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ゴミ屋敷になった実家の片付け費用|間取り別の相場と、業者の許可を確認する方法

物が積み上がった実家の室内 遺品整理・特殊清掃
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久しぶりに実家の扉を開けたら、足の踏み場がなかった。

このとき最初に頭をよぎるのは、「いくらかかるのか」です。そして調べ始めると、「5万円から」と書いてある業者もあれば、「100万円かかった」という体験談もある。

10倍以上の開きがあるのは、費用の決まり方を誰も説明していないからです。

結論から言うと、片付け費用は「ゴミの量」ではなく「必要な人手と日数」で決まります。同じ2LDKでも、作業員2人で1日終わる現場と、6人で3日かかる現場では、金額が3倍以上違います。

そしてもう一つ、金額より先に確認すべきことがあります。その業者が、家庭のごみを回収できる許可を持っているかです。

環境省は、「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では家庭の廃棄物を回収できないと明確に注意喚起しています。チラシに「許可あり」と書いてあっても、それが正しい許可とは限りません。

この記事では、費用の決まり方と業者の見分け方を、条文と環境省の公表資料にもとづいて整理します。

みどりみどり
実家に帰ったら、玄関から先に進めない状態でした。母は「片付ける」と言うのですが、何年もこのままです。
たくみ先生たくみ先生
責めても片付きません。まず、費用がいくらかかるのかを具体的に知ることから始めましょう。金額が見えると、家族で話し合える土台ができます。

片付け前の室内

結論|費用は「量」ではなく「人手と日数」で決まる

片付け費用の決まり方

片付け業者の見積もりは、次の4つの掛け算でできています。

要素 内容 単価の目安
1. 作業員の人数×日数 人件費 1人1日 2万〜3万円
2. トラックの台数 運搬費 2tトラック1台 3万〜5万円
3. 処分費 廃棄物の処理料金 1立方メートル 5,000〜1万5,000円
4. オプション 消臭・害虫駆除・ハウスクリーニング 2万〜20万円

「ゴミの量」が効いてくるのは3だけです。全体の3〜4割にすぎません。

残りの6〜7割は、「何人が、何日かけて運び出すか」で決まります。

だから、こういう現場は高くなる

現場の条件 なぜ人手と日数が増えるか
エレベーターなしの3階 階段で1つずつ運ぶ
前面道路が狭くトラックが停められない 台車で往復する
貴重品を探しながら 分別しながら進めるので遅い
近隣に配慮して静かに作業 作業速度が落ちる
害虫が発生している 防護具着用で効率が下がる

同じ量のごみでも、条件次第で倍以上違う理由がこれです。

みどりみどり
「2LDKで◯万円」という表示は、あてにならないということですか。
たくみ先生たくみ先生
目安にはなりますが、それだけで決まりません。必ず現地を見てもらってください。写真や電話だけの見積もりは、当日に「思ったより多いので追加します」と言われる原因になります。

相場より、自分の家の見積もり

費用は量と人手で決まるので、写真を送るだけでも概算が出ます。 相場は当てになりません。

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間取り別の費用相場

間取り別の片付け費用相場

現地の条件が標準的な場合の目安です。

間取り 作業員 日数 費用の目安
1R・1K 1〜2人 半日〜1日 3万〜12万円
1DK 2人 1日 5万〜18万円
1LDK・2DK 2〜3人 1日 8万〜25万円
2LDK・3DK 3〜4人 1〜2日 15万〜45万円
3LDK・4DK 4〜5人 2日 20万〜60万円
4LDK以上・一戸建て 5〜8人 2〜4日 30万〜120万円

一戸建てで幅が大きいのは、庭・物置・車庫が含まれるかどうかです。

ゴミの堆積レベルで変わる

同じ間取りでも、ごみの深さで金額が動きます。

レベル 状態 上乗せの目安
レベル1 床は見えている。物が多い程度 相場の下限
レベル2 床の一部が見えない。足の踏み場はある 相場の中間
レベル3 床が完全に見えない。膝下まで堆積 相場の上限
レベル4 腰から胸の高さまで堆積。天井近くまでの部屋がある 相場の1.5〜2倍
レベル5 生ごみ・排泄物があり、害虫が発生 特殊清掃が必要(別途10万〜50万円)

レベル4以上は、見積もりの前提が変わります。「間取り別の相場」からは外れると考えてください。


費用の内訳を分解する

片付け費用の内訳

3LDKの一戸建て(レベル3)を例に、内訳を積み上げます。

費目 計算 金額
人件費 4人 × 2日 × 2.5万円 20万円
トラック 4tトラック 2台 12万円
処分費 約25立方メートル × 8,000円 20万円
家電リサイクル(4品目) 冷蔵庫・洗濯機・エアコン・テレビ 2万円
消臭・除菌 2部屋 4万円
合計 58万円

ここから買取(リサイクル)で差し引かれる分があります。

買い取ってもらえる可能性があるもの 相場
製造5年以内の家電 数千円〜3万円
貴金属・時計 買取価格による
ブランド食器・骨董品 数千円〜数万円
未使用の日用品ストック 数百円〜

買取で総額が10万円下がった例もあります。ただし過度な期待は禁物です。「買取で相殺できます」と強調する業者は、後から「値段がつきませんでした」と言うことがあります。


自分の家がどの要因に当たるかは、見積もりを1社取れば見えてきます。

高額になる5つの要因

片付け費用が高額になる要因

見積もりが跳ね上がるのは、次の5つが絡んだときです。

1|搬出経路が悪い

エレベーターなし、階段が狭い、前面道路にトラックが停められない。運搬の効率が落ち、人数と日数がそのまま増えます。

2|床が抜けている・カビが広がっている

長期間の堆積で床材が傷んでいると、片付け後にリフォームが必要になります。床の張り替えは6畳で10万〜25万円です。

3|害虫・害獣が発生している

ゴキブリ、ハエ、ネズミ。駆除作業が追加され、作業員も防護具を着けるため効率が落ちます。駆除費用は3万〜15万円です。

4|臭いが染みついている

消臭は「換気」では取れません。オゾン脱臭機や薬剤散布が必要で、1部屋2万〜5万円。壁紙まで染みていれば、張り替えになります。

5|貴重品を探しながら作業する

「通帳と印鑑がどこかにあるはず」という現場は、一つずつ確認しながら進みます。作業日数が1.5倍になることも珍しくありません。

貴重品の捜索が必要な場合は、事前に「何を探しているか」を伝えてください。見つかったものを保管する手順が決まっている業者を選びます。

みどりみどり
母の預金通帳がどこにあるか、本人も分からないと言っています。
たくみ先生たくみ先生
それは必ず伝えてください。言わずに作業を始めると、通帳ごと処分されます。まともな業者なら、現金・通帳・印鑑・保険証券・写真は別に分けて保管します。「重要書類の取り扱いはどうなりますか」と見積もり時に聞くのが、業者の質を測る良い質問です。

許可のある業者だけを比べる

一括見積もりなら、許可を持つ業者からまとめて金額が出ます。 自分で1社ずつ確認する手間が減ります。

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業者の許可を確認する

一般廃棄物処理業の許可

費用より先に確認すべきことです。

廃棄物処理法7条1項は、こう定めています。

一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域……を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。

つまり、家庭から出るごみを有償で運び出すには、その市区町村の「一般廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。

産廃許可・古物商許可では回収できない

環境省は、この点を明確に注意喚起しています。

ご家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業許可」や委託が必要です。「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では回収できません。

産業廃棄物処理業許可は、工場や企業の廃棄物を処理するための許可です。古物商の許可は、中古品等の売買を行うための許可です。

これは、業者のチラシやサイトで最も多い誤解の元です。

掲げている許可 家庭ごみを回収できるか
一般廃棄物収集運搬業許可 できる
市区町村からの委託 できる
産業廃棄物収集運搬業許可 できない
古物商許可 できない(中古品の売買のみ)
一般廃棄物処理業者との提携 提携先の許可番号を確認する
遺品整理士の資格 許可ではない(民間資格)

「許可番号あり」と書いてあっても、それが産廃の番号なら、家庭ごみは扱えません。

確認のしかた

  1. 見積書か名刺に許可番号があるか見る
  2. 「一般廃棄物」の許可かを読む(「産業廃棄物」なら別物)
  3. 実家がある市区町村の許可か確認する(隣の市の許可では回収できません)
  4. 市区町村のサイトで許可業者一覧を見る——多くの自治体が公開しています

4がいちばん確実です。業者名を検索する前に、自治体のリストを開いてください。

無許可営業の罰則

廃棄物処理法25条1項1号は、無許可営業を重く罰しています。

五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

懲役刑があるという点で、行政法規の中でも重い部類です。それだけ問題が多い分野だと考えてください。

そして、依頼した側にもリスクがあります。

  • 回収された物が不法投棄され、そこから持ち主が特定される
  • 個人情報を含む書類が適正に処理されない
  • 「積んだ後で高額請求」される(トラック1台◯万円と言われ、降ろすなら別料金と言われる)

「無料回収」を掲げる業者には、とくに注意してください。処分には必ず費用がかかります。無料で成り立つなら、その先で何かが起きています。


運び出しの作業

悪質業者の手口

悪質業者の手口

実際に多い手口を挙げます。どれも「契約前」に見抜けます。

手口 見抜き方
現地を見ずに安い金額を提示 必ず現地見積もりを求める
「今日契約なら半額」と急かす その場で契約しない
見積書を出さない/内訳がない 書面と内訳を必ずもらう
積み込んでから追加請求 「追加料金は発生しますか」を書面で確認
「無料回収」でトラックに載せた後で請求 無料をうたう業者は使わない
許可番号を聞くと話をそらす 答えられない時点で終了
会社の所在地が不明・電話が携帯のみ 登記や固定電話を確認

見積もりで必ず聞く6つ

  1. 一般廃棄物収集運搬業の許可番号を教えてください
  2. この見積もりに、追加料金が発生する条件はありますか
  3. 貴重品や重要書類が出てきたら、どうなりますか
  4. 処分場までの流れを教えてください
  5. 作業当日は何人・何日ですか
  6. キャンセルする場合の条件は

6つとも即答できる業者なら、まず安心です。言い淀む項目があれば、そこが後で問題になります。


見積書の読み方

片付けの見積書で確認する項目

見積書を受け取ったら、次の項目が分かれて書かれているかを確認します。

項目 書かれているべき内容
作業人数・作業日数 「4名×2日」と明記されているか
車両 台数と車種(2t・4t)
処分費 立方メートル単価か、一式か
家電リサイクル料金 4品目は別建てが正しい
オプション 消臭・害虫駆除・ハウスクリーニングの内訳
搬出条件 階段作業・長距離運搬の加算があるか
追加料金の条件 どんなときに、いくら増えるか
キャンセル料 いつから、いくらか

「一式」が多い見積書は危ない

「作業一式 45万円」だけの見積書は、比較ができません。

そして追加請求の余地が広いです。「一式に含まれていない」と言われたときに、反論する材料がありません。

まともな業者は、内訳を出すことを嫌がりません。「内訳をください」と伝えて渋られたら、その時点で候補から外して構いません。

相見積もりで比べるときのコツ

金額だけを横に並べても、条件が違えば比較になりません。

比べる軸 見るところ
総額 ただし条件が同じ場合に限る
作業人日 4人×2日=8人日。ここが極端に少ない見積もりは、当日に増える
処分費の単価 立方メートル単価で比べる
含まれていないもの 家電・エアコン取り外し・エアコン以外の設備
担当者の説明 質問に即答できるか

「A社が一番安い」ではなく、「A社の見積もりは作業人日が半分だから安い」と読めるようになると、当日の追加請求を避けられます。

みどりみどり
金額だけ見て決めるところでした。
たくみ先生たくみ先生
いちばん多い失敗です。安い見積もりは、たいてい人日か処分量を少なく見ています。当日に「思ったより多かった」と言われて、結局いちばん高くなる。人日と処分量の前提を揃えてから比べてください。

家電4品目は別扱い

家電リサイクル法の対象4品目

家電リサイクル法の対象となる4品目は、ほかのごみと同じには捨てられません。

対象品目 リサイクル料金の目安
エアコン 900〜2,000円程度
テレビ(ブラウン管・液晶・プラズマ) 1,300〜3,700円程度
冷蔵庫・冷凍庫 3,700〜6,000円程度
洗濯機・衣類乾燥機 2,300〜3,300円程度

※メーカーとサイズにより異なります

これに収集運搬料金(1台1,000〜3,000円程度)が加わります。

環境省は、料金を支払うと「家電リサイクル券」が発行され、その番号で自分の廃家電がメーカーに引き渡されたか確認できると案内しています。

片付け業者に頼む場合も、この費用は別建てで請求されるのが正しい形です。「全部込みで◯万円」とだけ書かれた見積書は、内訳を出してもらってください。

パソコンも別

パソコンは家電リサイクル法ではなく、資源有効利用促進法によりメーカーが回収します。PCリサイクルマークがあれば無料です。

データの消去は自分で行ってください。業者に任せる場合は、消去証明書が出るか確認します。


自分でやるか任せるかは、業者の見積額と比べてから決めてください。

自分で片付ける場合の費用

自分で片付ける場合の費用

業者に頼まず、自治体のルールで処分する場合です。

費目 費用の目安
可燃・不燃ごみ 指定袋代のみ(1枚10〜80円)
粗大ごみ 1点200〜2,000円程度
清掃工場への直接搬入 10kgあたり100〜300円程度
軽トラックのレンタル 1日5,000〜8,000円
段ボール・ゴミ袋・軍手・マスク 5,000〜1万円
家電4品目 リサイクル料金+運搬料

3LDKを自力で片付けた場合、実費は5万〜15万円程度に収まることが多いです。業者の3分の1以下です。

ただし、現実的かどうかは別

制約 内容
時間 3LDKなら、2人で毎週末に取り組んで2〜3か月
体力 重量物の運搬。腰を痛める事故が多い
回収日 粗大ごみは週1〜月1。一度に大量は出せない
近隣の目 大量のごみを出し続けることになる
害虫・カビ 防護具なしでの作業は健康リスクがある

レベル3以上(床が見えない)なら、自力は現実的ではありません。

現実的な折衷案は、「分別と貴重品の捜索だけ自分でやり、運び出しは業者に頼む」です。処分量が減れば費用も下がります。


費用を抑える5つの方法

片付け費用を抑える方法

1|複数社から相見積もりを取る

同じ現場で、業者によって2倍の差が出ます。最低3社です。

一括見積もりサービスを使うと、一度の入力で複数社に依頼できます。現地調査の日程も、まとめて調整してもらえます。

2|自分で出せるものは先に出す

可燃ごみ、ペットボトル、古紙。自治体のルールで出せるものを減らしておくと、処分費と作業時間が減ります。

3|買取と組み合わせる

買取もできる業者に依頼すると、その分が相殺されます。ただし買取価格は事前に確定しないので、あてにしすぎないでください。

4|繁忙期を避ける

3月・4月(引っ越しシーズン)、年末は料金が上がります。5〜7月、9〜11月が狙い目です。

5|作業を分割しない

「まず1階だけ」と分けると、車両費と人件費が二重にかかります。一度で終わらせるほうが安く済みます。

みどりみどり
一括見積もりは、しつこく電話がかかってくるイメージがあります。
たくみ先生たくみ先生
サービスによります。申し込み時に「連絡は◯時以降で」「メール希望」と書ける欄があるものを選んでください。現地調査は結局どこかで必要になるので、日程調整を代行してくれる分、楽になります。

回収と整理、両方から取る

料金の出し方が違うので、安いほうに寄せられます。同じ条件で出してもらってください。

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一括見積もりサービスの使い方

一括見積もりの仕組みと使い方

3社に個別に連絡するのは、思った以上に手間です。1社ずつ電話し、住所と状況を説明し、日程を調整する。これを3回繰り返します。

一括見積もりサービスは、その最初の1往復をまとめてくれる仕組みです。

個別に依頼 一括見積もり
入力・説明 3社に3回 1回
日程調整 自分で3回 代行してくれることが多い
業者の選定 自分で探す 登録業者から紹介
費用 無料 無料(業者が手数料を払う)

使うときの注意

1|許可の確認は自分でやる

サービスに登録されている=一般廃棄物の許可がある、とは限りません。紹介された業者についても、許可番号は自分で確認してください。

2|連絡方法を指定する

「メール希望」「連絡は18時以降」と書ける欄があるサービスを選ぶと、電話の集中を避けられます。

3|現地調査は必ず入れる

一括見積もりで出てくるのは概算です。正式な金額は現地調査の後になります。概算だけで契約しないでください。

4|断るときは早めに伝える

複数社から連絡が来ます。決めたら、他社にはすぐ断りの連絡を入れる。放置すると追いかけの電話が続きます。

使わないほうがよい場合

  • すでに信頼できる業者を知っている
  • 近隣に知られたくない事情があり、業者を厳選したい
  • 特殊清掃が主で、専門性の高い業者を指名したい

「まず相場を知りたい」段階では有効です。業者が決まっているなら、直接依頼したほうが早く進みます。


依頼から作業完了までの流れ

片付けの依頼から完了までの流れ

実際に頼むと、どう進むのかを示します。

ステップ やること 期間の目安
1 業者を3社選ぶ(許可を確認してから) 1〜3日
2 現地見積もりを依頼 依頼から3日〜1週間
3 現地調査に立ち会う 1社30分〜1時間
4 見積書を比較し、質問する 2〜5日
5 契約し、作業日を決める 作業日は1〜3週間先
6 貴重品の捜索リストを渡す 契約時
7 作業当日(立ち会う) 半日〜4日
8 仕上がりを確認し、支払う 当日

依頼してから作業完了まで、2週間〜1か月半を見ておいてください。

現地調査に必ず立ち会う

写真や電話だけで見積もりを出す業者は避けてください。そして、現地調査には自分が立ち会います。

立ち会って伝えること。

  • 探してほしいもの(通帳・印鑑・保険証券・写真・貴金属)
  • 絶対に捨ててはいけないもの(仏壇・位牌・遺影・アルバム)
  • 近隣への配慮が必要な事情(作業時間、駐車、挨拶)
  • 鍵の受け渡し方法

「お任せします」は、後悔の元です。

作業当日に立ち会えないとき

遠方でどうしても行けない場合は、次の条件を満たす業者を選んでください。

条件 理由
作業前・作業中・作業後の写真を送ってくれる 何が処分されたか確認できる
貴重品を見つけたら都度連絡してくれる 判断を委ねない
処分品の一覧を出してくれる 後から「あれがない」を防ぐ
鍵の管理方法が明確 預けっぱなしにしない

少なくとも初日は立ち会うのが理想です。最初の数時間で、その業者の仕事ぶりが分かります。


分別の実務|何を残すか

残すもの・捨てるものの判断

作業が始まると、判断を求められる場面が連続します。先に決めておくと、当日が楽になります。

絶対に捨てないもの

分類 具体例
金銭・権利 現金、通帳、印鑑、キャッシュカード、有価証券
契約書類 保険証券、年金手帳、不動産の権利証、賃貸借契約書
身分証明 マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証、パスポート
税務 確定申告書の控え、固定資産税の納税通知書
供養に関するもの 仏壇、位牌、遺影、過去帳、遺骨
記録 アルバム、手紙、日記

紙類の中に通帳や権利証が紛れているのが、この手の現場の常です。「紙は全部捨てる」という指示は出さないでください。

迷ったら残す箱を作る

現場では、「これは要る?要らない?」を何百回も聞かれます。

そこで、「保留」の箱を用意します。判断に迷ったものは全部そこへ入れ、後日ゆっくり見る。これだけで作業速度が上がります。

買取に回せるもの

品目 注意点
製造5年以内の家電 動作確認できるもの
貴金属・宝石 壊れていても値がつく
ブランド品・時計 箱や保証書があると高い
骨董品・美術品 素人判断で捨てない
古銭・切手 額面以上のことがある
着物 証紙があると評価される

「古いから価値がない」とは限りません。とくに骨董と古銭は、判断を専門家に回してください。


近隣や行政とトラブルになっているとき

ごみ屋敷条例と行政の対応

すでに近隣から苦情が出ている、行政から連絡が来ているという段階なら、対応の順番が変わります。

ごみ屋敷条例

全国の多くの自治体が、いわゆる「ごみ屋敷条例」を制定しています。名称は「不良な生活環境の解消及び発生の防止に関する条例」などさまざまです。

多くの条例が、次の順で進む仕組みになっています。

段階 内容
1. 実態調査 職員が状況を確認
2. 助言・指導 改善を求める
3. 勧告 期限を切って改善を求める
4. 命令 従わない場合、氏名の公表をする自治体もある
5. 行政代執行 自治体が撤去し、費用を本人に請求

行政代執行になると、費用は全額本人の負担です。しかも業者選定に自分の意向は入りません。

勧告の段階までに自分で片付けたほうが、費用も内容も自分でコントロールできます。

敷地外にごみがあふれている場合

建物の外にごみが出ているなら、空家等対策特別措置法の「管理不全空家等」や「特定空家等」に指定されるリスクもあります。

指定されて勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が外れ、税額が最大6倍になります。

詳しくは実家を空き家のまま放置する6つのリスクにまとめています。

相談先

状況 相談先
親の生活能力に不安がある 地域包括支援センター
認知症の疑いがある 地域包括支援センター、かかりつけ医
近隣から苦情が出ている 市区町村の環境課・生活衛生課
行政から通知が来た 通知を出した部署に、まず連絡する
業者とトラブルになった 消費生活センター(局番なし188)

行政からの通知を無視するのが、いちばん状況を悪くします。「片付ける意思がある」と伝えるだけでも、進み方が変わります。

みどりみどり
市役所から手紙が来ていたようです。母は開けていませんでした。
たくみ先生たくみ先生
すぐに市役所へ電話してください。担当者は「片付けさせたい」のであって、罰したいわけではありません。家族が動き出したと分かれば、待ってもらえることがほとんどです。放置すると、勧告や代執行へ進みます。

片付けが終わった室内

特殊清掃が必要になるケース

通常の片付けと別料金になるのは、次の場合です。

状況 追加費用の目安
排泄物・体液がある 10万〜50万円
害虫が大量発生 3万〜15万円
臭いが壁・床に染みている 5万〜30万円
床材の撤去が必要 10万〜40万円

片付け業者と特殊清掃業者は、別の技能です。「特殊清掃も対応」と書いてあっても、実績を確認してください。

孤独死があった場合の費用は孤独死の特殊清掃費用はいくら?にまとめています。


片付けた後に売る場合もあります。まず回収と整理の見積もりで総額を確かめてください。

片付けたあと、どうするか

片付け後の選択肢

片付けは目的ではなく、次の判断のための前提です。

その後の選択肢 片付けとの関係
売る 室内が見えないと査定できない。片付けが必須
解体して売る 解体費に残置物処分費が含まれるか要確認
賃貸に出す 原状回復のリフォームが必要
親が住み続ける 再びゴミ屋敷化しない仕組みが要る

解体するなら、順番に注意

解体業者は、家財が入ったままでも解体できます。ただし残置物の処分費は「一般廃棄物」として別料金になり、割高になることが多いです。

先に片付けてから解体するほうが、総額では安くなるケースが多くあります。両方の見積もりを取って比べてください。

解体費用の相場は実家の解体費用はいくら?に、売却の判断は相続した実家におすすめの不動産一括査定サービス比較にまとめています。

親が住み続ける場合

片付けただけでは、また戻ります。

  • 定期的に人が入る仕組みを作る(介護サービス、見守り、家事支援)
  • ごみ出しを代行してもらう(自治体のふれあい収集など)
  • 地域包括支援センターに相談する

本人を責めても解決しません。背景に認知症、うつ、セルフネグレクトがあることが少なくありません。


実家がゴミ屋敷になる理由

ゴミ屋敷化の背景

責める前に、何が起きていたのかを知っておいてください。

背景 何が起きているか
身体機能の低下 ごみ袋を持って階段を下りられない
認知機能の低下 分別ルールが分からなくなる。収集日を忘れる
配偶者との死別 生活の張りを失い、片付ける動機がなくなる
セルフネグレクト 自分の生活に関心を持てなくなる
物を捨てられない価値観 戦中戦後を知る世代に多い
孤立 訪ねてくる人がいないので、片付ける必要がない

「だらしないから」ではありません。多くは高齢化と孤立の結果です。

そして、親自身が「困っている」と言えないことが問題を長引かせます。恥ずかしさが先に立つからです。

みどりみどり
母を責めるようなことを言ってしまいました。
たくみ先生たくみ先生
誰でも最初はそうなります。ただ、「なぜこうなったのか」を先に理解すると、話し方が変わります。「片付けよう」ではなく「一緒に片付けを頼もう」。主語を変えるだけで、拒否されにくくなります。

よくある質問

Q. 親が片付けを拒否しています

本人の同意なしに家財を処分すると、後でトラブルになります。まずは「一部屋だけ」「使っていない部屋から」と範囲を区切って提案してください。全部を一度に、は通りません。

Q. 見積もりは無料ですか

多くの業者が現地見積もりを無料で行っています。ただし遠方の場合は出張費がかかることがあるので、依頼時に確認してください。

Q. 当日、追加料金を請求されました

見積書に「追加料金の条件」が書かれていなければ、支払う義務があるかは争えます。その場で支払わず、消費生活センター(局番なし188)に相談してください。

Q. 賃貸物件でもゴミ屋敷の片付けを頼めますか

頼めます。ただし原状回復の範囲は貸主との契約次第です。床や壁の損傷があると、片付け費用とは別に修繕費を請求されます。

Q. 遺品整理とゴミ屋敷の片付けは違いますか

作業は似ていますが、目的が違います。遺品整理は「残すものを選ぶ」作業を含み、仕分けに時間をかけます。ゴミ屋敷の片付けは「運び出す」ことが中心です。どちらの比重が大きいかを業者に伝えてください。

Q. 相続した実家がゴミ屋敷です。相続放棄したほうがいいですか

片付け費用と、他の相続財産の額を比べて判断します。片付けに60万円かかっても、預金が500万円あるなら相続したほうが手元に残ります。ただし相続放棄を検討中なら、家財に手をつけてはいけません(民法921条の法定単純承認)。判断はいらない実家は相続放棄できる?にまとめています。

Q. 作業中に近所から苦情が来ないか心配です

事前の挨拶で、ほとんど防げます。業者が代行してくれることも多いので、「近隣挨拶はしてもらえますか」と聞いてください。作業日・時間帯・トラックの駐車位置を伝えておけば、苦情はまず出ません。

Q. 火災保険や補助金は使えますか

通常の片付けには使えません。ただし自治体によっては、高齢者世帯向けのごみ出し支援や、ごみ屋敷対策の相談窓口があります。まず地域包括支援センターに相談してください。


まとめ

ゴミ屋敷の片付けまとめ

費用の決まり方

  • 「ゴミの量」ではなく「人手と日数」で決まる
  • 処分費は全体の3〜4割にすぎない
  • 搬出経路の悪さ、貴重品の捜索が、金額を大きく動かす

相場

  • 1R・1K 3万〜12万円/2LDK・3DK 15万〜45万円/一戸建て 30万〜120万円
  • 床が完全に見えないレベル4以上は、相場の1.5〜2倍
  • 自分でやれば5万〜15万円。ただし3LDKで2〜3か月かかる

業者選びで最優先すること

  • その市区町村の「一般廃棄物収集運搬業」の許可があるか(廃棄物処理法7条1項)
  • 産業廃棄物の許可、古物商の許可では家庭ごみを回収できない(環境省)
  • 自治体サイトの許可業者一覧で確認するのが最も確実
  • 無許可営業は5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(同法25条1項1号)
  • 「無料回収」を掲げる業者は使わない

費用を抑える

  1. 3社以上から相見積もり
  2. 自分で出せるものは先に出す
  3. 買取と組み合わせる
  4. 3〜4月と年末を避ける
  5. 作業を分割しない

片付けは、売却・解体・賃貸のすべての前提になります。室内が見えなければ、査定も設計もできません。

そして、親が住み続けるなら、片付けただけでは戻ります。背景にある孤立や身体機能の低下に手を打たないと、同じことが繰り返されます。

実家じまい全体の進め方は実家じまいの進め方に、空き家のまま放置するリスクは実家を空き家のまま放置する6つのリスクにまとめています。

量が多いときは、回収と整理を分けて見積もる

本文のとおり、不用品回収と遺品整理では料金の出し方が違います。 両方から見積もりを取って、安いほうに寄せるのが確実です。

本欄はプロモーションを含みます。掲載内容・条件は各サービスの公式サイトで最新のものをご確認ください。


この記事について

執筆:葉山 湊(はやま みなと)

自身の家族の実家じまいを経験し、そのときに「どこにも書かれていなかったこと」を出発点にこのサイトを立ち上げました。司法書士・税理士などの資格は保有していません。制度や法令については、必ず一次情報(法務省・国税庁・国土交通省・各自治体)にあたって記事に反映しています。

本記事の主な出典は次のとおりです。

・一般廃棄物処理業の許可・罰則:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第7条第1項・第25条第1項第1号

・無許可の回収業者に関する注意喚起:環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」

・家電リサイクル法の対象品目とリサイクル券:同上

費用は業者・地域・現場の状況により大きく異なります。本記事の内容は2026年9月5日時点の情報にもとづきます。 実際の依頼前には、必ず複数社の現地見積もりを取り、許可の有無を市区町村にご確認ください。

この記事を書いた人
葉山 湊実家じまいガイド運営者

企業の財務・事業の調査(デューデリジェンス)や資産の評価を本業としています。費用は内訳と前提条件に分けて示し、制度や税金は法令と国税庁・法務省・国土交通省・各自治体などの一次情報で確かめて、出典と情報の時点を記事に明記しています。

税理士・司法書士・宅地建物取引士などの資格は保有していません。個別の税務・法律の判断は、専門家にご確認ください。

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