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実家を売ろうとすると、不動産会社から「確定測量をしてください」と言われます。
見積もりを取ると数十万円。この金額は妥当なのか、そもそも必要なのか。 判断するには、何にお金がかかっているのかを知る必要があります。
この記事では、土地家屋調査士の全国的な報酬統計をもとに費用の根拠を示し、隣地の立会いが取れないときの出口まで整理します。
結論|先に3つ

1. 全国平均は39万円
日本土地家屋調査士会連合会の2022年度アンケート(回答3,487通)で、土地地積更正登記の平均報酬は390,316円(税抜)でした。この条件には道路と隣地との筆界確認が含まれています。
2. 期間は3か月前後
隣地の所有者と日程を合わせる必要があるため、測量そのものより調整に時間がかかります。
3. 立会いが取れなくても、方法はある
相続で所有者が分からない、連絡が取れない。そんなときは筆界特定制度があります。申請手数料は数千円から、期間は9か月ほどです。
測量が本当に必要かを、査定で確かめる
確定測量が要るかどうかは、土地の状況と買主の属性で変わります。測量に40万円かけてから「売れない土地だった」と分かるのが、いちばん避けたい順番です。 先に査定額を取ってください。
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確定測量と現況測量の違い
同じ「測量」でも、費用が3倍以上違います。
| 現況測量 | 確定測量 | |
|---|---|---|
| 隣地の立会い | 不要 | 必要 |
| 官民(道路)の立会い | 不要 | 必要な場合がある |
| 成果物 | 現況測量図 | 確定測量図+筆界確認書 |
| 費用の目安 | 10万〜20万円 | 35万〜80万円 |
| 期間 | 1〜2週間 | 2〜4か月 |
| 使える場面 | 概算、計画、解体の見積もり | 売買、分筆、地積更正 |
現況測量は、いまある目印を測るだけ
ブロック塀、境界標、フェンス。現地にあるものをもとに図面を作ります。隣の人の同意を得ていないので、面積は「おおよそ」です。
確定測量は、隣と合意した境界を測る
隣地の所有者に立ち会ってもらい、「ここが境界です」と確認します。合意した内容を筆界確認書という書面にして、署名・押印をもらいます。
不動産取引で求められるのは確定測量
買主は、買った後に隣とトラブルになることを避けたい。だから確定測量図を求めます。現況測量図では、金融機関の融資審査で足りないことがあります。
費用|全国平均は39万円
一次情報を見ます。

日本土地家屋調査士会連合会 2022年度アンケート(回答3,487通・全国平均・税抜)
| 業務 | 平均報酬額 |
|---|---|
| 土地地目変更登記 | 46,589円 |
| 土地合筆登記 | 50,640円 |
| 土地地積更正登記 | 390,316円 |
| 土地分筆登記 | 422,909円 |
| 建物表題登記(木造2階・居宅) | 85,174円 |
390,316円の前提条件

アンケートで示された条件です。自分の土地と比べる目安になります。
- 地目:宅地(市街地)、更正後の地積 180.00㎡
- 近傍の基本三角点等を4点使用して測量、多角点2点を新設
- 申請土地1筆と隣接地6筆の調査
- 道路および隣接民有地と筆界確認を行う
- 境界点2か所はコンクリート杭が既設。3か所に杭・金属標を新設
- 事務所から現場まで約4km
この条件より隣接地が多い、土地が広い、現場が遠い、となれば金額は上がります。
報酬は自由化されている
土地家屋調査士の報酬規定は、2003年8月1日に廃止されました。いまは事務所ごとに決められます。統計はあくまで平均で、定価ではありません。
実費は別にかかる
| 実費 | 内容 |
|---|---|
| 登記の手数料 | 登記事項証明書、公図、地積測量図の取得 |
| 交通費 | 遠方の現場、遠方の隣地所有者との打ち合わせ |
| 境界杭の代金 | プラスチック杭、コンクリート杭、金属標で単価が違う |
| 通信費・郵送料 | 隣地への案内 |
登記簿や公図の取り方は登記簿謄本の取り方にまとめました。自分で取れば数百円です。
何にお金がかかっているのか
作業の中身を知ると、金額の理由が分かります。

1. 資料調査(1〜2週間)
法務局で公図、地積測量図、登記事項証明書を取ります。市区町村で道路台帳、旧土地台帳、区画整理の資料を調べます。過去の測量図が残っているかどうかで、この後の手間が大きく変わります。
2. 現地調査・仮測量(1〜2週間)
境界標が残っているかを確認し、基準点から仮に測ります。
3. 隣地への連絡と立会い(1〜2か月)
ここが最も時間を使います。隣地が6筆なら、6軒と日程を合わせます。1軒でも都合がつかなければ延びます。
4. 境界の確認と杭の設置
合意できたら、境界標を設置します。コンクリート杭、金属標、プラスチック杭を使い分けます。
5. 筆界確認書の作成・押印
隣地の所有者から署名・押印をもらいます。印鑑証明書を添えてもらうのが一般的です。
6. 図面の作成と登記申請
確定測量図を作り、地積更正登記が必要ならあわせて申請します。
時間の大半は、人と会う調整
測量機器を据えている時間より、隣の人と連絡を取っている時間のほうが長いのが実情です。 金額の内訳も、機械の使用料ではなく人件費が中心です。
期間|3か月が目安

| 工程 | 期間 |
|---|---|
| 資料調査 | 1〜2週間 |
| 現地調査・仮測量 | 1〜2週間 |
| 隣地との立会い調整 | 1〜2か月 |
| 書面の作成・押印 | 2〜4週間 |
| 登記申請・完了 | 2〜3週間 |
官民境界があると、さらに延びる
前面道路が公道の場合、自治体との立会い(官民査定)が必要です。自治体の日程は混んでいて、申請から数か月待つ地域もあります。 全体で6か月を超えることもあります。
売却のスケジュールに組み込む
買主が決まってから測量に入ると、引き渡しが数か月先になります。買主が待てないと契約が流れます。
売ると決めた時点で着手するか、契約書に「測量完了後に引き渡し」と明記して合意しておくかの、どちらかです。
売却の流れ全体は実家を売るときの諸費用一覧にまとめました。
売却に確定測量が要るケース、要らないケース
必ず要るわけではありません。
要るケース
- 実測売買(測った面積で価格を決める)で契約する
- 土地を分筆して一部だけ売る
- 登記簿の面積と実際の面積が明らかに違う
- 境界標が1つもない
- 隣地と過去にもめたことがある
- 買主の融資条件になっている
要らないことがあるケース
- 境界標がすべて残っていて、隣地との認識が一致している
- 直近の確定測量図(10年以内程度)がある
- 買主が業者で、現況有姿での買取を前提にしている
- 建物付きで、解体せずにそのまま引き渡す
公簿売買という方法
登記簿の面積で売買し、実測との差があっても精算しない契約です。田舎の土地や、単価が低い土地ではこの形が多く使われます。
単価3万円/㎡の土地で、測量に40万円かけるのは合理的ではありません。 面積が13㎡ずれていたのと同じ金額です。
まず査定を取って、単価を知る
測量が必要かどうかは、土地の価格とのバランスで決まります。価格が分からないまま測量に入るのが、いちばん無駄が出ます。
隣地の立会いが取れないとき
確定測量で最も多い行き詰まりです。


よくある4つの理由
| 理由 | 対処 |
|---|---|
| 隣地が空き家で、所有者が分からない | 登記簿から所有者を調べ、住民票の除票をたどる |
| 隣地も相続登記が済んでいない | 相続人全員を特定して連絡する |
| 立会いを拒否された | 筆界特定制度、境界確定訴訟 |
| 共有者が多数いる | 全員から確認書をもらう必要がある |
所有者を探す手順
- 隣地の登記事項証明書を取る(誰でも取れる)
- 記載された住所へ手紙を出す
- 宛先不明なら、住民票の除票や戸籍の附票をたどる
- それでも不明なら、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てる
登記簿の取り方は登記簿謄本の取り方にまとめています。
相続登記が済んでいない隣地が増えている
2024年4月から相続登記が義務化されましたが、それ以前のものが大量に残っています。隣の名義が祖父の代のまま、というのは珍しくありません。 相続人が10人を超えることもあります。
義務化の内容は相続登記の義務化と10万円以下の過料で整理しています。
筆界特定制度|手数料は数千円から
立会いが取れないときの、公的な解決手段です。

どんな制度か
法務局の筆界特定登記官が、外部の専門家(筆界調査委員)の意見を踏まえて、もともとの筆界がどこかを明らかにする制度です。
新しく境界を決めるのではなく、「元からここだった」という判断を公的に示すものです。
申請手数料の計算
申請人の土地の価格と相手方の土地の価格を足して、2で割り、それに0.05を掛けます。出てきた額が算定基礎額です。
土地の価格は固定資産課税台帳の登録価格です。
| 算定基礎額の区分 | 手数料 |
|---|---|
| 100万円までの部分 | 10万円ごとに 800円 |
| 100万〜500万円の部分 | 20万円ごとに 800円 |
| 500万〜1,000万円の部分 | 50万円ごとに 1,600円 |
| 1,000万〜10億円の部分 | 100万円ごとに 2,400円 |
計算例
対象となる2筆の固定資産評価額の合計が4,000万円の場合。
4,000万円を2で割ると2,000万円。それに0.05を掛けて100万円が算定基礎額になります。
→ 申請手数料は 8,000円
期間は9か月
東京法務局は、申請から筆界特定までの標準処理期間を9か月としています。
測量費用は申請人が負担
手続きの中で測量が必要になった場合、その費用は申請人が負担します。 概ね50万〜80万円が目安です。手数料が安くても、総額では確定測量と変わらないことがあります。
共有者の1人でも申請できる
他の共有者は「関係人」として手続きに参加します。共有名義の実家については共有名義の実家は売れる?にまとめました。
境界確定訴訟との違い
筆界特定で決着しない場合の最後の手段です。

| 筆界特定制度 | 境界確定訴訟 | |
|---|---|---|
| 判断する人 | 筆界特定登記官 | 裁判所 |
| 期間 | 9か月前後 | 1〜3年 |
| 費用 | 手数料数千円+測量費 | 印紙代+弁護士費用(数十万〜百万円超) |
| 効力 | 公的な判断の証明 | 確定判決 |
| その後 | 不服なら訴訟を起こせる | 争えない |
筆界特定をしても、当事者はいつでも訴訟を起こせます。 逆に、訴訟の判決が出れば、それが最終です。
実務では筆界特定で止まることが多い
法務局の判断が出れば、それをもとに隣地と話がまとまる例が大半です。訴訟まで進むのは、感情的な対立が深いケースに限られます。
名義が親のままのとき
相続した実家では、ほぼ必ずこの状態です。
測量の依頼はできる
名義が親のままでも、相続人が土地家屋調査士に依頼できます。相談や見積もりの段階では、名義は問われません。
ただし登記は名義を直してから
地積更正登記や分筆登記を申請するには、申請人が登記名義人である必要があります。 つまり、先に相続登記を済ませることになります。
順番
- 相続人を確定させる(戸籍を集める)
- 遺産分割協議で誰が取得するかを決める
- 相続登記を申請する
- 確定測量に入る
- 地積更正登記(必要なら)
- 売却
1から3までで2〜3か月、4から5で3か月。売却までに半年は見ておくことになります。
相続登記は2024年4月から義務
相続を知った日から3年以内です。期限と過料は相続登記の義務化にまとめました。
費用を誰が負担するか
原則は、測量を依頼した人
売主が売却のために測量するなら、売主負担です。
隣地が費用を分担することもある
隣も同時に売る予定がある、隣も境界をはっきりさせたい。そんなときは折半にする例があります。ただし、こちらから求められる筋のものではありません。
買主が負担する契約もある
買取業者が「測量はこちらでやるので、その分を価格から引く」という形です。手取りで比べると、自分でやるより安く済むことがあります。
買取と仲介の比較は不動産の買取と仲介はどちらが得かにまとめました。
測量費を負担しない売り方もある
境界が未確定の土地でも、そのまま買い取る業者があります。測量費と時間を出さずに済む代わりに価格は下がるので、手取りで比べて決めてください。 無料で査定できます。
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測量図が既にある場合
実家の書類箱を探す価値があります。

3種類あり、意味が違う
| 図面 | 内容 | 信頼度 |
|---|---|---|
| 地積測量図 | 法務局に備えられた公的な図面 | 作成年による |
| 確定測量図 | 隣地の確認を得た図面 | 高い |
| 現況測量図 | 立会いなしで測った図面 | 参考程度 |
地積測量図は作成年が重要
| 作成時期 | 扱い |
|---|---|
| 1960〜1976年ごろ | 精度が低い。境界標の記載がないことも |
| 1977年〜 | 引照点の記載が求められるようになった |
| 2005年〜 | 座標値による表示。精度が高い |
1970年代以前の地積測量図は、そのままでは使えないことが多いです。 逆に2005年以降のものがあれば、測量の手間が大きく減ります。
地積測量図は法務局で取れる
書面請求で1通500円です。すべての土地にあるわけではなく、分筆や地積更正をした土地にだけ備えられています。
確定測量図が10年以内なら、再利用できることがある
隣地の所有者が変わっていなければ、前の筆界確認書がそのまま使える場合があります。まず土地家屋調査士に見てもらってください。
費用を抑える5つの方法

1. 土地家屋調査士に直接頼む
不動産会社を経由すると、紹介料が上乗せされることがあります。直接依頼すれば、その分が消えます。
2. 相見積もりを取る
報酬は自由化されています。2〜3事務所から取れば、水準が見えます。
3. 資料を自分で集める
登記事項証明書、公図、地積測量図を自分で取れば、その実費分が浮きます。数千円ですが、手間賃が乗る事務所もあります。
4. 隣地への連絡を自分でやる
日程の調整だけでも自分でやると、作業時間が減ります。顔見知りなら、こちらから話すほうが立会いも進みます。
5. 現況測量で足りないか確認する
境界標がすべて残っていて、隣ともめていないなら、現況測量(10万〜20万円)で足りる場面があります。いきなり確定測量を勧められたら、理由を聞いてください。
測量の前に、売れる価格を知っておく
確定測量に40万円かけるかどうかは、その土地がいくらで売れるかで決まります。査定は無料で、売ると決めていなくても取れます。
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よくある質問
Q. 測量は誰に頼むのですか
土地家屋調査士です。測量士とは資格が別で、登記に使う測量ができるのは土地家屋調査士です。
Q. 立会いに自分も行く必要がありますか
行くほうが望ましいです。所有者が顔を出すと、隣地の方の対応が変わることがあります。遠方の場合は委任もできます。
Q. 境界標が動かされていたら
過去の地積測量図や引照点から、本来の位置を復元します。故意に動かすと、不動産侵奪罪や境界損壊罪にあたる可能性があります。
Q. ブロック塀の中心が境界ですか
一概には言えません。共有の塀なら中心が境界のことが多いですが、片方の敷地内に建てられている場合もあります。塀の位置と境界は別に考えてください。
Q. 確定測量図に有効期限はありますか
法律上の期限はありません。ただし実務では、3〜5年を超えると再確認を求める買主や金融機関があります。
Q. 隣が測量に協力してくれたら、お礼は必要ですか
義務ではありません。菓子折り程度を持参する例はあります。現金を渡すと、かえって関係がこじれることがあります。
Q. 測量したら面積が減りました。固定資産税は下がりますか
地積更正登記をすれば、登記簿の面積が変わります。市町村がそれを反映すれば税額も変わりますが、自動ではありません。 課税明細を確認してください。
まとめ
- 確定測量の費用は、日調連の全国平均で390,316円(地積更正登記・税抜・2022年度)
- 前提は宅地180㎡、隣接地6筆、道路と隣地の筆界確認あり。条件が重ければ上がる
- 現況測量(10万〜20万円)との違いは、隣地の立会いがあるかどうか
- 期間は3か月前後。官民境界があると6か月を超えることもある
- 時間の大半は測量ではなく、隣地との日程調整
- 立会いが取れないときは筆界特定制度。手数料は数千円からだが、測量費用は申請人負担で9か月かかる
- 単価の低い土地では、公簿売買で測量をしない選択もある
- 買取業者なら、境界未確定のまま買い取ることがある。手取りで比べる
まず査定を取って、土地の価格を知ってください。測量費40万円が高いか安いかは、その土地がいくらで売れるかによって変わります。

