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空き家バンクのデメリット|1,151自治体が参加、掲載しているのは744だけ

空き家バンクに登録する実家 実家の売却・活用
本記事にはプロモーションが含まれます。

※本記事にはプロモーション(アフィリエイトリンク)が含まれます。

田舎の実家が売れない。不動産会社に断られた。そこで出てくるのが空き家バンクです。

登録は無料で、自治体が運営している。安心して使えそうに見えます。ただし、自治体は不動産会社ではありません。 そこから、いくつかの制約が出てきます。

この記事では、国土交通省の数字をもとに制度の実態を示し、一般の流通と何が違うのかを整理します。

みどりみどり
不動産会社に「うちでは扱えない」と言われました。空き家バンクなら載せてもらえるでしょうか。
たくみ先生たくみ先生
載せられます。ただし「載る」ことと「売れる」ことは別です。 自治体は買い手を探す営業をしません。そこを理解したうえで使えば、有効な手段です。 順に見ていきましょう。

結論|先に3つ

空き家バンクの参加自治体と掲載自治体の差

1. 参加していても、掲載していない自治体が400以上ある

国土交通省の「全国版空き家・空き地バンク」に参加しているのは1,151自治体。そのうち実際に物件を掲載しているのは744自治体です(令和8年8月末時点)。

2. 自治体は仲介をしない

宅建業の免許がないため、契約の仲介ができません。情報を載せる窓口であって、買い手を探して売り込む役割ではありません。

3. 累計の成約は約27,000件

平成30年の本格運用から8年余りで、自治体アンケート等による累計成約は約27,000件。1自治体あたりで見ると、年に数件の規模です。

「売れない」と言われた実家でも、査定は取れる

一般の不動産会社が断る物件でも、訳あり物件を専門に扱う買取業者なら数字を出せます。空き家バンクに載せる前に、いくらになるかを知っておくと判断が変わります。 無料です。

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空き家バンクとは何か

まず制度の形を押さえます。

自治体が運営する情報サイト

空き家の所有者が登録し、自治体がその情報を公開します。買いたい人・借りたい人は、その情報を見て問い合わせます。

全国版は2つの民間サイトが運営

国土交通省が公募で選定した2社が、自治体を横断して検索できるサイトを運営しています。

運営 サイト
株式会社LIFULL LIFULL HOME’S 空き家バンク
アットホーム株式会社 アットホーム 空き家バンク

平成29年10月に試行運用が始まり、平成30年4月から本格運用されています。

自治体独自のバンクもある

全国版に参加せず、自治体のサイトだけで運営しているところもあります。移住支援と一体で運営している自治体が多いのが特徴です。

登録は無料

掲載料も、成約時の手数料も、自治体には払いません。


数字で見る実態

全国版空き家バンクの数字

国土交通省の資料(令和8年8月末時点)です。

項目 数字
参加自治体 1,151
うち物件を掲載中 744
累計の成約 約27,000件

参加と掲載の差、407自治体

参加表明はしたが、物件を載せるところまで動いていない自治体が400以上あります。

「うちの市は空き家バンクをやっている」と聞いても、実際に機能しているかは別です。 サイトで自分の自治体を検索して、いま何件載っているかを見てください。0件なら、実質的に動いていません。

成約27,000件をどう読むか

全国で8年余りの累計です。掲載中の744自治体で割ると、1自治体あたり36件。年に4〜5件という規模になります。

市場規模との比較

参考までに、中古戸建ての年間の成約件数は、首都圏だけで1万数千件あります。空き家バンクは、流通の主流ではありません。

みどりみどり
思ったより少ないのですね。
たくみ先生たくみ先生
制度の目的が「売買の促進」ではなく「情報の可視化」だからです。 自治体は営業をしません。載せておけば売れる、という期待で使うと、時間だけが過ぎます。 期待値を合わせて使えば、悪い仕組みではありません。

デメリット1|自治体は仲介をしない

最も大きな制約です。

空き家バンクの2つの型

宅建業の免許がない

不動産の売買を業として仲介するには、宅地建物取引業の免許が必要です。自治体はこれを持っていません。 そのため、契約の仲介ができません。

運営の形は2つある

型 契約の進め方 仲介手数料
直接交渉型 所有者と買主が直接やり取りする かからない
宅建業者連携型 自治体が提携した地元の不動産会社が仲介する かかる

直接交渉型は、手数料が浮く代わりに全部自分でやる

  • 価格の交渉
  • 契約書の作成
  • 重要事項の説明
  • 決済と引き渡し
  • 登記の手配

契約書を自分で作るということは、トラブルが起きたときの備えも自分で書くということです。

契約不適合責任が残る

引き渡した後に雨漏りやシロアリが見つかると、買主から修補や代金減額を求められます。「現況有姿で、責任を負わない」という特約を入れておかないと、後から請求されます。

個人間売買では、この特約の書き方が分からないまま進むことが少なくありません。


デメリット2|買い手を探す営業がない

不動産会社との根本的な違いです。

不動産会社がやること

  • レインズへの登録(他社にも情報が回る)
  • ポータルサイトへの掲載
  • 自社の顧客リストへの紹介
  • チラシ、オープンハウス
  • 内覧の調整と同行
  • 価格の見直しの提案

空き家バンクがやること

  • サイトへの掲載
  • 問い合わせの取り次ぎ

掲載した後は、問い合わせが来るのを待つことになります。

だから「載せて終わり」になりやすい

数年間載ったままの物件が、どの自治体のバンクにもあります。

一般流通と併用できるか

多くの自治体で、不動産会社に依頼しながらバンクにも載せることが認められています。専任媒介契約を結んでいる場合は、その会社に確認してください。


デメリット3|内覧の調整を自分でやる

遠方に住んでいると、ここが重い負担になります。

空き家バンクでの内覧対応

問い合わせが来たら

  1. 自治体から連絡が来る
  2. 日程を調整する
  3. 現地で鍵を開ける
  4. 案内して説明する
  5. 質問に答える

遠方だと、そのたびに帰省することになる

交通費と時間がかかります。問い合わせが冷やかしだった場合も、行くまで分かりません。

代わりに対応してもらう方法

方法 費用の目安
近隣の親族に頼む —
空き家管理サービスに頼む 月5,000〜1万円+立会い費
宅建業者連携型の自治体を選ぶ 仲介手数料
鍵を自治体に預ける(可否は自治体による) 無料

空き家管理の費用は遠方の空き家管理はいくらかにまとめました。


デメリット4|価格が伸びにくい

バンクを使う人の目的が影響します。

買い手の層が違う

空き家バンクを見ているのは、移住希望者、二拠点生活を考えている人、安く手に入れて自分で直したい人です。「安く買えること」を前提に探しています。

相場より安い前提で問い合わせが来る

100万円、50万円、無償譲渡。バンクの掲載価格はこの水準が目立ちます。

査定を取らずに値付けすると、安く出しすぎる

「田舎だから、こんなものだろう」と自分で決めた価格が、実は相場の半額だったという例があります。

掲載する前に、一度は査定を取ってください。 無料で、売ると決めていなくても取れます。

逆に、高すぎても動かない

問い合わせが1件も来ないまま数年、という状態になります。

実家の価格の調べ方は実家がいくらで売れるか調べる方法にまとめました。

掲載する前に、価格の目安を持っておく

空き家バンクは価格を自分で決めます。根拠がないまま値付けすると、安すぎても高すぎても動きません。 査定は無料で、売ると決めていなくても取れます。

実家の査定額を無料で調べる

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デメリット5|登録の要件がある

誰でも載せられるわけではありません。

多くの自治体に共通する要件

  • 地方税の滞納がないこと
  • 所有者が暴力団関係者でないこと
  • 所有権を証明する書類があること(=相続登記が済んでいること)
  • 建築基準法、都市計画法などに違反していないこと
  • 現に居住していない、または近く居住しなくなること

相続登記が終わっていないと載せられない

名義が親のままでは、所有者として登録できません。2024年4月から相続登記は義務化されています。 期限と手続きは相続登記の義務化と10万円以下の過料にまとめました。

共有名義だと全員の同意が要る

きょうだいの共有になっている場合、全員の合意がないと登録できません。共有名義の実家は売れる?で整理しています。

要件は自治体ごとに違う

「築年数が一定以内」「面積が一定以上」といった条件を付けている自治体もあります。必ず自分の自治体の要領を読んでください。


デメリット6|契約書を自分で作ることになる

直接交渉型を選んだ場合の話です。

個人間売買で契約書に入れる条項

仲介手数料は浮くが、書類は自分の責任になる

宅建業者が入らないということは、重要事項説明書も売買契約書も、誰も作ってくれないということです。

入れておくべき条項

条項 何を書くか
契約不適合責任の免責 引き渡し後に見つかった不具合について責任を負わない旨
現況有姿での引き渡し 現状のまま引き渡すこと
境界の扱い 確定測量をするか、現況の境界標で引き渡すか
残置物の扱い 誰が処分するか。処分費の負担
引き渡しの時期 決済と同時か、後日か
公租公課の精算 固定資産税を日割りで精算するか
手付金 金額と、解除したときの扱い
契約の解除 どんなときに解除できるか

契約不適合責任の免責が、最も大事

個人が売主の場合、特約で免責にできます。これを入れずに引き渡すと、数年後に「雨漏りがあった」と請求される余地が残ります。

免責にしても、知っていて黙っていたものは免責されない

雨漏り、シロアリ、傾き、過去の浸水。知りながら告げなかった事実については、免責特約があっても責任を免れません。 物件状況報告書に書いてください。

司法書士に登記だけ頼む

契約書は自分で作っても、所有権移転登記は司法書士に頼むのが安全です。 費用は5万〜10万円程度。決済の場に立ち会ってもらえば、代金の受け渡しと登記の段取りも見てもらえます。

みどりみどり
契約書の書き方が分からないまま進むのは、不安です。
たくみ先生たくみ先生
その不安は正しいです。個人間売買でいちばん多いのが、引き渡した後の請求です。 宅建業者連携型の自治体を選ぶか、仲介手数料を払ってでも会社に入ってもらうか。 手数料は300万円の物件で15万円ほどです。その額で書類の責任を渡せると考えれば、高くはありません。

デメリット7|残置物の扱いでもめる

田舎の実家では、ほぼ必ず問題になります。

「家財も一緒に」は、買主の負担になる

タンス、仏壇、農機具、物置の中身。買主から見れば、処分費がかかる荷物です。

処分費の目安

間取り 費用
2DK 10万〜25万円
3LDK 20万〜50万円
一戸建て(物置・納屋あり) 30万〜80万円

片付けの相場は遺品整理業者の費用相場にまとめました。

3つの選び方

  1. 全部片付けてから掲載する — 印象がよく、価格も保てる。先に費用が出る
  2. 「残置物あり」と明記して掲載する — 費用は出ないが、その分値引かれる
  3. 買主と交渉して折半する — 現実的な落としどころ

先に出しておくもの

仏壇、神棚、位牌、写真、印鑑、通帳、権利証。これらは買主が扱いに困るので、必ず引き取ってください。

仏壇の処分には閉眼供養が要ります。費用は墓じまいの費用相場で触れています。


デメリット8|税金の扱いを見落としやすい

売れたときの話です。

空き家を売ったときの税金

譲渡所得税がかかる

売った価格から取得費と譲渡費用を引いた残りに課税されます。

所有期間 税率(所得税・住民税・復興特別所得税の合計)
5年以下(短期) 39.63%
5年超(長期) 20.315%

相続した家は、親の所有期間を引き継ぐ

親が30年持っていた家なら、相続した翌日に売っても長期譲渡になります。

取得費が分からないと、5%で計算される

親の購入時の契約書が見つからない場合、売却価格の5%を取得費とみなす扱いになります。300万円で売れば取得費は15万円。差額のほとんどに課税されます。

空き家の3,000万円特別控除

一定の要件を満たせば、譲渡所得から3,000万円を引けます。期限は「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」です。

低額譲渡に注意

著しく低い価格で売ると、時価との差額が贈与とみなされることがあります。個人間で相場の半額以下といった価格をつけるときは、税理士に確認してください。

税金の全体像は相続した実家の売却にかかる税金にまとめました。


賃貸で登録するという選択

売却だけが選択肢ではありません。

多くの自治体が賃貸も扱う

「売買」「賃貸」「売買または賃貸」から選べます。

賃貸のメリット

  • 所有権を手放さない
  • 家賃収入が入る
  • 人が住むことで家の傷みが遅くなる
  • 地域に人が増える(自治体が支援に積極的)

賃貸のデメリット

項目 内容
修繕の義務 貸主が負う。給湯器やトイレが壊れたら直す
管理の手間 家賃の回収、苦情の対応、更新
出ていってもらえない 借地借家法で借主が強く守られる
売れなくなる 借主がいる状態では、買い手が限られる
税金の特例が消える 空き家の3,000万円特別控除が使えなくなる

賃貸に出すと、空き家の3,000万円特別控除は使えません。 ここが最も大きな判断材料です。

定期借家契約という手

期間を決めて、満了で確実に終わる契約です。将来売る可能性があるなら、普通借家ではなく定期借家にしてください。

貸す場合の損得は相続した実家を貸すで整理しています。


空家対策特措法との関係

放置しているだけでは済まなくなっています。

管理不全空家・特定空家

2023年の法改正で、管理不全空家という区分が加わりました。

区分 状態 影響
管理不全空家 放置すれば特定空家になるおそれ 指導・勧告。勧告で住宅用地の特例が外れる
特定空家 倒壊のおそれ、衛生上有害、著しく景観を損なう 指導・勧告・命令・代執行

勧告を受けると、固定資産税が上がる

住宅用地の特例(小規模住宅用地で課税標準6分の1)が外れます。実質的に、税額が3〜4倍になります。

空き家バンクへの登録は、放置ではないという説明にはなる

自治体に対して「売る意思がある」ことを示す材料にはなります。ただし、庭が荒れて建物が傷んでいれば、登録していても指導の対象です。

放置のリスクは実家を空き家のまま放置する6つのリスクにまとめました。


掲載した後にやること

載せて終わりにしないための手順です。

手入れした空き家の外観
掲載後の見直しの手順

3か月時点

  • 問い合わせは何件あったか
  • アクセス数を自治体に聞く(分かる場合)
  • 1件もないなら、価格か写真に問題がある

6か月時点

  • 価格を見直す
  • 写真を撮り直す
  • 掲載文に生活情報を足す
  • 不動産会社にも並行して依頼する

1年時点

  • 買取の査定を取る
  • 解体して土地で売る選択を検討する
  • 3,000万円控除の期限を確認する

問い合わせがあっても成約しない場合

聞いておくことがあります。

  • 何が引っかかったか(価格、立地、建物の状態、接道)
  • いくらなら買えるか

断られた理由を1件ずつ聞いておくと、次の見直しの材料になります。

みどりみどり
載せて半年、問い合わせが2件だけでした。
たくみ先生たくみ先生
2件来ているなら、価格ではなく物件の中身が理由かもしれません。 その2人が何を気にしたかを、自治体経由で聞いてください。 水回りなのか、雨漏りなのか、接道なのか。同じ理由が2回出たなら、そこが直すべき点です。 分からないままもう半年待つより、聞くほうが早く進みます。

メリットもある

制約を並べましたが、向く場面はあります。

空き家バンクが向くケース

1. 費用がかからない

掲載も成約も無料です。売れなくても損はしません。

2. 移住希望者に届く

移住相談の窓口とつながっている自治体が多く、一般のポータルサイトには来ない層が見に来ます。

3. 補助金とセットの自治体がある

補助の例 金額の目安
空き家改修補助(購入者向け) 50万〜200万円
家財処分の補助 10万〜30万円
移住奨励金 数十万〜100万円超

買う側に補助が出ると、それだけで問い合わせが増えます。 自分の自治体にどの補助があるかを確認して、掲載文に書いてもらってください。

4. 不動産会社が扱わない物件でも載る

価格が低すぎて仲介手数料が見合わない物件は、会社に断られます。バンクなら載せられます。

5. 賃貸でも使える

売るだけでなく、貸す形で登録できる自治体が多くあります。


買い手は何を見ているか

掲載文を書くときの材料になります。

移住希望者が見るポイント

生活できるかどうか

項目 具体的に知りたいこと
買い物 最寄りのスーパーまで何分か
医療 内科、歯科、総合病院までの距離
教育 小中学校の距離、統廃合の予定
交通 最寄り駅・バス停、車が必須か
通信 光回線が引けるか
冬 積雪の量、除雪の有無

移住を考えている人がいちばん不安なのは、間取りではなく「暮らせるか」です。

建物の状態

  • 雨漏りの有無
  • 水道管と給湯器の年式
  • トイレが水洗か汲み取りか
  • 断熱、窓の状態
  • 耐震(1981年6月以降の建築か)

旧耐震かどうかは大きい

1981年5月以前に建築確認を受けた建物は旧耐震です。補助金の対象外になることがあり、住宅ローンも通りにくくなります。

費用の見通し

  • 購入後にいくら直す必要があるか
  • 固定資産税は年いくらか
  • 自治会費、水利費などの地域の負担

地域の付き合い

自治会、消防団、地域の行事。都市部から来る人がもっとも気にする点で、隠すと後でもめます。 正直に書いてください。


成約している自治体の共通点

うまくいっている例には、いくつか特徴があります。

1. 移住相談の窓口と一体になっている

空き家の情報だけでなく、仕事、学校、支援制度をまとめて案内しています。

2. 掲載の写真が多く、明るい

外観だけでなく、各部屋、水回り、庭、周辺の様子まで載せています。

3. 物件ごとに担当者がいる

問い合わせに具体的に答えられる人がいる自治体は、成約率が違います。

4. 購入者向けの補助が手厚い

改修費の補助が100万円規模で出る自治体は、問い合わせが集まります。

5. 地元の宅建業者と連携している

契約の実務を業者が担うため、買主が安心して進められます。

自分の実家の自治体がこの5つのうちいくつを満たしているか。これが、バンクに期待できる度合いの目安になります。

満たしていないなら、併用を前提にする

バンクに載せつつ、不動産会社にも依頼する。どちらかが動けばよい、という構えにしておきます。


0円で譲るという選択

バンクで見かける「無償譲渡」の実態です。

0円で渡しても、費用はゼロにはなりません。 個人から個人へ無償で不動産を渡すと、もらった側に贈与税がかかります。評価額500万円なら50万円ほど。さらに登録免許税は固定資産評価額の2%で、相続の0.4%より高くつきます。「タダでもらったのに税金だけ払う」という形になるので、引き取り手が見つかりにくいのはこのためです。

渡す側にも、相手が法人なら時価で売ったものとみなして譲渡所得税がかかります。

0円にする前に、買取を当たってください。相場の6〜7割でも、0円よりは確実に手取りが多くなります。

贈与税の目安、成立しやすい相手の条件、渡す前に見ておく順番は空き家の無償引き取りで詳しく整理しています。

0円にする前に、数字を1つ持っておく

一般の会社が断る物件でも、訳あり物件の買取業者なら金額を出せることがあります。無償譲渡を決める前に、比較する材料を作ってください。 無料です。

訳アリ物件の買取査定を無料で取る

プロモーションを含みます。


掲載文の書き方

自治体の様式に沿って書きますが、自由記述欄の使い方で差が出ます。

書くとよいこと

  1. なぜ手放すのか — 「親が施設に入り、誰も住まなくなりました」
  2. どんな家だったか — 「南向きで、冬でも日当たりがよい家でした」
  3. 手を入れた履歴 — 「2015年に屋根を葺き替えました」
  4. 周辺の環境 — スーパー、病院、学校までの距離
  5. 正直な弱点 — 「水回りは古く、交換が必要です」

弱点を書くほうが、問い合わせの質が上がる

隠しても内覧で分かります。 先に書いておけば、それを承知の人だけが来ます。無駄な内覧が減ります。

書かないほうがよいこと

  • 「リフォーム済み」(どこを直したか書かないと意味がない)
  • 「掘り出し物」「格安」(買主が価格交渉の材料にする)
  • 事実でない「駅近」「日当たり良好」

写真は10枚以上

外観(正面・側面)、玄関、居間、台所、浴室、トイレ、各居室、庭、周辺の道路。晴れた日の午前に撮ります。


登録する前にやる5つ

1. 相続登記を済ませる

名義が親のままでは登録できません。

2. 査定を取る

価格の根拠を持ってから値付けします。

3. 境界を確認する

境界標が残っているかを見ておきます。ないと、買主が測量を求めることがあります。測量の費用は境界確定測量の費用と期間にまとめました。

4. 家財を片付ける

最低でも、仏壇・位牌・写真・書類は引き取ります。

5. 自治体のバンクの掲載件数を見る

0件なら、実質的に動いていません。 併用を前提に考えてください。

みどりみどり
うちの町のバンクを見たら、3件しか載っていませんでした。
たくみ先生たくみ先生
3件なら、動いてはいます。 ただし担当者が1人で片手間にやっている規模でしょう。載せること自体は無料なので、載せたうえで不動産会社にも頼む形にしてください。片方に絞る理由がありません。

一般流通と比べる

空き家バンクと仲介と買取の比較
空き家バンク 不動産会社の仲介 買取
手数料 無料(直接型) 成約価格の3%+6万円+税 無料
営業活動 なし あり —
期間 数か月〜数年 3〜6か月 1週間〜1か月
価格 低めに出す前提 相場 相場の6〜7割
契約書 自分で作る(直接型) 会社が作る 会社が作る
契約不適合責任 自分で特約を書く 会社が助言 免責が一般的
内覧の対応 自分 会社 原則なし

手数料が浮いても、手取りが増えるとは限らない

仲介手数料は300万円の物件で15万円ほどです。バンクで手数料を浮かせても、価格が50万円下がれば意味がありません。

買取との比較

買取は相場の6〜7割になりますが、契約不適合責任が免責になるのが普通で、残置物もそのまま引き取ってもらえることがあります。手取りと手間を合わせて比べてください。

買取と仲介の違いは不動産の買取と仲介はどちらが得かにまとめました。


全国版と自治体独自バンクの違い

同じ「空き家バンク」でも2種類あります。

全国版と自治体独自バンクの違い
全国版 自治体独自
運営 LIFULL、アットホーム(国交省の公募) 自治体
見られる範囲 全国から横断検索できる その自治体を知っている人だけ
掲載の様式 ある程度そろっている 自治体ごとにばらばら
写真の枚数 複数枚載せられる 1〜2枚のことも
地図表示 あり ないことも

全国版に載るほうが、見られる機会は多い

移住先を決めていない人は、全国版で地域をまたいで探します。 自治体独自のサイトは、すでにその町に関心がある人しか見ません。

申し込みは自治体の窓口に一本化されている

多くの場合、自治体に登録すれば全国版にも反映されます。ただし自動ではない自治体もあるので、「全国版にも載りますか」と確認してください。

両方に載っているかを自分で確かめる

登録後、全国版のサイトで自分の物件を検索してみてください。載っていないなら、担当者に伝えます。


よくある誤解

1. 「自治体が売ってくれる」

売りません。情報を載せるだけです。営業活動も価格交渉もしません。

2. 「登録すれば固定資産税が下がる」

下がりません。課税は所有している限り続きます。

3. 「自治体が買い取ってくれる」

買い取りません。寄付もほとんど受け付けません。

4. 「無料だから損はしない」

掲載料はかかりませんが、待っている間の固定資産税と管理費はかかり続けます。 年10万円前後が出ていきます。

5. 「載せておけば、いつか売れる」

掲載しただけで数年動かない物件は、どの自治体にもあります。 反響がなければ、価格か見せ方を変える必要があります。

6. 「バンクに載せたら、不動産会社に頼めない」

頼めます。併用している人が多くいます。


バンク以外の売り先

行き詰まったときの選択肢です。

1. 訳あり物件の買取業者

再建築不可、接道なし、傾き、事故物件。一般の会社が断る条件でも数字を出します。 価格は相場の6〜7割ですが、契約不適合責任が免責になるのが普通です。

2. 地元の不動産会社

大手が扱わない田舎の物件を、地元の会社が持っていることがあります。その地域に強い会社を探してください。

3. 隣地の所有者に声をかける

買い手として最も現実的なのが隣の人です。 土地が広がる、駐車場にできる、農地に隣接している。地元に親族がいるなら、聞いてもらう価値があります。

4. 解体して土地で売る

建物が古すぎると、かえって買い手が減ります。解体費は150万円前後。費用は実家の解体費用はいくら?にまとめました。

5. 相続土地国庫帰属制度

更地にしたうえで、国に引き取ってもらう制度です。負担金がかかり、条件も厳しいのですが、最後の手段として残ります。

6. 貸す

売れないなら、貸して人に住んでもらう。ただし3,000万円控除は使えなくなります。


登録から成約までの流れ

自治体で細かい違いはありますが、おおむね共通です。

空き家バンクの登録から成約までの流れ
  1. 自治体の窓口に相談する — 要件を満たすか確認
  2. 登録申込書を出す — 登記事項証明書、間取り図、写真を添える
  3. 現地確認 — 自治体の担当者、または提携業者が見に来る
  4. 掲載 — 写真と条件がサイトに載る
  5. 問い合わせ — 自治体経由で連絡が来る
  6. 内覧 — 日程を調整して現地で対応
  7. 条件の交渉 — 価格、引き渡し時期、残置物の扱い
  8. 契約 — 直接型なら当事者間、連携型なら宅建業者が仲介
  9. 決済と引き渡し — 登記は司法書士に依頼するのが一般的

掲載までにかかる期間

申込から掲載まで、2週間から1か月が目安です。

写真が成否を分ける

サイトで最初に見られるのは写真です。暗い、荒れている、家財が写り込んでいる。これだけで問い合わせが減ります。 明るい日に、片付けてから撮ってください。


売れやすくする5つ

1. 残置物を片付ける

家財が残ったままだと、買主は処分費を差し引いて考えます。片付けの費用は遺品整理業者の費用相場にまとめました。

2. 写真を撮り直す

晴れた日の午前、カーテンを開け、照明をつけて撮ります。外観、玄関、居室、水回り、庭。最低でも10枚。

3. 掲載文に生活情報を書く

  • 最寄りのスーパー、病院、学校までの距離
  • ネット回線が引けるか
  • 車がないと生活できないか
  • 冬の積雪の有無

移住希望者がいちばん知りたいのは、間取りではなく生活できるかどうかです。

4. 補助金の情報を載せてもらう

購入者が使える補助を、自治体に確認して掲載文に入れてもらいます。

5. 価格の根拠を持っておく

問い合わせがあったときに「なぜこの価格か」を説明できると、値引き交渉に流されません。

みどりみどり
写真くらいで、そんなに変わるものでしょうか。
たくみ先生たくみ先生
変わります。サイトで一覧に並んだとき、開いてもらえるかどうかが写真で決まります。 曇りの日に撮った暗い外観と、晴れた日の明るい外観では、同じ家でも別物に見えます。 帰省のついでで構わないので、撮り直してください。

問い合わせが来たときの返し方

数少ない機会を落とさないための準備です。

問い合わせの3つの種類

来る問い合わせは3種類

種類 特徴 対応
本気で検討している 具体的な質問をする。時期を聞いてくる 丁寧に、正直に答える
情報収集の段階 「見てみたい」だけ。条件を聞かない 資料を送って様子を見る
冷やかし 極端な値引きを最初に言う 深追いしない

最初に聞いておくこと

  1. いつごろ住みたいか、使いたいか
  2. 資金の目処(現金か、ローンか)
  3. 何を直す前提で考えているか

ローンを使う場合、旧耐震の建物や再建築不可の土地では審査が通りません。 早い段階で確認すると、無駄な往復が減ります。

よく聞かれること

  • 雨漏りはあるか
  • 水回りは使えるか
  • ネット回線は引けるか
  • 自治会の負担はどれくらいか
  • 車がないと生活できないか
  • 近隣にどんな人が住んでいるか

答えられないことは「分からない」と言う

いい加減に答えると、後で契約不適合責任の話になります。 「長く住んでいないので分かりません。確認してお伝えします」で構いません。

内覧は、まとめて受ける

遠方なら、2〜3件の問い合わせをためて同じ日に案内します。交通費と時間の節約になります。


価格をどう決めるか

バンクでは自分で値付けします。

3段階で決める

  1. 査定を取る — 一般の会社と、訳あり物件の買取業者の両方から
  2. 近隣の掲載価格を見る — 同じ自治体のバンクに載っている物件
  3. 手取りから逆算する — 解体費や片付け費を差し引いても残るか

「いくらでもいい」は避ける

金額を決めずに載せると、最初に来た人の言い値になります。 下限だけは決めておいてください。

値引きの余地を少し持たせる

交渉が入る前提で、1割ほど上に設定する例が多くあります。ただし高すぎると問い合わせ自体が来ません。

3か月ごとに見直す

反響がなければ下げます。同じ価格のまま1年待つのが、いちばん時間を失う進め方です。

下げるときは、理由を書き添える

「価格を見直しました」と掲載文に入れると、再度見に来る人がいます。


向く人、向かない人

向く人

  • 急いでいない(数年待てる)
  • 価格より「使ってくれる人に渡したい」が優先
  • 不動産会社に断られた
  • 自治体に移住支援の実績がある
  • 現地に行ける、または頼める人がいる

向かない人

  • 期限がある(空き家の3,000万円特別控除は、相続から3年を経過する日の属する年の12月31日まで)
  • 遠方で、内覧のたびに行けない
  • 固定資産税と管理費の負担を早く切りたい
  • 契約書を自分で作ることに不安がある

期限がある場合は、併用を考える

バンクに載せつつ、同時に買取の査定も取っておくという進め方があります。期限が近づいたら買取に切り替えられます。

3,000万円控除の期限は相続した実家の売却にかかる税金で整理しています。


それでも売れないとき

空き家バンクで売れないときの選択肢
選択肢 内容
買取業者 相場の6〜7割。契約不適合責任は免責が一般的
解体して土地で売る 解体費150万円前後。更地のほうが買い手が広い
無償譲渡 0円で譲る。譲り受けた側に贈与税がかかる
相続土地国庫帰属制度 建物があると使えない。負担金が要る
自治体への寄付 ほとんど受け付けてもらえない

自治体は寄付を受けない

「市に引き取ってもらえないか」という相談は多いのですが、自治体が個人の不動産を受け取ることは、ほとんどありません。 使い道がなく、管理費だけがかかるためです。

国庫帰属制度は建物があると使えない

更地にする必要があります。承認の条件と負担金はいらない実家は相続放棄できる?にまとめました。

無償譲渡にも税金がかかる

もらう側に贈与税が、渡す側にも譲渡所得税が問題になる場合があります。「タダであげる」ほど簡単ではありません。


よくある質問

Q. 空き家バンクに登録すると、固定資産税は安くなりますか

なりません。税額は変わらないので、登録しても持ち続ける限り課税されます。

Q. 掲載中でも、不動産会社に依頼できますか

多くの自治体で可能です。専任媒介契約を結んでいる場合は、その会社に確認してください。

Q. 掲載を取り下げられますか

できます。自治体に申し出れば削除されます。

Q. 値段を後から変えられますか

変えられます。反響がなければ、3か月をめどに見直してください。

Q. 家財を残したまま登録できますか

登録はできます。ただし写真の印象が落ち、価格も下がります。 「残置物あり・現況渡し」と明記しておく必要があります。

Q. 賃貸で登録して、後から売却に変えられますか

自治体に申し出れば変更できます。ただし借り手がついた後は、簡単に売れなくなります。

Q. 移住者向けの補助金は、売主にも出ますか

自治体によります。家財処分や改修の補助を売主に出す自治体があります。 窓口で確認してください。

Q. 内覧に自治体の職員は同行してくれますか

自治体によります。同行する自治体と、鍵の受け渡しだけの自治体があります。 宅建業者連携型なら、その業者が案内します。

Q. 買い手と価格で折り合わないときは

直接交渉型では、自治体は仲介に入りません。当事者同士で決めることになります。 まとまらなければ、その話は流れます。

Q. バンク経由でも、3,000万円特別控除は使えますか

使えます。売り方ではなく、物件と時期の要件で決まります。 耐震基準を満たすか更地にすること、相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件です。

Q. 農地も登録できますか

農地は農地法の許可が別に要ります。空き家バンクとは別枠で「農地バンク」を持つ自治体があります。 農地を相続した場合の手続きは農地を相続したらにまとめました。

Q. 登録してから売れるまで、平均でどれくらいですか

公表された平均値はありません。数か月で決まる物件もあれば、数年載ったままの物件もあります。 立地と価格で大きく変わります。

Q. 全国版と自治体独自のバンク、どちらに載せますか

自治体の窓口に申し込めば、全国版にも載る仕組みになっていることが多くあります。両方に載るかどうかを確認してください。


まとめ

  • 全国版空き家バンクの参加は1,151自治体。うち物件を掲載しているのは744自治体(国土交通省・令和8年8月末)
  • 累計の成約は約27,000件。掲載中の自治体で割ると、年に4〜5件の規模
  • 自治体は宅建業者ではないため仲介ができない。直接交渉型では契約書も自分で作る
  • 買い手を探す営業活動はない。載せた後は問い合わせを待つことになる
  • 内覧の対応は所有者がやる。遠方だと、そのたびに帰省することになる
  • 買い手は「安く買う」前提で見ている。掲載前に査定を取り、価格の根拠を持つ
  • 登録には相続登記が済んでいることが実質の要件
  • 費用がかからないのは大きな利点。急いでいないなら、まず載せてみる価値はある

使い方をひとことで言うと

空き家バンクは、売るための道具ではなく、情報を置いておく棚です。棚に置いたからといって、誰かが売り込んでくれるわけではありません。ただし置いておく費用はゼロで、移住を考えている人の目には触れます。

だから、バンクに載せるのは「やっておいて損はない一手」であって、「これで解決する手段」ではありません。 並行して、不動産会社に声をかける、買取の数字を取る、解体して土地にする選択を検討する。この3つのどれかは同時に進めておいてください。

待てる時間が、いちばんの資源です

固定資産税と管理費で年10万円前後が出ていきます。3年待てば30万円。その30万円を、片付けや写真の撮り直しに先に使ったほうが、結果が変わることがあります。

期限がないなら、バンクに載せながら待つのは合理的です。ただし3,000万円特別控除のような期限があるなら、載せるのと並行して買取の数字も持っておいてください。 手が打てる時間が残っているうちに動くほうが、選択肢は多くなります。

この記事を書いた人
葉山 湊実家じまいガイド運営者

企業の財務・事業の調査(デューデリジェンス)や資産の評価を本業としています。費用は内訳と前提条件に分けて示し、制度や税金は法令と国税庁・法務省・国土交通省・各自治体などの一次情報で確かめて、出典と情報の時点を記事に明記しています。

税理士・司法書士・宅地建物取引士などの資格は保有していません。個別の税務・法律の判断は、専門家にご確認ください。

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