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実家が売れない|半年売れないときに見直す価格・業者・売り方

売れないまま半年が過ぎた実家の外観 実家の売却・活用
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売り出してから、半年。

内覧は数えるほど。値下げの話は担当者から出てこない。「田舎だから」「築古だから」と言われて、なんとなく納得したまま時間だけが過ぎている——。

この状態は、放っておいて好転することはありません。

理由は単純で、売れない物件は「売れない理由」を持ったまま市場に出続けているだけだからです。時間が経つほど、購入検討者からは「長く売れ残っている物件」として見られ、さらに動かなくなります。

この記事では、半年売れなかった実家を、どの順番で立て直すかを書きます。

順番は決まっています。①原因の切り分け → ②価格 → ③業者と媒介契約 → ④売り方そのものです。いきなり値下げから入るのは、いちばん損をするやり方です。

みどりみどり
父の実家を売りに出して半年になります。内覧が2件だけで、あとは何も動きません。不動産会社からは「もう少し様子を見ましょう」と言われるだけで。
たくみ先生たくみ先生
「様子を見ましょう」は、原因を特定していないという意味です。まず、問い合わせが来ていないのか、内覧までは来ているのかを確認してください。そこで原因がまったく変わります。

売り出しから半年が経過した実家
  1. 結論|売れない理由は3つしかない
  2. まず数字で原因を切り分ける
  3. 売り出しから30日・90日・180日で見るところ
  4. 価格の見直し|下げ幅と回数を先に決める
    1. 売れるまでの平均と、価格の差
    2. 値下げは、専任媒介の満了に合わせる
    3. 待つ損を、値下げと同じ単位で比べる
    4. 値下げは、売主の通知で決まる
  5. 「値下げしましょう」と言われたときの返し方
  6. その価格は誰が決めたのか
  7. 販売図面(マイソク)を自分で読む
  8. 媒介契約を確認する|「囲い込み」を疑う
  9. 囲い込みを確かめる3つの方法
    1. 取引状況の3つの表示を読む
    2. 報告の中身から気づくサイン
    3. 見つけたら、順番に動く
  10. ポータルサイトにどう出ているかを確認する
  11. 業者を替えるときの手順
  12. 見せ方を直す|写真・残置物・においで決まる
  13. 相続人が複数いると、それだけで止まる
  14. 仲介で無理なら、買取に切り替える
  15. 買取を取るときの注意点
  16. 名義・境界・告知|契約前に潰しておく3点
  17. 田舎・築古の実家は本当に売れないのか
  18. リフォームすべきか、そのまま売るか
  19. 解体して更地にすべきか
  20. ケース別|3つの立て直し
  21. 3,000万円特別控除の期限から逆算する
  22. 売れないなら貸す、という選択肢
  23. それでも売れないときの出口
  24. 売れたときにかかる費用と、手取りの計算
  25. 売れない期間に発生し続けるコスト
  26. 売り出す時期に意味はあるか
  27. よくある失敗5つ
  28. よくある質問
  29. まとめ|順番を守れば、たいていは動く

結論|売れない理由は3つしかない

長く売れない物件の原因は、次の3つのどれか(または複数)に必ず入ります。

売れない理由は3つに分類できる

1. 価格が市場とずれている

いちばん多い原因です。査定額をそのまま売り出し価格にした、相続人の希望額で出した、固定資産税評価額や購入時の価格を基準にした——いずれも、いま買う人がいくら出すかとは無関係です。

2. 情報が届いていない

レインズに登録されていない、写真が3枚しかない、間取り図がない、囲い込みで他社に紹介されていない。物件は悪くないのに、検討者の目に触れていない状態です。

3. 売り方が物件に合っていない

仲介では動かない物件を、仲介で出し続けている場合です。再建築不可、山林隣接、極端な狭小地、残置物が大量にある——買取や、特定の買主に直接当てる売り方でなければ動きません。

この3つは、確認する順番が決まっています。 価格をいじる前に、まず「そもそも情報が届いているか」を確かめてください。届いていない物件を値下げしても、誰も気づきません。


まず数字で原因を切り分ける

感覚ではなく、3つの数字で切り分けます。不動産会社に聞けば必ず出てきます。

反響数・内覧数・申込数で原因を切り分ける
数字 意味 判定
ポータルサイトの閲覧数 何人が一覧で見たか 少なければ「情報が届いていない」
問い合わせ(反響)数 何人が連絡してきたか 閲覧はあるのに反響が無い=写真か価格
内覧数 何人が実際に来たか 反響はあるのに来ない=価格か立地
買付(申込)数 何人が買うと言ったか 内覧は来るのに申込が無い=物件の状態か価格

判定のしかた

  • 閲覧が月100回未満:情報が届いていません。掲載媒体・写真・レインズ登録を疑ってください
  • 閲覧はあるが反響ゼロが2か月:価格か写真です。同条件の他物件と並べて見比べてください
  • 内覧は月1〜2件あるが申込ゼロ:内覧時に何かが起きています。残置物、におい、雨漏り跡、近隣の状況など
  • 内覧すらゼロが3か月:価格が市場から外れています。

数字を出してもらえない、「わかりません」と言われる場合、それ自体が業者を替える理由になります。

内覧数と申込数の推移を見て判断する

売れない原因を切り分ける前に、いまの相場を知る

半年前の査定額は、もう基準になりません。 別の会社に出し直すと、いま市場がその物件をいくらと見ているかが分かります。

複数社に無料査定を出し直す

プロモーションを含みます。


売り出しから30日・90日・180日で見るところ

売却は、見るべき期間が決まっています。 漫然と待つのではなく、区切りごとに判断してください。

30日・90日・180日で見る指標

最初の30日|露出の量を見る

売り出し直後は、いちばん反響が集まる時期です。ポータルサイトの新着枠に載り、その地域で家を探している人が一巡します。

ここで反響がゼロなら、価格か、掲載内容のどちらかが明確におかしいと判断できます。「まだ1か月だから」ではありません。1か月は、いちばん条件の良い1か月です。

60〜90日|媒介契約の満了と重なる

専任・専属専任の契約は最長3か月です。90日は、続けるか替えるかを決める最初の分岐点になります。

  • 内覧が3件以上あるのに買付ゼロ:物件の見せ方を直す
  • 内覧が1件以下:価格を見直す
  • 反響そのものが無い:掲載内容とレインズ登録を疑う

91〜180日|「売れ残り」に見え始める

ポータルサイトの掲載開始日は、検討者にも見えます。 半年を超えたあたりから、「何か問題がある物件では」という目で見られ始めます。

この段階では、値下げの効きも鈍ります。 下げても「まだ下がる」と思われるためです。180日を超える前に、一度大きく動かすのが定石です。

180日以降|売り方そのものを変える

仲介を続けても、同じ買い手層を回り続けるだけです。買取、隣地への打診、空き家バンク、用途を変えた売り方など、母集団を変える打ち手に切り替えてください。

売り出しから引き渡しまでの期間の目安は、実家の売却にかかる期間で詳しく説明しています。


価格の見直し|下げ幅と回数を先に決める

価格が原因だと分かったら、値下げは「設計」してから行います。

値下げは幅と回数を先に設計する

やってはいけないのは、小刻みな値下げ

50万円ずつ、月に一度下げる——これが最悪です。理由は2つあります。

  1. 「まだ下がる」と思われ、買い手が待つ
  2. 掲載サイトの更新履歴に値下げが並び、「売れ残り」の印象が固定される

下げ幅の目安

  • 1回目の見直しは、5〜10%。3,000万円なら150万〜300万円
  • 2回目以降を予定しないつもりで、一度で市場に届く価格まで下げる
  • 検索の価格帯の区切りをまたぐことを意識する(例:2,050万円→1,980万円。「2,000万円以下」で検索する層に入る)

「区切り」は実際に効く

ポータルサイトの検索は、上限価格を100万円単位・500万円単位で指定します。 2,050万円の物件は、「2,000万円以下」で絞った人には一切表示されません。 50万円の差で、見てもらえる母数が変わります。

価格帯の区切りをまたぐと表示される母数が変わる

下げる前に確認すること

残債があるなら、下げられる下限が決まります。 住宅ローンが残っている実家は、売却代金でローンを完済できないと抵当権を外せません。 下限を先に計算してください。

売れるまでの平均と、価格の差

東日本レインズの統計では、首都圏の中古戸建がレインズに登録されてから成約するまでの日数は、2025年で平均100.9日でした。おおよそ3か月と10日です。同じ年の中古マンションは82.5日で、戸建てのほうが3週間ほど長くかかります。

首都圏の中古戸建(2025年)新規に売り出された物件成約した物件
件数 77,395件 21,632件
平均価格 4,430万円 3,917万円

成約した物件の平均価格は、売り出された物件の平均より約12%低い水準です。別々の物件の平均なので「1軒あたり12%下げた」という意味ではありませんが、売り出した価格のままでは成約しにくいことがうかがえます。最初から下げて出す必要はありません。最初の1か月の反響の数が、価格が合っているかを教えてくれます。

値下げは、専任媒介の満了に合わせる

専任媒介の有効期間は3か月が上限で、平均的に売れる時期と重なります。値下げを考える時期は、次のように置くと判断がぶれません。

時期見ること判断
売り出す前 残債、維持費、特例の期限 下げられる下限と、値下げの計画を決める
2週間 最初の報告。問い合わせの数 ゼロなら価格か情報の出し方を疑う
1か月 内覧の数と、断られた理由 内覧がないなら価格、決まらないなら見せ方
2か月半 報告の積み上げ 満了で値下げするか、会社を替えるかを決める
3か月(満了) — 決めたことを実行する

値下げをしてから会社を替えると、新しい会社は下がった価格から始めることになります。値下げと会社替えは、満了の時点で一緒に判断してください。

待つ損を、値下げと同じ単位で比べる

空き家の実家は、持っているだけでお金が出ていきます。固定資産税10万円、火災保険3万円、電気・水道の基本料金2.4万円、草刈りや見回りの交通費8万円なら、年23.4万円、月約2万円です。

「あと半年待つ」は、12万円下げるのと同じだけお金が減る選択です。100万円の値下げで半年早く売れるなら、実質の負担は88万円です。相続空き家の3,000万円特別控除の期限が近いなら、待つ損はさらに大きくなります。

値下げは、売主の通知で決まる

国土交通省の標準媒介契約約款(標準専任媒介契約約款第5条)では、売り出し価格の変更は売主が会社に通知して決まります。値下げに会社の承諾は要りません。逆に、会社が値下げを勧めても、売主が通知しない限り価格は変わりません。通知はメールなど記録が残る形でします。値下げしたあとは、レインズの売主専用画面とポータルサイトで、新しい価格に変わったかを確かめてください。

相続人が複数いるなら、値下げも全員の同意が要ります。「誰が会社とやり取りするか」「いくらまでなら窓口の判断で下げてよいか」「いつ見直すか」を売り出す前に決め、委任状を1枚作っておくと、満了のたびに意見が割れて3か月が過ぎる事態を防げます。

ローンが残る実家を売る方法と、競売との違いは住宅ローンが残る実家の任意売却で扱っています。


「値下げしましょう」と言われたときの返し方

半年たつと、担当者から値下げの提案が出てきます。そのまま受けるかどうかは、根拠を聞いてから決めてください。

値下げ提案を受けたときの確認事項

聞くべきこと

  1. 「この3か月で、問い合わせは何件でしたか」
  2. 「そのうち内覧は何件で、断られた理由は何でしたか」
  3. 「近隣で成約した同条件の物件は、いくらでしたか」
  4. 「いくらまで下げれば売れると考えていますか。その根拠は」

4つとも答えられる担当者なら、その値下げ提案は信用できます。

答えられない場合に起きていること

  • 買い手の反応を集めていない(そもそも紹介していない可能性)
  • 「安くすれば売れる」以外の打ち手を持っていない
  • 早く手数料を確定させたい

「あと100万円下げれば買いたい人がいます」と言われたら

その買い手を先に見せてもらってください。 実在するなら、買付証明書(購入申込書)を出してもらうのが筋です。口頭の「いるらしい」で下げる必要はありません。

値下げに応じる条件を、こちらから提示する

「下げます。ただし次の3つを同時にやってください」と返す方法があります。

  • 販売図面の写真を撮り直す
  • 掲載するポータルサイトを増やす
  • レインズの取引状況を「公開中」にして、証明書を送る

値下げは売主だけが負担する打ち手です。業者側にも同時に動いてもらってください。


その価格は誰が決めたのか

半年前の査定額をそのまま使っているなら、それは「売り出し価格」であって「売れる価格」ではありません。

査定額・売り出し価格・成約価格は別物

一括査定などで複数社に出すと、会社によって数百万円の幅が出ます。 これは、媒介契約を取るために高めの数字を出す会社があるためです。

高い査定額を出した会社に任せた結果、半年動かない——これは典型的な流れです。

いまの市場価格を知る方法

  1. 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、周辺の実際の成約価格を見る
  2. レインズマーケットインフォメーションで、同じ沿線・同じ築年数の成約事例を見る
  3. 複数社に査定を出し直す(半年前とは違う数字が出ます)

自分の実家の周辺で実際にいくらで成約しているかは、公表データで確認できます。広告に出ている「売り出し価格」ではなく、「成約価格」を見てください。 両者には差があります。

その土地に値がつくかどうかは、複数社の無料査定を取り直せば分かります。


販売図面(マイソク)を自分で読む

自分の物件の販売図面を見たことがない売主は、意外と多いです。買い手が最初に見る1枚なので、必ず取り寄せてください。

販売図面で確認する項目

確認する項目

項目 見るところ
価格 検索の価格帯の区切りをまたいでいないか
写真 外観が暗くないか。室内が入っているか
間取り図 載っているか。方位が入っているか
土地・建物面積 実測か公簿か。差があるなら明記されているか
接道 幅員と方位。2m未満なら再建築不可の可能性
設備 上下水道・都市ガス・プロパンの別
備考欄 「現況渡し」「古家付土地」などの表記

「古家付土地」と書かれている場合

建物に価値を認めていないという意味です。買い手は解体費を差し引いた金額で考えます。建物がまだ使えるなら、その旨を書き足してもらってください。

備考欄が空欄なのは損

  • リフォーム歴(いつ、どこを、いくらで)
  • 給湯器・屋根・外壁の交換時期
  • 境界確定の有無
  • 近隣の学校・スーパーまでの距離

これらは、書けば書くほど問い合わせの質が上がります。 逆に、情報が少ない図面は「何か隠しているのでは」と受け取られます。

写真は自分で撮って渡してもよい

不動産会社が撮った写真が暗い場合、晴天の午前に自分で撮り直して渡すことができます。広角で、床が広く見える高さから撮るのが基本です。


媒介契約を確認する|「囲い込み」を疑う

価格でなければ、次は情報が届いているかです。

3種類の媒介契約の違い
種類 他社への依頼 レインズ登録 報告義務
専属専任媒介 不可 5日以内 1週間に1回以上
専任媒介 不可 7日以内 2週間に1回以上
一般媒介 可 義務なし 義務なし

(宅地建物取引業法 第34条の2)

契約期間は3か月が上限です

専任・専属専任の有効期間は3か月を超えられません(同条第3項)。半年たっているなら、すでに1回は更新されているはずです。更新のときに何も説明がなかったなら、それ自体が問題です。

囲い込みとは何か

自社で買主も見つけて、売主・買主の両方から手数料を取りたい(両手取引)ために、他社からの問い合わせを断る行為です。「商談中です」「内覧の予定が入っています」と言って紹介させません。

売主から見ると、内覧が来ないだけで、理由は分かりません。

2025年1月から、囲い込みは明確に処分対象になりました

2025年1月1日から、レインズへの「取引状況」の登録が不動産会社の義務になりました。あわせて国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に、取引状況の登録内容が事実と異なる場合は宅地建物取引業法第65条第1項の指示処分の対象になることが明記されています。

囲い込みの構造と見抜き方

専属専任・専任・一般の違いと選び方については、媒介契約の3種類の違いにまとめています。


囲い込みを確かめる3つの方法

囲い込みを確かめる3つの手順

1. レインズ登録証明書を見せてもらう

専任・専属専任で契約したら、レインズに登録した証明書を売主に交付する義務があります(宅建業法34条の2第6項)。手元にないなら、まずこれを請求してください。

証明書には物件番号とパスワードが書かれています。売主自身がレインズにログインして、自分の物件の登録内容と「取引状況」を確認できます。

2. 取引状況を自分で見る

ログインして、「公開中」になっているかを確認します。「書面による購入申込あり」「一時紹介停止中」になっていて、心当たりがないなら囲い込みを疑う根拠になります。

3. 知人に問い合わせてもらう

別の不動産会社の知人に、客として物件確認の電話を入れてもらう方法もあります。「紹介できない」と断られるようなら、確定に近いです。

確認したうえで、どう動くか

  • 証明書を出さない・取引状況の説明を拒む→ 更新せず契約を終了する
  • 媒介契約は3か月ごとに更新。更新しない旨を伝えれば、期間満了で終わります
  • 専任から一般媒介に切り替えると、複数社が同時に売ってくれます

取引状況の3つの表示を読む

売主専用画面には、取引状況が次の3つのどれかで表示されます。

表示意味ほかの会社から見ると
公開中 買主を探している 問い合わせ・内覧の申込みができる
書面による購入申込みあり 買付証明書などで申込みが入っている 二番手として問い合わせる
売主都合で一時紹介停止中 売主の希望で紹介を止めている 問い合わせができない

問題になるのは3つ目です。国土交通省のリーフレットは、囲い込みの例として、事実に反して「売主都合で一時紹介停止中」と登録し、ほかの会社への紹介を拒むことを挙げています。止めてほしいと言っていないのにこの表示なら、すぐに会社へ問い合わせてください。購入申込みがあれば、会社は売主に遅滞なく報告する義務があります(宅建業法第34条の2第8項)。報告がないのに「申込みあり」になっているなら、どちらかがおかしいということです。

報告の中身から気づくサイン

  • ほかの会社からの問い合わせが、何か月もゼロ
  • 内覧が、その会社の顧客ばかり
  • 「商談中の方がいます」が長く続く
  • 報告が「特に動きなし」の1行だけ
  • 売り出して1か月で値下げを勧められた

1つ当てはまっただけで囲い込みとは決めつけられません。2つ3つ重なったら、確かめに動きます。

見つけたら、順番に動く

  1. 画面と報告を、日付が分かる形で保存する
  2. 会社に、表示の理由を文書かメールで問い合わせる
  3. 数日後にもう一度画面を見て、直ったかを確かめる
  4. 直らない、説明がつかないなら、契約の解除か満了での打ち切りを決める
  5. 必要なら、その会社に免許を出した行政庁の窓口に相談する

標準媒介契約約款では、会社が誠実に業務をしなかったときや、重要なことを故意に告げなかったときは、売主がすぐに解除できると定めています。売主からだけ手数料を受け取る「片手」を約束する会社なら、その約束を媒介契約書に書いてもらってください。口約束は後で確かめようがありません。


ポータルサイトにどう出ているかを確認する

自分の物件を、買い手と同じ画面で見てください。

ポータルサイトでの見え方を自分で確認する

やること

  1. 主要なポータルサイトで、市区町村・価格帯・戸建てで絞って検索する
  2. 自分の物件が出てくるかを確認する
  3. 出てこないなら、掲載されていないか、絞り込み条件から外れている
  4. 同じ検索結果に並ぶ他の物件と、自分の物件を見比べる

「絞り込みから外れる」とはどういうことか

  • 価格が2,050万円で、「2,000万円以下」の検索に入らない
  • 土地面積・建物面積が未入力で、面積で絞る人に表示されない
  • 「駐車場あり」「南向き」などの条件が未登録
  • 築年数が「不明」になっている

入力されていない項目は、「該当しない」として除外されます。 空欄は、無いのと同じ扱いです。

並んでいる他の物件と比べる

同じ価格帯の物件が写真20枚・動画つきで、自分の物件が写真4枚なら、クリックされません。

  • 写真の枚数
  • 1枚目の写真(サムネイル)の明るさ
  • キャッチコピーの有無
  • 「価格変更」「新着」のバッジ

複数のサイトに出ているか

専任媒介なのに1サイトにしか出ていないなら、広告費をかけてもらえていません。 どのサイトに、いつから出しているかを確認してください。


業者を替えるときの手順

媒介契約を切り替える手順

手順

  1. 現在の媒介契約の満了日を確認する(契約書に書かれています)
  2. 満了の1〜2週間前に、更新しない旨を書面かメールで伝える
  3. 満了後、レインズから物件が削除されたことを確認する
  4. 新しい会社と契約する

途中で解約したい場合

専任・専属専任でも、業者に法令違反や義務違反があれば解除できます。 違反がない場合は、かかった実費(広告費など)を請求されることがあります(宅建業法上の標準媒介契約約款)。実務上は、満了を待つのがいちばん揉めません。

次の会社を選ぶときに見るところ

  • その地域の成約実績があるか(「取扱件数」ではなく「成約件数」)
  • 空き家・相続物件の取り扱い経験があるか
  • 売れなかった理由について、自分の仮説を言えるか
  • 一般媒介でも引き受けるか(専任を強く求める会社は、囲い込みの動機を持ちます)

半年動かないなら、まず別の会社の見立てを聞く

同じ会社に「もう少し様子を見ましょう」と言われ続けているなら、別の会社が同じ物件をいくらと見るかを確かめてください。査定は無料で、乗り換えを決めていなくても取れます。

別の会社の査定を無料で取る

プロモーションを含みます。


見せ方を直す|写真・残置物・においで決まる

内覧まで来るのに申し込みが入らないなら、現地で何かが起きています。

内覧で敬遠される要因

掲載写真

  • 枚数が10枚未満なら、それだけで候補から外れます
  • 晴れた日の午前中に撮り直す。曇天の写真は同じ家でも数段古く見えます
  • 間取り図がない物件は、検索の絞り込みから外れることがあります
  • 外観・玄関・水回り3点・各居室・庭・接道は最低限そろえます

残置物

家財が残ったままの内覧は、買い手に「自分が片付ける手間」を計算させます。 その計算額は、実際の処分費より大きく見積もられます。

空にしてから見せるほうが、結果的に高く売れることが多いです。片付け費用は間取りにもよりますが、3LDKで15万〜40万円程度が目安です。

におい・湿気

長く閉め切った家は、入った瞬間に判定されます。 内覧の2時間前に窓を開けるだけでも違います。押し入れ・床下の湿気は、雨漏りを疑わせます。

「見えない不安」を先に消す

  • 雨漏り跡があるなら、原因と修理の有無を書面で用意する
  • 境界が未確定なら、確定測量の見積もりだけでも取っておく
  • 建物の傾きが気になるなら、インスペクション(建物状況調査)を入れる

不安が残る物件は、その不安の分だけ値引き交渉されます。

内覧まで来ているのに決まらないなら、不用品回収の見積もりを取って、空にしてから見せ直すほうが早いことがあります。

空き家のまま内覧に出すときの準備と当日の対応は、空き家の内覧の準備で詳しく説明しています。


相続人が複数いると、それだけで止まる

物件ではなく、人の側で止まっているケースがあります。

相続人が複数いる場合の停滞パターン

共有名義は、全員の同意がないと売れません

不動産の売却は共有者全員の同意が必要です(民法251条)。1人でも反対すれば、契約できません。

  • 「もう少し高く売れるはず」と言う相続人がいる
  • 実家に思い入れがあって決断できない相続人がいる
  • 連絡が取れない相続人がいる

買付が入ってから揉めると、その契約は流れます。 一度流れた物件は、業界内で「揉めている物件」として扱われます。

売り出す前に決めておくこと

  1. 最低売却価格(この金額を下回るなら売らない)
  2. 値下げの判断を誰がするか
  3. 買取に切り替える条件(例:6か月動かなかったら)
  4. 費用(解体・片付け・測量)を誰が立て替えるか
  5. 代金の分け方

これを口約束にせず、書面(遺産分割協議書か覚書)にしておいてください。

代表者を1人決める

不動産会社が全員に個別連絡する状態だと、話が進みません。窓口を1人に決め、他の相続人には代表者から共有する形にします。

それでもまとまらないとき

  • 換価分割:売って現金で分ける。もっとも揉めにくい方法です
  • 代償分割:1人が取得し、他の相続人に金銭を渡す
  • 持分の買い取り:反対している相続人の持分を、他の相続人が買う

共有のまま次の世代に持ち越すと、相続人が倍に増えます。 いま5人なら、次は10人以上になることもあります。


仲介で無理なら、買取に切り替える

仲介と買取の違い
仲介 買取
買主 一般の個人 不動産会社
価格 市場価格 市場の6〜8割
期間 3か月〜1年以上 数日〜1か月
内覧 必要 原則1回
契約不適合責任 売主が負う 免責が一般的
仲介手数料 かかる かからないことが多い

買取が向いているケース

  • 半年以上、仲介で動かない
  • 残置物が大量にある
  • 雨漏り・シロアリなど、告知すべき不具合がある
  • 相続人が複数いて、早く現金化して分けたい
  • 特例の期限が迫っている

「6〜8割」をどう考えるか

3,000万円の物件なら買取は1,800万〜2,400万円。差は大きく見えます。

ただし、仲介であと1年売れ残る場合の実質コストも計算してください。

  • 固定資産税:年10万〜20万円
  • 火災保険・水道光熱の基本料:年3万〜6万円
  • 管理(草刈り・通気):年5万〜15万円、代行なら月5,000円〜1万円
  • 値下げ:たいてい1〜2回、合計で1〜2割

1年待って1割下げて売れるなら、買取と手取りはほとんど変わりません。 待つあいだの手間と不安は、こちらが全部負担します。

買取と仲介、両方の金額を持つ

買取価格を1つ取ってから、仲介を続けるかどうかを決めるのが確実です。買取価格は「下限」として機能します。 これを持っていれば、値下げの判断で迷いません。

1年待つ場合と買取のコスト比較

買取を取るときの注意点

買取は早くて確実ですが、取り方を間違えると安く買われます。

買取査定を取るときの手順

必ず複数社から取る

買取価格は会社によって大きく違います。 再販の出口(リフォームして売る/解体して分譲する/収益物件にする)が違うためです。

同じ物件で、300万円と520万円という差が出ることは珍しくありません。

「1社だけ」を勧められたら疑う

仲介会社が自社グループの買取だけを紹介することがあります。他社の買取価格も取ってよいかを確認してください。断られる理由はありません。

買取保証と即時買取は別物

種類 内容
即時買取 すぐに買い取ってもらう。価格は市場の6〜8割
買取保証 一定期間は仲介で売り、売れなければ約束の価格で買い取る

買取保証は「その期間は仲介で頑張る」約束とセットです。保証価格が安すぎないか、期間中の販売活動が形だけでないかを確認してください。

金額以外に確認すること

  • 契約不適合責任を免責にしてもらえるか(買取なら通常は免責)
  • 残置物をそのまま引き取ってもらえるか(片付け費用が浮きます)
  • 決済までの期間
  • 仲介手数料がかかるか(買主が直接なら不要)

安く見えても、総額では逆転することがある

仲介1,500万円(手数料56万円・片付け30万円・あと8か月の維持費20万円)と、買取1,380万円(手数料なし・片付けなし)を比べると、手取りはほぼ同じになります。表面の金額だけで比べないでください。


名義・境界・告知|契約前に潰しておく3点

買付が入ってから発覚すると、契約が流れる項目です。売り出す前に確認してください。

契約前に潰しておく3つの確認事項

1. 相続登記が終わっているか

被相続人名義のままでは売れません。 所有権移転登記ができないためです。

2024年4月1日から相続登記は義務化され、相続を知った日から3年以内が期限になりました。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です(不動産登記法76条の2、164条)。

登記の費用は、登録免許税が固定資産税評価額の0.4%、司法書士に頼む場合は報酬6万〜10万円程度が目安です。

2. 境界が確定しているか

隣地との境界が不明なままだと、買い手が住宅ローンを組めないことがあります。

  • 確定測量(隣地立会いのうえ境界確定):35万〜80万円程度、2〜3か月
  • 現況測量のみ:10万〜20万円程度
  • 隣地所有者が不明・非協力の場合は、筆界特定制度(法務局)を使う

買い手が「測量してから引き渡してほしい」と言うのは普通の要求です。時間がかかるので、売り出しと並行して進めてください。

越境にも注意

隣家の屋根や樹木がこちらの敷地に入っている、こちらのブロック塀が越境している——どちらも覚書を交わすのが実務です。放置したままだと、決済直前に止まります。

3. 告知すべき事項があるか

売主には契約不適合責任があります(民法562条以下)。知っていて告げなかった事実については、特約で免責していても責任を免れません。

告知が必要になりやすいもの:

  • 雨漏り・シロアリ・給排水の不具合
  • 建物の傾き、擁壁のひび割れ
  • 浸水履歴
  • 室内で人が亡くなった事実

人の死については、国土交通省のガイドライン(2021年10月)が目安になります。老衰や病死などの自然死は原則として告知不要とされる一方、特殊清掃等が行われた場合は、売買では期間を区切らず告知が必要とされています。

「言わないほうが高く売れる」は誤りです。 後から損害賠償や契約解除になれば、値引き幅よりはるかに大きな損失になります。

引き渡しのあとに不具合が見つかったときの売主の責任と免責については、売ったあとの契約不適合責任にまとめています。

測量の費用と、隣地の立会いが取れないときは、境界確定測量の費用と期間で詳しく説明しています。


田舎・築古の実家は本当に売れないのか

「田舎だから売れない」は、半分だけ正しいです。

田舎の実家が売れる条件・売れない条件

売れる可能性が残るケース

  • 上下水道が引かれている
  • 前面道路が4m以上で、再建築ができる
  • 集落内で、除雪・買い物が成り立つ
  • 農地でない(宅地)

極端に難しいケース

  • 再建築不可(接道が2m未満、道路が建築基準法上の道路でない)
  • 上下水道が来ておらず、井戸と浄化槽
  • 市街化調整区域で、建て替えに許可が要る
  • 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)にかかる

値段のつけ方を変える

田舎の物件は、「相場から逆算」ではなく「買う人の用途から逆算」します。

  • 移住希望者:住める状態かどうか。リフォーム費用を引いた額で見ます
  • 隣地の所有者:土地だけ欲しい。境界が確定していれば話が早いです
  • 資材置き場・駐車場としての利用者:建物は要らない

隣地所有者への直接の打診は、実務上いちばん決まりやすい相手です。仲介会社に「隣接地に声をかけましたか」と聞いてください。

空き家バンク

自治体の空き家バンクは、掲載が無料で、移住支援とセットになっていることがあります。仲介と併用できる自治体もあります。 効果は地域差が大きいものの、費用がかからないので試す価値はあります。

田舎の実家でも、買取の査定は取れます。値がつかないと決めつける前に、数字を1つ持ってください。


再建築不可だった場合の売り方は再建築不可物件の実家を売るに、共有名義で止まっている場合は共有名義の実家は売れる?にまとめています。

私道に持分がない実家が売れにくい理由と対処は、私道に持分がない実家で詳しく説明しています。

空き家バンクに載せる前に知っておくことは空き家バンクのデメリットで扱っています。

リフォームすべきか、そのまま売るか

「きれいにしたら売れるのでは」——これは、費用を回収できないことが多い打ち手です。

リフォーム費用と売却額への反映

回収しにくい理由

買い手は自分の好みで直したいと考えます。売主が入れた設備や内装は、買い手の好みと一致しないため、そのまま価格に乗りません。

200万円かけたリフォームが、売却価格を100万円しか押し上げない——これが普通です。

費用対効果が高いもの

施策 費用の目安 効果
ハウスクリーニング 5万〜15万円 高い。写真と内覧の印象が変わる
残置物の撤去 15万〜40万円 高い。値引き交渉を減らせる
庭の草刈り・剪定 3万〜10万円 高い。外観写真に直結
壁紙の部分張り替え 5万〜20万円 中。目立つ汚れだけ
水回りの全面改装 100万〜250万円 低い。回収しにくい
外壁・屋根の塗装 80万〜150万円 低い。ただし雨漏り対応は別

インスペクション(建物状況調査)は検討に値する

5万〜10万円程度で、構造・雨漏りの状態を専門家が調査します。

  • 問題がなければ、買い手の不安を消せる
  • 問題があれば、値引き交渉の材料にされる前に、こちらから条件を設計できる
  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入できると、買い手の住宅ローン控除の要件を満たしやすくなる

築古で買い手が不安を感じている物件では、値下げより先に検討してください。

やってはいけないこと

見えるところだけ塗って隠すのは、告知義務違反になりかねません。直すか、正直に伝えて価格に反映するか、どちらかにしてください。

工事費と売値の上乗せ額の比べ方は売る前にリフォームすべきかで扱っています。


解体して更地にすべきか

「建物が古いから解体して土地で売る」——これは、条件を確認してから決めてください。

解体してから売る場合の損得

解体すると失うもの

  1. 住宅用地の特例が外れ、固定資産税が最大6倍(地方税法349条の3の2)
  2. 解体費(木造30坪で90万〜150万円程度)を先に負担する
  3. 再建築不可の土地なら、二度と建てられない
  4. 空き家の3,000万円特別控除の要件から外れる場合がある

解体して有利になるケース

  • 建物に価値がなく、買主が必ず壊す(更地渡しが条件になっている)
  • 土地の形が良く、住宅用地として即座に需要がある
  • 傾き・雨漏りなど、内覧のたびにマイナス評価を受けている

先に確かめること

買主が「解体して買う」と言っているのか、こちらの想像か。 前者なら、解体費を売買代金に上乗せできるか交渉できます。

2024年1月1日以後の譲渡については、売買契約に基づいて買主が譲渡の翌年2月15日までに除却または耐震改修をした場合も、空き家の3,000万円特別控除の対象になりました。「自分で壊してから売る」必要がなくなったということです。

解体は、いちばん最後に検討してください。 戻せません。


ケース別|3つの立て直し

3つのケースの立て直し方

ケース1|地方都市の築45年・木造・3LDK

  • 売り出し価格:1,480万円(半年前の査定額そのまま)
  • 反響:月2〜3件、内覧:半年で4件、買付:0件

内覧は来ているので、情報は届いています。 問題は内覧後です。残置物が残ったままで、買い手が片付け費用を100万円以上と見積もっていました。

打ち手:残置物の撤去に28万円、ハウスクリーニングに9万円、価格を1,380万円に見直し(「1,400万円以下」の検索に入る)。

結果:2か月で1,350万円で成約。 撤去費を差し引いても、半年待って値下げを重ねるより手取りが多く残りました。

ケース2|郊外の築38年・再建築不可

  • 売り出し価格:780万円
  • 反響:半年で1件、内覧:0件

接道が1.8mで再建築ができません。一般の買い手はローンを組めないため、仲介では原則として動きません。

打ち手:仲介と並行して買取の査定を3社から取得。 提示は320万〜480万円。同時に隣地所有者2軒に打診したところ、1軒が「駐車場にしたい」と反応。

結果:隣地所有者へ520万円で売却。 買取より高く、仲介より確実でした。 再建築不可は、隣地所有者がいちばん高く買える相手です。

ケース3|都市部の築28年・相続人3人

  • 売り出し価格:3,280万円
  • 反響:多い、内覧:月3〜4件、買付:2件入ったが、いずれも流れた

物件ではなく相続人側で止まっていました。 買付が入るたびに長男が「安い」と反対し、契約に至りませんでした。

打ち手:売り出しを一時停止し、遺産分割協議書に「3,000万円以上なら全員が承諾する」と明記。 窓口を次男に一本化。

結果:再開後1か月で3,150万円の買付が入り、そのまま成約。 空き家の3,000万円特別控除の期限にも間に合いました。

3つに共通すること

値下げは、原因を特定したあとの最後の手段です。ケース1は片付け、ケース2は売り先、ケース3は合意形成——どれも「価格が高すぎたから売れなかった」わけではありません。


期限から逆算するなら、いま金額を押さえる

引き渡しまで3〜6か月かかります。 特例に間に合わせるには、仲介と買取の両方の金額を先に持っておく必要があります。

仲介の一括査定を無料で取る

プロモーションを含みます。

3,000万円特別控除の期限から逆算する

相続した実家には、期限つきの特例があります。売れないまま期限を過ぎると、税負担が数百万円変わります。

空き家の3,000万円特別控除の期限

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除

  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 相続の直前に被相続人が一人で住んでいたこと
  • 耐震基準に適合させるか、除却して売ること(2024年1月以降は買主が翌年2月15日までに行う場合も可)
  • 売却代金が1億円以下であること

(租税特別措置法35条3項)

注意:相続人が3人以上だと控除額が減ります

2024年1月1日以後の譲渡では、相続人が3人以上の場合、1人あたりの控除額は2,000万円に縮減されています。

逆算する

売り出しから引き渡しまでは3〜6か月かかります。期限の半年前には、買取を含めて決着させる段取りに切り替えてください。

「あと1年ある」と思っていると、間に合いません。

期限が近いなら、売却の査定を取り直して、仲介と買取の両方の金額を並べて判断してください。


売れないなら貸す、という選択肢

「売れないなら貸せばいい」——これは、税金の面で大きな副作用があります。

貸すと失うもの・得るもの

貸すと、空き家の3,000万円特別控除が使えなくなります

この特例は、相続の時から譲渡の時まで、事業・貸付け・居住の用に供されていないことが要件です(租税特別措置法35条3項)。

一度でも人に貸すと、要件から外れます。 賃料を数年取ったあとに売って、譲渡所得税が数百万円増える——これが最も多い失敗です。

それでも貸す価値があるケース

  • 特例の期限(3年)をすでに過ぎている
  • そもそも譲渡益が出ない(取得費のほうが高い)
  • 当面売る気がなく、維持費を賄いたい

貸す場合のコスト

項目 目安
賃貸に出すための最低限の修繕 50万〜200万円
管理委託料 賃料の5%前後
入居者募集の広告料 賃料の1〜2か月分
原状回復(退去時) 10万〜30万円

地方の戸建てで賃料3万〜6万円なら、初期費用の回収に3〜5年かかります。

中間の選択肢

  • 定期借家契約:期間を区切って貸す。3年後に確実に返してもらえます
  • 空き家バンク経由のDIY賃貸:借主が自費で直す代わりに賃料を抑える
  • 駐車場・資材置き場として土地だけ貸す:建物を残したまま、更地部分だけ

「売る」と「貸す」を同時に検討するなら、先に税理士に確認してください。 順番を間違えると戻せません。


それでも売れないときの出口

売れないときの最終的な選択肢

1. 相続土地国庫帰属制度

一定の要件を満たす土地を、国に引き取ってもらう制度です(2023年4月開始)。

  • 建物があると使えません。必ず更地にする必要があります
  • 審査手数料は土地1筆14,000円
  • 承認されたら負担金。原則20万円(宅地・田・畑・森林は面積に応じて算定)
  • 担保権や使用収益権が設定されていない、境界が明らかであるなど、要件は細かい

2. 自治体への寄付

受け付ける自治体は少数です。 行政目的で使う予定がなければ断られます。固定資産税が入らなくなるためです。

3. 隣地所有者への譲渡

隣地の人にとっては価値があることがあります。無償でも引き取ってもらえれば、維持費が止まります。

4. 相続放棄(相続前に限る)

すでに相続してしまったら使えません。 また、放棄しても、次の管理者が決まるまで管理義務が残る場合があります(民法940条・2023年改正)。

5. 持ち続けて活用する

駐車場・資材置き場・貸し農園など。収入は小さいものの、固定資産税分を賄えるなら赤字は止まります。

0円で手放すときに残る税金と費用は、空き家の無償引き取りで詳しく説明しています。


売れたときにかかる費用と、手取りの計算

売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。 値下げの判断をするときは、手取りで比べてください。

売却時にかかる費用の内訳
費用 目安
仲介手数料 売買価格×3%+6万円+消費税(400万円超の場合の上限)
印紙税 1,000万円超5,000万円以下で1万円(軽減措置、2027年3月31日まで)
抵当権抹消登記 不動産1個につき1,000円+司法書士報酬1万〜2万円
測量費 35万〜80万円(確定測量の場合)
残置物の撤去 15万〜40万円
解体費 木造30坪で90万〜150万円
譲渡所得税・住民税 譲渡益が出た場合のみ

低額な空き家は、手数料の上限が別に定められています

2024年7月1日から、800万円以下の宅地建物については、媒介報酬の上限が33万円(税込)とされました(国土交通省告示の改正)。地方の安い実家では、この枠が使われます。

以前は低額物件は手数料が少なく、業者が動きたがらないという問題がありました。この改正で、安い物件でも扱ってもらいやすくなっています。

手取りの計算例

売却価格1,500万円、取得費不明(概算取得費5%=75万円)、所有期間が被相続人から通算で5年超のケース。

  • 仲介手数料:約56万円
  • 印紙税:1万円
  • 片付け:30万円
  • 空き家の3,000万円特別控除が使えれば、譲渡所得税はゼロ
  • 手取り:約1,413万円

同じ物件で特例が使えない場合、譲渡所得は1,500万-75万-87万=約1,338万円、税率20.315%で約272万円の税負担になります。

特例が使えるかどうかで、270万円前後が変わります。 期限内に売ることが、どんな値下げよりも効きます。


維持費と売却額を並べるには、いまの査定額が要ります。

売れない期間に発生し続けるコスト

空き家を維持し続ける年間コスト
項目 年間の目安
固定資産税・都市計画税 10万〜20万円
火災保険(空き家料率) 2万〜6万円
電気・水道の基本料 1万〜3万円
草刈り・通気などの管理 5万〜15万円(代行なら月5,000円〜1万円)
遠方からの往復交通費 3万〜10万円
合計 21万〜54万円

半年売れないということは、この半分がすでに出ていったということです。

さらに、特定空家に指定されると、勧告の時点で住宅用地の特例が解除され、固定資産税が最大6倍になります(空家等対策の推進に関する特別措置法)。2023年の改正で「管理不全空家」も勧告の対象に加わりました。

「もう少し待つ」の判断は、この金額と並べて行ってください。


売り出す時期に意味はあるか

季節による需要の動き

動きやすいのは1〜3月と9〜11月

  • 1〜3月:4月の異動・入学に合わせて動く層がいます。年間でもっとも成約が多い時期です
  • 9〜11月:秋の異動と、年内に決めたい層が動きます
  • 7〜8月・12月:動きが鈍ります。 内覧の予定も入りにくくなります

ただし、待つコストのほうが大きい

「3月まで待とう」という判断は、2月なら合理的、7月なら不合理です。半年待つあいだの維持費と、特例の期限を数えてください。

すでに半年売れていない物件は、季節を待つより原因を直すほうが効きます。

空き家ならではの事情

  • 冬は暖房が入らず、内覧の印象が悪くなる(地域による)
  • 夏は草が伸びるため、管理を怠ると外観写真と実物が乖離します
  • 積雪地域では、冬期はそもそも内覧が難しい

季節を選べる状況なら選ぶ。選べないなら、その季節の弱点を潰す。 それだけです。


よくある失敗5つ

売れないときにやりがちな失敗

1. 小刻みに値下げする

月50万円ずつ下げると、買い手は待ちます。下げるなら一度で市場価格まで。

2. 同じ会社に任せ続ける

3か月ごとの更新を、確認せず自動で繰り返している。 半年動かない時点で、少なくとも見立てを他社にも聞くべきです。

3. 残置物を残したまま内覧させる

片付け費用を惜しんで、値引き幅のほうが大きくなるのはよくあるパターンです。

4. 相続人の合意が取れていないまま売り出す

買付が入ってから「やっぱり反対」で流れると、その物件は「一度契約が流れた物件」として扱われます。売り出す前に、全員の同意と分け方を決めてください。

5. 特例の期限を数えていない

3年の期限は、売買契約日ではなく引き渡しまでを見て逆算します。 気づいたときには半年前、という相談が多いです。


よくある質問

Q. 半年売れないのは異常ですか?

A. 地域によります。 都市部の一般的な戸建てなら、3か月で成約するのが標準的です。地方や築古では6か月〜1年かかることもあります。ただし、内覧がまったく無いまま半年なら、地域を問わず何かがずれています。

Q. 値下げは何回まで許容されますか?

A. 2回までと考えてください。3回目以降は、「まだ下がる」というメッセージになります。1回目で市場価格に届かせるのが基本です。

Q. 一般媒介にすると熱心に売ってくれないと言われました

A. 複数社が競う形になるため、動く会社は動きます。 ただし広告費を掛けにくいのは事実です。専任のまま囲い込まれるリスクと比べて選んでください。レインズ登録証明書を確認できるなら、専任でも構いません。

Q. 仲介手数料は値切れますか?

A. 上限は法定(400万円超で「売買価格×3%+6万円」+消費税)で、下限はありません。ただし手数料を下げると広告に費用を掛けてもらえなくなることがあります。売れない物件で削るべきコストではありません。

Q. 買取だと安く買い叩かれませんか?

A. 1社だけに聞くと、そうなります。 複数社から買取価格を取れば、相場が見えます。 仲介と並行して取ることもできます。

Q. 相続登記が済んでいませんが、売れますか?

A. 売れません。 名義が被相続人のままでは所有権移転登記ができません。2024年4月から相続登記は義務化され、3年以内が期限です。買主が見つかってから慌てるより、先に済ませてください。

Q. 共有名義ですが、自分の持分だけ売れますか?

A. 法律上は可能ですが、買う人はほとんどいません。 持分だけを扱う買取業者はいますが、価格は大幅に下がり、他の共有者とのトラブルにもなります。 全員で売るのが原則です。

Q. 越境しているブロック塀があります。撤去しないと売れませんか?

A. 撤去は必須ではありません。 実務では、隣地所有者と「越境の覚書」を交わす方法が一般的です。「建て替えのときに撤去する」「現状のまま容認する」といった内容を書面にしておけば、買主も引き継げます。 何もしないまま決済直前に発覚すると、その場で止まります。

Q. 「専任にしてくれれば広告費をかけます」と言われました

A. 広告費をかける約束は、契約書か書面で残してもらってください。 「どのポータルに、いつから、何枚の写真で掲載するか」まで具体化されているなら妥当です。口頭の約束のまま専任にすると、確認する手段がなくなります。

Q. 買取と仲介を同時に進めても構いませんか?

A. 構いません。 一般媒介なら複数社と契約できますし、専任でも買取の査定を取ること自体は制限されません。 ただし、専任媒介中に自分で見つけた相手と直接契約すると、違約金や手数料の請求が発生する場合があります(専属専任では禁止)。契約書の「自己発見取引」の欄を確認してください。

Q. 遠方に住んでいて、内覧に立ち会えません

A. 空き家なら立ち会い不要です。 不動産会社に鍵を預ける形が一般的で、キーボックスを設置して案内してもらう方法もあります。むしろ売主が同席しないほうが、買い手は率直に見られます。

Q. 半年で1円も値下げしていません。まず下げるべきですか?

A. いいえ。 先に反響数と内覧数を出してもらってください。 反響が来ていないのに下げても、誰も気づきません。 掲載内容とレインズ登録を確認するのが先です。

Q. 建物を解体したあと、やっぱり売れなかったらどうなりますか?

A. 固定資産税が上がったまま、更地を持ち続けることになります。 住宅用地の特例が外れるため、税額は最大6倍です。解体は、買主が決まってから、あるいは更地にすれば確実に売れると分かってからにしてください。


まとめ|順番を守れば、たいていは動く

立て直しの順番

確認する順番

  1. 閲覧数・反響数・内覧数・買付数を出してもらう
  2. レインズ登録証明書を請求し、取引状況を自分で確認する
  3. 媒介契約の満了日を確認する
  4. 複数社に査定を出し直し、いまの市場価格を把握する
  5. 価格を一度で市場に届く水準まで下げる
  6. 写真を撮り直し、残置物を片付ける
  7. それでも3か月動かなければ、買取価格を取る
  8. 特例の期限から逆算し、間に合う方法を選ぶ

半年売れなかった物件の多くは、価格と情報のどちらかで止まっています。 「田舎だから」で片付けると、そこで打ち手が終わります。

数字を出してもらい、どこで止まっているのかを特定してください。 特定さえできれば、打つ手はあります。

実家じまい全体の順番は実家じまいの進め方に、査定サービスの選び方は相続した実家におすすめの不動産一括査定サービス比較に、放置し続けた場合のリスクは実家を空き家のまま放置する6つのリスクにまとめています。税金の扱いは相続した実家の売却にかかる税金を参照してください。

半年動かないなら、仲介と買取の両方の金額を並べる

値下げを続けるか、買取に切り替えるか。 判断には2つの数字が要ります。どちらも無料で取れて、決めていなくても構いません。

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本欄はプロモーションを含みます。掲載内容・条件は各サービスの公式サイトで最新のものをご確認ください。

この記事について

執筆:葉山 湊(はやま みなと)

自身の家族の実家じまいを経験し、そのときに「どこにも書かれていなかったこと」を出発点にこのサイトを立ち上げました。司法書士・税理士・宅地建物取引士などの資格は保有していません。制度や法令については、必ず一次情報(法務省・国税庁・国土交通省・各自治体)にあたって記事に反映しています。

本記事の主な出典は次のとおりです。

・媒介契約の種類・レインズ登録義務・報告義務:宅地建物取引業法 第34条の2

・囲い込みの取扱い:国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(2025年1月1日施行の改正)

・被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

・住宅用地の課税標準の特例:地方税法 第349条の3の2

・特定空家・管理不全空家:空家等対策の推進に関する特別措置法(2023年改正)

・相続土地国庫帰属制度:法務省「相続土地国庫帰属制度について」

価格や費用は地域・物件により大きく異なります。本記事の内容は2026年9月5日時点の公表情報にもとづきます。 税務・法務の判断は個別事情によって変わります。実行前に必ず専門家にご確認ください。

この記事を書いた人
葉山 湊実家じまいガイド運営者

企業の財務・事業の調査(デューデリジェンス)や資産の評価を本業としています。費用は内訳と前提条件に分けて示し、制度や税金は法令と国税庁・法務省・国土交通省・各自治体などの一次情報で確かめて、出典と情報の時点を記事に明記しています。

税理士・司法書士・宅地建物取引士などの資格は保有していません。個別の税務・法律の判断は、専門家にご確認ください。

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