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実家を売るときの諸費用一覧|仲介手数料・登記・測量まで総額でいくらか

実家の売却手続きに使う書類と鍵 実家の売却・活用
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実家が1,500万円で売れた。手元に1,500万円が入る——と考えていると、着金額を見て驚くことになります。

売値からは、思っているより多くが引かれます。 仲介手数料、印紙税、登記費用。それに加えて、実家ならではの出費があります。遺品整理、解体、測量。どれも数十万円単位です。

この記事では、項目ごとに金額を積み上げます。そのうえで、譲渡所得の計算で差し引ける費用と、差し引けない費用を分けます。ここを取り違えると、翌年の税額が変わります。

みどりみどり
実家が1,500万円で売れそうです。手数料を引いても1,400万円くらいは残りますよね。
たくみ先生たくみ先生
実際に残るのは1,200万円台になることが多いです。 仲介手数料が約56万円、そこに登記と印紙。さらに実家だと、家財の処分と測量で50万〜100万円が乗ります。先に全部並べて、どこを削れるかを見てください。

結論|先に3つ

実家を1,500万円で売ったときの諸費用の内訳

1. 諸費用は売値の5〜7%が目安

1,500万円なら75万〜105万円。ただし、これは不動産取引そのものの費用だけです。

2. 実家では、それとは別に片付けと解体が乗る

家財の処分に15万〜50万円、解体するなら100万〜200万円。実家の売却で金額がふくらむのは、この部分です。

3. 安い物件ほど、手数料の割合が重くなる

2024年7月の改正で、800万円以下の物件は仲介手数料を33万円まで請求できるようになりました。400万円で売れた実家なら、手数料だけで売値の8%です。

まず、いくらで売れるかを知る

諸費用は売値に連動します。仲介手数料も譲渡所得税も、金額が決まらないと計算できません。査定は無料で、売ると決めていなくても取れます。数字が1つ出れば、費用の見通しが立ちます。

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諸費用の全体像|何に、いくらかかるのか

実家の売却にかかる費用の一覧

まず全項目を並べます。1,500万円で売れた木造戸建てを想定しています。

費用 金額の目安 いつ払うか
仲介手数料 56万1,000円 契約時と決済時に半分ずつ
印紙税 1万円 契約時
相続登記(登録免許税) 4万円前後 売却前
相続登記(司法書士報酬) 6万〜10万円 売却前
抵当権抹消 1万5,000〜2万5,000円 決済時
家財の処分 15万〜50万円 売り出し前
ハウスクリーニング 5万〜15万円 売り出し前
測量 35万〜80万円 契約前後
譲渡所得税 利益次第(0円のことも多い) 翌年の3月15日まで
固定資産税の精算 数万円(買主から受け取る側) 決済時

必ずかかるのは、上の4つ

仲介手数料、印紙税、登記費用。この3種類は、どの物件でも発生します。合計で70万円前後です。

マンションなら、金額の内訳が変わる

戸建てを前提に書いていますが、実家がマンションの場合はこうなります。

費用 戸建て マンション
測量 35万〜80万円 不要
解体 100万〜200万円 不要
家財の処分 15万〜50万円 8万〜25万円
管理費・修繕積立金 ― 月1万〜3万円が売れるまで発生

測量と解体が消えるぶん、総額は下がります。一方で、管理費と修繕積立金は売れるまで毎月出ていきます。 滞納があれば、買主に引き継がれるため値引きの材料になります。

残りは物件しだい

測量が要るかどうかは、境界が確定しているかで決まります。家財が残っていれば処分費が乗り、建物を壊すなら解体費が乗ります。実家の場合、この「物件しだい」の部分が、必ずかかる費用より大きくなることがあります。


仲介手数料|上限は法律で決まっている

売却価格別の仲介手数料の上限

不動産会社が受け取れる手数料は、国土交通省の告示で上限が決まっています。料率は価格帯ごとに変わります。

売却価格の区分 料率(税込)
200万円以下の部分 5.5%
200万円超400万円以下の部分 4.4%
400万円超の部分 3.3%

実際の計算

1,000万円で売れた場合、国土交通省は次のように計算例を示しています。

200万円 × 5.5% + 200万円 × 4.4% + (1,000万円 − 400万円) × 3.3% = 39.6万円(税込)

これを毎回計算するのは面倒なので、400万円超なら 「売値 × 3.3% + 6.6万円」 という速算式を使います。1,500万円なら56万1,000円です。

売却価格 仲介手数料の上限(税込) 売値に対する割合
300万円 15万4,000円 5.1%
500万円 23万1,000円 4.6%
800万円 33万円 4.1%
1,000万円 39万6,000円 4.0%
1,500万円 56万1,000円 3.7%
3,000万円 105万6,000円 3.5%

媒介契約の種類では、手数料は変わらない

不動産会社と結ぶ契約には3種類ありますが、手数料の上限はどれも同じです。変わるのは売り方です。

媒介契約 他社への依頼 自分で買主を見つける 報告義務
一般媒介 できる できる なし
専任媒介 できない できる 2週間に1回以上
専属専任媒介 できない できない 1週間に1回以上

専任にすると1社が責任を持って動くぶん広告に力が入り、一般にすると複数社が並行して探します。遠方の実家は、報告義務のある専任のほうが状況をつかみやすいという面があります。

800万円以下には特例がある

2024年7月1日から、物件価格が800万円以下の宅地建物は、通常の上限を超えて手数料を受け取れるようになりました。上限は「30万円×1.1倍」=33万円(税込)です。

国土交通省の「不動産業による空き家対策推進プログラム」に伴う改正で、安い空き家は手数料が見合わず、業者が扱いたがらなかったという背景があります。

つまり、400万円で売れた実家の場合。原則の上限は税込19万8,000円ですが、特例で33万円まで請求されることがあります。 売値の8.25%です。

みどりみどり
田舎の実家なので、400万円くらいだと思います。手数料が8%も取られるんですか。
たくみ先生たくみ先生
上限が33万円になった、というだけです。 必ず33万円というわけではありません。ただ、この改正は「安い物件も扱ってもらえるようにする」ためのものなので、断られていた物件が動きやすくなった面はあります。媒介契約を結ぶ前に、手数料をいくらにするか説明を受ける義務が業者側にあります。 金額を聞いてから決めてください。

印紙税|契約書に貼る

売買契約書には収入印紙を貼ります。2027年(令和9年)3月31日までに作られる契約書には軽減措置が適用されます。

契約金額 印紙税(軽減後)
100万円超〜500万円以下 1,000円
500万円超〜1,000万円以下 5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 1万円
5,000万円超〜1億円以下 3万円
1億円超〜5億円以下 6万円

金額としては小さいものの、契約書を2通作れば2倍かかります。売主と買主が1通ずつ持つのが原則ですが、コピーで済ませて1通だけに印紙を貼る方法もあります。この場合、コピーを持つ側は原本を持ちません。


登記費用|相続登記が終わっていないと売れない

実家の売却にかかる登記費用

亡くなった親の名義のままでは、実家を売れません。先に相続登記をして、自分の名義にする必要があります。

手続き 登録免許税 司法書士報酬の目安
相続登記 不動産の価額 × 0.4% 6万〜10万円
抵当権抹消 不動産1個につき1,000円 1万〜2万円
住所・氏名変更登記 不動産1個につき1,000円 1万〜1万5,000円

登録免許税の計算

固定資産税評価額が1,000万円の実家なら、1,000万円×0.4%で4万円です。売値ではなく評価額で計算するので、思ったほど高くはなりません。

土地と建物は別々に数えます。土地1筆+建物1棟なら、抵当権抹消は2,000円です。

2024年4月から相続登記は義務

相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料の対象になります。売るつもりがなくても、期限があります。

売却時の登記費用は買主が負担する

所有権移転登記の費用は、慣習として買主が払います。売主が払うのは、相続登記と抵当権抹消です。

自分でやれば司法書士報酬は浮く

相続登記は、法務局の窓口相談を使えば自分でできます。必要なのは、被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍と住民票、遺産分割協議書と印鑑証明書、固定資産評価証明書、登記申請書です。

ただし、相続人が3人以上いる、代襲相続がある、遺言書がある。こうした場合は司法書士に頼んだほうが早い。 書類の不備で何度も往復すると、6万〜10万円の報酬より時間のほうが高くつきます。

評価額は「固定資産評価証明書」で確認する

登録免許税の計算に使うのは、売値でも路線価でもなく固定資産税評価額です。市区町村の窓口で取れます。毎年春に届く納税通知書にも記載があるので、まずそちらを探してください。

固定資産税評価額 登録免許税(0.4%)
500万円 2万円
1,000万円 4万円
2,000万円 8万円
3,000万円 12万円
みどりみどり
相続登記は自分でやろうと思っています。どれくらいかかりますか。
たくみ先生たくみ先生
戸籍集めに1か月、書類作成に数日というのが標準です。法務局は予約制の相談窓口があるので、2回ほど通えば形になります。ただし、売却の期限が決まっているなら頼んでください。 補正で往復しているうちに、買主が待てなくなることがあります。

実家ならではの費用|ここが一番大きい

実家の売却で追加でかかる費用の比較

不動産取引の費用より、こちらのほうが金額が大きくなることがあります。

家財の処分|15万〜50万円

親が住んでいた家には、家財がそのまま残っています。3LDKの戸建てで、業者に頼むと17万〜50万円。自分でやれば実費15万〜25万円ですが、8〜12日かかります。

ハウスクリーニング|5万〜15万円

空き家のまま内覧に出すと、においと汚れで印象が落ちます。費用対効果が高い部分で、かけた費用の2倍前後が売値に返ってくるという見方もあります。

測量|35万〜80万円

境界が確定していないと、買主が住宅ローンを組めないことがあります。

測量の種類 費用の目安 期間
現況測量 10万〜20万円 1〜2週間
確定測量(民民のみ) 35万〜50万円 1〜2か月
確定測量(官民あり) 60万〜80万円 3〜4か月

道路や水路に接していると、市区町村との立会いが要ります。期間が3〜4か月に延びるので、売り出す前から動く必要があります。

解体|100万〜200万円

木造30坪で100万〜150万円、鉄骨やブロック塀が多いと200万円を超えます。売れるかどうかが変わる場合を除き、先に壊さないでください。 更地にすると固定資産税の住宅用地特例が外れ、翌年から税額が最大6倍になります。

売れるまでの維持費|月1万〜3万円

見落とされがちですが、売り出してから成約までの数か月も費用が出続けます。

項目 月あたり
固定資産税・都市計画税 8,000〜1万5,000円
火災保険 1,500〜3,000円
電気・水道の基本料金 2,000〜3,000円
庭の手入れ・空き家の見回り 5,000〜1万円

半年売れなければ、6万〜18万円が上乗せされます。 値下げして早く売るのと、価格を維持して待つのと、どちらが手取りで勝つかはここを含めて比べます。

遠方なら、通う費用も乗る

契約、決済、立会い、内覧の準備。売却までに最低でも3〜4回は現地へ行きます。新幹線と宿泊を含めれば、1回あたり2万〜5万円。片道300kmを超えるなら、10万〜20万円を見込んでおいてください。

空き家になると、火災保険が変わる

親が住んでいたときの火災保険は「住宅物件」として契約されています。誰も住まなくなると「一般物件」に切り替わり、保険料が2〜3倍になることがあります。

放置して無保険のまま売り出すのは危険です。空き家の火災や水漏れで建物が損傷すれば、売るものがなくなります。保険会社への届け出を忘れていると、いざというとき支払われないおそれもあります。 相続したら、保険証券を確認して連絡してください。

片付けの費用は、見積もりを取れば確定する

家財の量は家ごとに違うので、相場だけでは判断できません。遺品整理の一括見積もりなら、間取りと状況を伝えるだけで複数社の金額が出ます。頼むと決めていなくても取れます。

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譲渡所得税|利益が出たときだけかかる

譲渡所得の計算式と税率

売却で最も大きくなりうる費用ですが、利益が出なければ0円です。

計算式

譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用

取得費は、親が買ったときの金額から建物の減価償却分を引いた額です。購入時の売買契約書が見つからないと、売値の5%しか取得費にできません。

取得費が分かる資料を探す

契約書が見つからないときも、次のものがあれば実額を主張できる場合があります。

  • 住宅ローンの金銭消費貸借契約書(借入額から推定する)
  • 抵当権設定登記の債権額
  • 通帳の振込記録
  • 購入時のパンフレット、価格表
  • 登記簿の登記原因証明情報

仏壇の引き出し、権利証の入った封筒、押し入れの奥。 契約書は、たいていこのどこかにあります。3,000万円で売れる物件なら、契約書1枚で課税所得が数百万円変わります。 片付ける前に探してください。

税率は所有期間で倍近く変わる

区分 所有期間 税率
長期譲渡所得 譲渡した年の1月1日現在で5年超 20.315%
短期譲渡所得 同じく5年以下 39.63%

いずれも所得税・住民税・復興特別所得税の合計です。

相続した実家は、ほぼ長期になる

所有期間は被相続人の取得日を引き継ぎます。 親が30年前に買った家なら、相続した翌日に売っても長期です。ここは読者が誤解しやすいところで、「相続してすぐ売ると短期で39%」というのは誤りです。

多くの実家では、税金はかからない

取得費が分かっていて、地価が下がっている地域なら、譲渡所得はマイナスになります。加えて、空き家の特別控除が使えれば、3,000万円までの利益が消えます。

控除額と対象は、思っているより限定的

この特例には、見落とされやすい条件があります。

  • 取得した相続人が3人以上だと、1人あたり2,000万円に下がります(令和6年1月1日以後の譲渡)
  • 区分所有建物、つまりマンションは対象外です
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家であること
  • 相続後に貸したり住んだりしていないこと
  • 売却代金が1億円以下であること

戸建てでなければ使えず、3人で分けるなら1人2,000万円。 ここを勘違いすると、手取りの見積もりが数百万円ずれます。

税金の詳しい計算と控除の使い分けは、相続した実家の売却にかかる税金にまとめています。

譲渡益が出そうなら、売る前に相談する

控除が使えるかどうかで、税額が数百万円変わります。要件は売ったあとでは直せません。税理士紹介エージェントなら、相続と譲渡に強い税理士を全国から無料で紹介してもらえます。紹介料はかかりません。

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譲渡費用になるもの・ならないもの

譲渡費用になるものとならないもの

譲渡所得を計算するとき、売値から差し引ける費用は決まっています。国税庁は「土地や建物を売るために直接かかった費用」と定義しています。

なるもの

  • 仲介手数料
  • 測量費
  • 売買契約書の印紙代
  • 建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用
  • 借家人に支払った立退料

ならないもの

  • 遺品整理・家財処分の費用
  • ハウスクリーニング代
  • 引越し費用
  • 抵当権抹消の費用
  • 相続登記の費用
  • 固定資産税

この差は、税額に直結する

譲渡益が出る物件では、差し引ける費用が1万円増えれば、税金が2,031円減ります。 領収書は全部取っておいて、申告のときに仕分けてください。

解体費は「土地を売るため」がポイント

建物を壊して更地で売るなら譲渡費用になります。一方、建物を壊したあと売らずに置いた場合は対象外です。売却と結びついているかどうかで判断します。

みどりみどり
遺品整理に40万円かかりました。これも引けないんですか。
たくみ先生たくみ先生
譲渡費用にはなりません。 「売るために直接かかった費用」ではなく、相続した財産を片付けた費用という扱いです。ただ、譲渡益が出ない物件なら、そもそも税金がかからないので影響しません。引けるかどうかを気にすべきなのは、利益が出る見込みがある場合だけです。

総額シミュレーション|3パターン

売却価格別の諸費用と手取りの比較

前提を変えて、手取りがどう変わるかを見ます。いずれも相続した木造戸建てで、譲渡益は出ないものとします。

項目 ケースA ケースB ケースC
売却価格 400万円 1,500万円 3,000万円
仲介手数料 33万円 56万1,000円 105万6,000円
印紙税 1,000円 1万円 1万円
相続登記 8万円 10万円 14万円
抵当権抹消 ― 2万円 2万円
家財の処分 35万円 25万円 20万円
クリーニング 8万円 10万円 12万円
測量 45万円 50万円 70万円
諸費用の合計 129万1,000円 154万1,000円 224万6,000円
売値に対する割合 32.3% 10.3% 7.5%
手取り 270万9,000円 1,345万9,000円 2,775万4,000円

安い物件ほど、割合で重くなる

ケースAでは、売値の3分の1が費用で消えます。 手数料の特例、測量、家財の処分。どれも売値に比例しないためです。

ケースAでは、売らない選択もある

270万円しか残らないなら、解体して更地にする費用も出ません。この規模だと、買取や、相続土地国庫帰属制度の利用まで含めて比べる価値があります。

譲渡益が出ると、もう1段引かれる

上の表は「利益が出ない」前提です。取得費が分からず、売値の5%しか使えない場合を見てみます。

ケースC(3,000万円)で、取得費を概算の150万円とすると。

項目 金額
売却価格 3,000万円
取得費(売値の5%) -150万円
譲渡費用(手数料・測量・印紙) -176万6,000円
譲渡所得 2,673万4,000円
空き家の3,000万円特別控除 -2,673万4,000円
課税される譲渡所得 0円

控除が使えれば0円。使えなければ約543万円

特別控除が適用できなかった場合、2,673万4,000円 × 20.315% で約543万円の税金がかかります。諸費用224万円より、こちらのほうが大きい。 要件を満たすかどうかを、売る前に確かめてください。

みどりみどり
控除が使えるかどうかで、500万円も違うんですか。
たくみ先生たくみ先生
そこが最大の分岐です。 空き家の特別控除には、亡くなるまで1人暮らしだったこと、1981年5月31日以前の建築であること、耐震改修か解体をして売ること、といった要件があります。しかも期限は、相続の開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。 測量と片付けで半年使うことを考えると、動き出しが遅いと間に合いません。

買取なら、費用はどう変わるか

仲介ではなく、不動産会社に直接買い取ってもらう方法もあります。諸費用の構造が変わります。

費用 仲介 買取
仲介手数料 売値の3.3%+6.6万円 かからない
測量 売主が負担することが多い 業者が引き受けることがある
解体 売主が負担 現況のまま引き取られる
家財の処分 売主が負担 残置物ごと買い取る業者もある
売れるまでの維持費 3〜6か月分 1か月前後
売却価格 市場価格 市場価格の7〜8割

費用は減るが、売値も下がる

1,500万円で売れる物件なら、買取は1,050万〜1,200万円。差額の300万〜450万円に対して、浮く費用は100万〜150万円。 多くの場合、仲介のほうが手取りは多くなります。

逆転するのは、条件がそろったとき

測量と解体が必要で、家財が大量に残っていて、期限が迫っている。この3つが重なると、買取のほうが手元に残ることがあります。 どちらを選ぶかの判断は、不動産の買取と仲介はどちらが得かで条件ごとに試算しています。

みどりみどり
手数料がかからないなら、買取のほうが得に見えます。
たくみ先生たくみ先生
手数料より、値引き幅のほうがずっと大きいです。 1,500万円の物件で手数料は56万円ですが、買取だと300万円以上下がります。ただし、測量に50万円・解体に150万円かかる物件なら、話が変わります。 両方の金額を取って、手取りで並べてください。査定は同時に出せます。

誰が払うのか|きょうだいで分けるときの立替

相続人が複数いると、費用の負担でもめます。売れる前に出ていく100万円前後を、誰が出すかという問題です。

原則は相続分に応じた負担

実家が3人の共有なら、費用も3分の1ずつが原則です。ただし現実には、手続きを動かす1人が全部立て替えることになります。

立て替えるなら、先に書面にする

遺産分割協議書に、次の3つを1行ずつ入れておいてください。

  1. 誰がいくら立て替えるか
  2. 売却代金から優先して精算すること
  3. 売れなかった場合にどう分担するか

3つ目が抜けると、売れ残ったときにもめます。立て替えた側が全額を被る、という結末を避けるための1行です。

領収書は全部まとめて保管する

精算のためだけでなく、譲渡費用の証拠としても使います。立替分をエクセル1枚に日付・項目・金額・支払者で記録しておくと、精算も申告も一度で済みます。


かけて意味がある費用・ない費用

同じ10万円でも、売値に返ってくるものと、消えるだけのものがあります。

返ってくる

  • ハウスクリーニング(5万〜15万円)— 内覧の印象が変わり、値引き交渉を抑えられる
  • 庭木の剪定・草刈り(5万〜15万円)— 外観の第一印象は写真から決まる
  • 境界の確定測量(35万〜80万円)— ないと買主がローンを組めず、そもそも売れない
  • 雨漏り・シロアリの補修(20万〜80万円)— 直さないと買主が付かない、または大幅な値引きになる

返ってこない

  • キッチン・浴室の交換(60万〜150万円)— 買主は自分の好みで直したい
  • 外壁塗装(80万〜120万円)— 回収率は4割前後
  • フルリフォーム — 築40年の家に新品を入れても、築年数は変わらない
  • 解体して更地にする(100万〜200万円)— 買主が現況を望むこともあり、先に壊すと戻せない

基準は「売れるかどうかが変わるか」

上乗せを狙う工事は、ほぼ回収できません。一方、これがないと売れない、という工事は費用ではなく前提です。 この線引きで判断してください。

なお、上乗せを狙った工事の回収率は、水回りの全面改修で約30%、外壁塗装で約40%という水準です。工事別の検証は売る前にリフォームすべきかにまとめています。


費用を抑える5つの方法

1. 測量が本当に必要かを先に確認する

境界標が残っていて、隣地ともめていないなら、現況測量で足りることがあります。いきなり確定測量を勧められたら、理由を聞いてください。

2. 解体は買主に任せられないか交渉する

更地を望む買主なら、解体費を値引き分として織り込む交渉ができます。売主が先に壊すと、固定資産税が上がるうえ、売れ残ったときに現金が戻りません。

3. 家財は自分で分別してから見積もりを取る

処分費は量で決まります。可燃ごみとして出せるものを先に減らすだけで、見積もりが下がります。

4. 購入時の契約書を探す

見つかれば取得費が確定し、譲渡益が圧縮できます。見つからないと売値の5%しか使えません。 3,000万円の物件なら、150万円と実額の差がそのまま課税所得の差になります。

5. 空き家の3,000万円特別控除の期限を意識する

相続の開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。測量に4か月、片付けに2か月かかると、思ったより余裕がありません。

やってはいけない節約

逆に、削ると損をするものもあります。

削りたくなるもの 削るとどうなるか
確定測量 買主がローンを組めず、売れない・大幅に値引きされる
建物状況調査 引き渡し後に不具合が出て、契約不適合責任を問われる
クリーニング 内覧で印象が落ち、値引き交渉の材料になる
火災保険(売却まで) 空き家の火災・水漏れで、売るものがなくなる

「安い業者」を選ぶより、「必要な工程を減らす」

見積もりを比べるのは大事ですが、数万円の差より、測量を1本減らせるかどうかのほうが効きます。 何が必要で何が不要かは、査定のときに不動産会社へ聞けば教えてもらえます。

費用を見積もる前に、売値の見当をつける

仲介手数料も譲渡所得税も、売値が決まらないと計算できません。査定を取れば、諸費用と手取りを具体的な数字で置けます。無料で、売ると決めていなくても取れます。

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支払うタイミング|現金がいつ要るか

費用の総額より、いつ現金が要るかのほうが困ることがあります。

時期 支払うもの 目安
売り出し前 相続登記、家財の処分、クリーニング 40万〜70万円
契約前後 測量 35万〜80万円
契約時 仲介手数料の半分、印紙税 30万円前後
決済時 仲介手数料の残り、抵当権抹消 30万円前後
翌年3月15日まで 譲渡所得税 利益次第

売れる前に100万円前後が出ていく

登記、片付け、測量。これらは買主が決まる前に払います。 売れ残れば戻ってきません。ここを知らずに動くと、途中で資金が尽きます。

手元資金が足りないときの順番

100万円を用意できないなら、出費を後ろにずらす方法があります。

1. 測量を契約後に回す

買主が決まってから確定測量に入る契約にすれば、売れなかったときの持ち出しが消えます。ただし引き渡しまでの期間が1〜2か月延びるため、買主が待てるかを先に確認します。

2. 家財の処分を「残置物あり」で売る

そのままの状態で買い取ってもらえば、処分費はかかりません。その分、売値は下がります。

3. 相続登記だけ先に済ませる

これは避けられません。ただし司法書士に頼まず自分でやれば、報酬6万〜10万円が浮きます。 法務局の相談窓口で書き方を教えてもらえます。

4. 買取を選ぶ

売り出し前の費用がほぼ消えます。売値は下がりますが、持ち出しゼロで現金化できるのは買取だけです。

きょうだいで分担を決めておく

相続人が複数いるなら、誰がいくら立て替えるかを先に決めてください。売却代金から精算する取り決めを、遺産分割協議書に1行入れておくと、あとでもめません。

分け方そのものの決め方は、実家を兄弟でどう分けるかにまとめています。


売却の流れと、費用が出ていく順番

どの段階で何を払うかを、時系列で並べます。相続してから引き渡しまで、標準的には8〜12か月です。

1か月目|相続人を確定させる(費用:戸籍代 5,000〜1万5,000円)

被相続人の出生から死亡までの戸籍を集めます。本籍地が複数なら、郵送で1か所2週間。ここが遅れると全部が後ろにずれます。

1〜2か月目|査定を取る(費用:0円)

複数社に出して、価格の幅を見ます。同時に、測量が必要か、解体を勧められるか、家財をどうするかも聞いておきます。この段階で聞いておけば、諸費用の見積もりが立ちます。

2〜3か月目|遺産分割協議と相続登記(費用:10万〜20万円)

誰の名義にするかを決め、登記します。立替と精算の取り決めも、この協議書に入れます。

3〜4か月目|家財の処分とクリーニング(費用:20万〜65万円)

内覧の準備です。遠方なら、業者に頼んだほうが交通費を含めて安く収まることがあります。

4〜8か月目|売り出し(費用:維持費 月1万〜3万円)

売れるまでのあいだ、固定資産税と保険料が出続けます。

8〜9か月目|契約(費用:仲介手数料の半分+印紙税)

手付金が入るので、ここで初めて現金が戻ってきます。

9〜10か月目|測量と決済(費用:測量35万〜80万円、仲介手数料の残り)

残代金を受け取り、鍵を引き渡します。

翌年2〜3月|確定申告(費用:譲渡所得税、税理士報酬10万〜20万円)

利益が出ていれば納税します。売った年の翌年3月15日までです。

最初の8か月は、出ていく一方

手付金が入るまで、入金はありません。 現金が動く順番を知らずに始めると、測量の段階で止まります。 売り出す前に、100万円前後を用意できるかを確かめてください。


よくある質問

Q. 仲介手数料は値引きできますか。

法律上の上限が決まっているだけで、下限はありません。ただし、手数料を下げた分は広告費や営業の手間に跳ね返ります。 800万円以下の物件では、特例で33万円まで請求できるようになった背景も踏まえて交渉してください。

Q. 売れなかったら、手数料はかかりますか。

成約したときだけ発生します。売り出しただけでは支払いません。ただし、売主が特別に依頼した広告費は請求されることがあります。

Q. 固定資産税の精算金は費用ですか。

買主から受け取る側なので、支出ではありません。ただし、譲渡価額に含めて譲渡所得を計算します。 受け取った金額は売値の一部という扱いです。

Q. 住宅ローンが残っています。

売却代金で完済して、抵当権を抹消します。売値がローン残高を下回る場合は、差額を自己資金で埋めるか、任意売却を検討することになります。

Q. 相続登記をせずに売れませんか。

売れません。買主に所有権を移すには、いったん相続人の名義にする必要があります。相続人が複数なら、全員の名義にするか、遺産分割で1人の名義にしてから売ります。

Q. 諸費用を安くするために個人間で売買できますか。

できますが、勧めません。契約不適合責任、境界の確定、登記の手配。トラブルが起きたときに間に入る人がいません。仲介手数料は、その分のリスクを引き受けてもらう費用です。

Q. 空き家を無料で引き取ると言われました。費用はかかりませんか。

引き取り手が解体費相当の負担を引き受ける代わりに0円、という取引はあります。ただし相続登記と所有権移転の費用は売主側に残ります。 また、売値0円でも贈与税の問題が生じないか、事前に確認してください。

Q. 測量図が権利証と一緒に出てきました。これで足りますか。

古い測量図だと、現在の境界標と合わないことがあります。作成年が20年以上前なら、隣地の建て替えや道路工事で状況が変わっている可能性が高い。 不動産会社に見てもらい、使えるかどうか判断してもらってください。

Q. 売却代金はいつ入りますか。

契約時に手付金として売値の5〜10%、決済時に残額が入ります。契約から決済まではおおむね1〜2か月です。仲介手数料の残り半分と抵当権抹消の費用は、決済の場で差し引かれます。

Q. 不動産会社から「専任にすれば手数料を安くする」と言われました。

よくある提案です。ただし、専任にすると他社に依頼できなくなります。手数料を1割下げてもらっても、売値が5%下がれば元が取れません。 手数料より、その会社が実際にどう売るつもりかを聞いてください。

Q. 確定申告は自分でできますか。

譲渡益が出ておらず、特例も使わないなら自分でできます。一方、空き家の3,000万円特別控除や取得費加算を使うなら、税理士に頼んだほうが安全です。要件の判定を誤ると、あとから修正申告になります。報酬は10万〜20万円が目安です。

Q. 親が住んでいた家を、私が住んでから売っても同じですか。

譲渡所得の計算は変わります。自分が住んでいた家なら「マイホームの3,000万円特別控除」の対象になる一方、空き家の3,000万円特別控除は使えなくなります。 どちらが有利かは金額によるので、住み始める前に確認してください。


まとめ|売れる前に出ていく金額を知っておく

片付けを終えて売り出す準備が整った実家の和室

1. 不動産取引の費用は売値の5〜7%

1,500万円なら75万〜105万円。仲介手数料がその大半を占めます。

2. 実家ではさらに片付け・測量・解体が乗る

50万〜150万円。ここが総額を押し上げます。

3. 800万円以下は仲介手数料33万円まで

2024年7月の改正です。安い物件ほど、割合で重くなります。

4. 相続した実家の譲渡所得は、ほぼ長期の20.315%

親の取得日を引き継ぐため、相続直後に売っても短期にはなりません。

5. 譲渡費用になるのは「売るために直接かかった費用」

遺品整理とクリーニングは入りません。領収書は分けて保管してください。

6. 100万円前後は、売れる前に出ていく

登記、片付け、測量。売れ残れば戻りません。手付金が入るまで、入金はありません。

7. 削るなら、工程そのものを減らす

業者を数万円安いところに替えるより、測量や解体を1本減らせるかを考えたほうが効きます。何が必要かは、査定のときに聞けます。

8. 安い物件ほど、割合で重くなる

400万円の実家では、諸費用が売値の3割を超えることがあります。この規模なら、買取や国庫帰属も含めて比べる価値があります。

まず査定を1つ取って、売値の見当をつけてください。諸費用はそこから逆算できます。

数字が1つ出れば、費用も手取りも計算できる

仲介手数料も譲渡所得税も、売値に連動します。査定は無料で、売ると決めていなくても取れます。複数社の金額がそろえば、諸費用を引いた手取りを具体的に置けます。

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本欄はプロモーションを含みます。掲載内容・条件は各サービスの公式サイトで最新のものをご確認ください。

この記事について

本記事の内容は2026年9月14日時点の国土交通省・国税庁の公表内容にもとづきます。費用の目安は、物件の状態・地域・時期によって変わります。税制は改正されることがあり、個別の事情によって取り扱いが変わるため、実際の申告にあたっては所轄の税務署または税理士にご確認ください。

この記事を書いた人
葉山 湊実家じまいガイド運営者

企業の財務・事業の調査(デューデリジェンス)や資産の評価を本業としています。費用は内訳と前提条件に分けて示し、制度や税金は法令と国税庁・法務省・国土交通省・各自治体などの一次情報で確かめて、出典と情報の時点を記事に明記しています。

税理士・司法書士・宅地建物取引士などの資格は保有していません。個別の税務・法律の判断は、専門家にご確認ください。

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