円〜1万円が目安です。
専門家に原案を頼むと別途10万〜20万円
公証人は「言われたとおりに作る」のが原則で、分け方の相談には乗ってくれません。誰に何を残すかを設計するところから頼むなら、弁護士・司法書士・行政書士・税理士に依頼します。
分け方を決める前に、税額を確かめる
同じ財産でも、誰にどう分けるかで相続税の総額が変わります。小規模宅地等の特例は取得者によって使えたり使えなかったりします。書いてから気づくと直せません。
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どちらを選ぶか

自筆証書+保管制度で足りるケース
- 財産がシンプル(預貯金中心、不動産は自宅1つ)
- 相続人の間に争いの種がない
- 法定相続分から大きく外れる分け方をしない
- 字を書くことに支障がない
公正証書にすべきケース
- 不動産が複数ある、または借地・共有がある
- 相続人以外に財産を渡したい(遺贈)
- 法定相続分と大きく違う分け方をする
- 相続人の間に不仲がある、連絡が取れない人がいる
- 認知症の初期で、あとから遺言能力を争われそう
- 字を書くのが難しい
費用差は約8万円
3,900円と8万4,000円の差は8万円です。財産が2,500万円あるなら、その0.3%です。 争いになったときの弁護士費用や、登記が通らずに作り直す手間を考えると、不動産がある家庭では公正証書のほうが安く付くことが多いです。
両方を使う手もある
公正証書を作ったうえで、細かい希望(家財の分け方、ペットの世話、葬儀の形式)を付言事項としてまとめておく。この部分は法的効力を持ちませんが、残された家族の判断材料になります。
実家がある家庭で、必ず入れる一文
相続財産に不動産があると、書き方で詰まる箇所が決まっています。
不動産は登記事項証明書のとおりに書く
「自宅」「実家」では特定できません。登記事項証明書を見ながら、次を書き写します。
- 土地:所在、地番、地目、地積
- 建物:所在、家屋番号、種類、構造、床面積
地番と住居表示は違います。 「桜町一丁目2番3号」という郵便物が届く住所ではなく、登記簿上の地番(たとえば「桜町一丁目15番7」)を書いてください。ここを間違えると登記できません。
「相続させる」と書く
相続人に渡す場合は「相続させる」と書きます。「遺贈する」と書くと、登記手続きで相続人全員の協力が必要になったり、登録免許税が高くなったりします(相続なら0.4%、遺贈なら2.0%)。
書き漏れに備えて、包括条項を入れる
「本遺言書に記載のない一切の財産は、長男 田中一郎に相続させる」という条項です。あとから見つかった預金や、書き忘れた不動産をカバーできます。これがないと、その財産だけのために遺産分割協議をやり直すことになります。
遺言執行者を指定する
遺言の内容を実現する人です。指定しておくと、その人だけで預金の解約や登記ができます。指定がないと、相続人全員の署名押印が必要になる場面が出てきます。
相続人の1人を指定しても構いませんし、専門家を指定することもできます。
代償分割を使うなら、その旨を書く
実家を長男が取得する代わりに、長男から長女へ現金を払う形です。「長男は、本遺言により取得する不動産の代償として、長女に金500万円を支払う」と明記します。分け方の設計は実家を兄弟でどう分けるかにまとめました。
遺留分は、遺言では消せない
これを知らずに書くと、かえってもめます。
遺留分とは
兄弟姉妹以外の相続人に保障された、最低限の取り分です。配偶者と子の場合、法定相続分の2分の1です。
子2人なら、それぞれの法定相続分は2分の1。遺留分はその半分の4分の1ずつになります。
「全部を長男に」と書いたらどうなるか
財産2,500万円を全部長男に相続させると書いた場合、長女は625万円(2,500万円の4分の1)の遺留分侵害額請求ができます。
平成30年の民法改正で、遺留分の請求は金銭債権になりました。以前のように不動産が共有になることはありませんが、長男が625万円を現金で用意する必要があります。用意できなければ、結局は実家を売ることになります。
対策
- 遺留分を侵害しない分け方にする
- 侵害するなら、代償金の原資(生命保険など)を用意しておく
- 付言事項で理由を説明する(法的効力はないが、納得感が変わります)
生命保険金は受取人の固有財産なので、原則として遺留分の計算に含まれません。代償金の原資として使える手段です。詳しくは生命保険の相続税非課税枠で整理しています。

無効になる書き方、もめる書き方
無効になるもの
- パソコンで作成した本文
- 日付が「吉日」「その月の末日」など、日を特定できないもの
- 押印がない
- 夫婦連名で1通に書いたもの(民法975条が禁じています)
- 財産目録に署名押印がないページがある
無効ではないが、もめるもの
- 財産の特定が曖昧(「自宅」「預金」とだけ書いてある)
- 「遺贈する」と「相続させる」の混用
- 遺留分を大きく侵害している
- 遺言執行者の指定がない
- 書いた日付が古く、その後に財産の内容が変わっている
最後に書いたものが優先される
複数の遺言書がある場合、日付が新しいものが優先されます。内容が抵触する部分だけが撤回されたとみなされるので、古い遺言書を破棄しておくほうが安全です。 保管制度を使っているなら、保管の撤回をしてから新しいものを預けます。
手順|書くまでの6ステップ

1. 財産を棚卸しする
不動産(登記事項証明書を取る)、預貯金(金融機関名・支店名・口座番号)、有価証券、保険、負債。名寄帳を取ると不動産の漏れを防げます。
2. 相続人を確定する
戸籍を遡って、法定相続人が誰かを確認します。前妻との子、認知した子が判明することがあります。集め方は相続手続きの必要書類と集め方にまとめました。
3. 分け方を決める
誰に何を。遺留分を侵害しないか。相続税がかかるなら、分け方による税額の違いも確認します。
4. 方式を選ぶ
不動産が複数あるか、もめそうか、で公正証書か自筆証書+保管制度かを決めます。
5. 作成する
自筆証書なら、下書きをしてから清書。公正証書なら、公証役場に連絡して打ち合わせの日程を取ります。必要書類(戸籍謄本、印鑑証明書、固定資産評価証明書、登記事項証明書)を準備します。
6. 預ける、または保管場所を家族に伝える
保管制度を使うなら、指定者通知を必ず設定します。公正証書なら、正本の保管場所を家族に伝えておきます。
よくある質問
Q. 何歳から書けますか
満15歳以上であれば書けます(民法961条)。
Q. 認知症と診断されていますが、書けますか
程度によります。遺言をする時点で遺言能力(内容を理解し、結果を判断できる能力)があれば有効です。争われることを想定して、医師の診断書を同じ日付で取っておく、公正証書にする、といった備えをしてください。判断能力が落ちると実家の売却もできなくなります。この点は認知症の親の実家は売れるかで整理しました。
Q. 書いたあとに財産が変わったら
売った不動産が遺言に残っていても、その部分が無効になるだけで全体は有効です。ただし分け方のバランスが崩れるので、大きな変動があったら書き直すのが確実です。
Q. 保管制度に預けたことを、家族に知らせるべきですか
知らせておくほうが確実です。指定者通知を設定しておけば死亡時に通知が届きますが、それとは別に、遺言書があることを1人でも知っている人がいるほうが安全です。
Q. 公正証書遺言があるか調べられますか
公証役場で遺言検索システムを使えます。全国どこの公証役場でも検索でき、相続人であれば死亡の記載のある戸籍と自分の身分証で請求できます。手数料は無料です。
Q. 法務局に預けた遺言があるか調べられますか
遺言書保管事実証明書を請求します。1通800円。相続人であれば全国どの遺言書保管所でも請求できます。
Q. 遺言書を勝手に開封したらどうなりますか
封印のある遺言書を家庭裁判所外で開封すると、5万円以下の過料に処されます(民法1005条)。遺言が無効になるわけではありませんが、開封しないでください。保管制度を使っている遺言書には、この問題は生じません。
Q. 内容を家族に見せるべきですか
正解はありません。見せておけば事前に話し合えますが、その時点で不満が出ることもあります。見せないなら、付言事項で「なぜこの分け方にしたか」を必ず書いてください。 理由が分からない不公平は、いちばんもめます。
まとめ
- 最低ラインは自筆証書+法務局の保管制度で3,900円。検認が不要になり、形式チェックも受けられる
- 公証人手数料令は令和7年10月1日に改正され、遺言加算は13,000円になった
- 公正証書は、財産2,500万円を子2人に分けるケースで約8万4,000円(証人日当込み)
- 自筆証書は4つの要件(全文自書・日付・氏名・押印)を1つでも外すと無効
- 財産目録だけはパソコン可。ただし全ページに署名押印
- 不動産があるなら、登記事項証明書のとおりに書く。「自宅」では登記できない
- 遺言執行者の指定と包括条項を入れる
- 遺留分は遺言では消せない。侵害するなら代償金の原資を用意する
- 指定者通知を設定しないと、遺言の存在が誰にも伝わらないことがある
書き方より先に決めるべきなのは、分け方です。そして分け方は、相続税の額を左右します。同じ財産でも、誰が実家を取得するかで小規模宅地等の特例が使えたり使えなかったりします。
書いてから気づいても、亡くなったあとでは直せません。書く前に一度、税額まで含めて確かめておいてください。
分け方と税額を、書く前に確かめる
遺言書の内容は、相続税の総額を変えます。特例が使える分け方になっているか、遺留分を侵害していないか。全国対応・相談無料の窓口で、相続に強い税理士を紹介してもらえます。
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